「ヴァナ・ディールで冒険者が増えている」と書いた。だが、冒険者が存在しない国も存在する。それがジュノ大公国だ。

ジュノ大公国は、バストゥーク共和国、サンドリア王国、ウィンダス連邦、3つの列強国の中心に位置する交通の要衝で、そのために冒険者の姿を多く見ることができる。

だが、ジュノ大公国に所属する冒険者は存在しない。それはコンクェスト政策に起因する。

コンクェスト政策の是非については、いろいろと論じられているため知っている人も多いだろう。その概要だけを述べると『ヴァナ・ディールの諸地域において、獣人などを駆逐することで地域の保全に最も貢献した国が、一定期間その領土を所有する』ということになる。

地方に住む者にとっては、3つの国が競って獣人や魔物を倒してくれるという、とてもありがたい政策だ。しかしながら、各国の立場になってみると、話はそう簡単ではない。国を挙げて実行するためには、それなりの軍隊を派遣する必要がある。遠征にかかる費用と所有した領土の利益。天秤にかければ釣り合うかもしれないが、他国に領土を奪われてしまっては話にならない。

そこで注目されたのが冒険者だ。もともと戦いに馴れた冒険者を、支援の名目で兵士として任命してしまうのだ。そうすれば、ヴァナ・ディール全域で活動する彼らのこと、特に意識するわけでなくコンクェストを遂行してしまうに違いない。冒険者にしてみれば従来とかわらぬままで国の支援を受けられるのだから、拒む理由もない。まさに一挙両得というわけだ。

こうして冒険者は『規律に縛られない兵士』という、一見矛盾した存在になったのである。

ジュノ大公国に所属する冒険者がいないのは、ジュノ大公国が地方領土を必要としていないからだ。しかし、国力の増強を求める3国では、1人でも多くの優秀な冒険者を求めている。