出来事



あなたがこれから如何なる体験をするのか、私には知る由もない。国家存亡に関わる冒険、地図にない未知なる土地への旅、そして竜を討伐する遠征。いずれ訪れる危難と栄光の日々において、あなたは決して1人ではない。

獣人を見たことがあるだろうか、彼奴らはズル賢く群れを成して襲いかかる。いや、あなた1人では獣人すらも倒せまい。その時あなたに選べるのは、助けを求めるか、誇りと共に未来を諦めるかの二つに一つしかない。

いくら腕を磨いた勇者でも1人で竜を倒すことがかなわぬように、1人の人間ができることには限界がある。だが、超えねばならない。それが冒険者への道なのだ。

だからこそ冒険者は仲間を必要とする。名を馳せる冒険者には、みな死線を乗り越えた友がいる。自らの限界を高め、それでも足りない部分を仲間に求めた彼らにあるのは、絶対的な信頼以外に有り得ない。

今のあなたが生涯を共にする友を見つけることは不可能かも知れない。

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それは慌てて探しても見つかりはせず、幾つもの試練を乗り越えたときに気づくものなのだから。 それは熟練した冒険者のみが体験できる世界と言えるだろう。逆に、駆け出しにしか体験できない世界も存在する。街に訪れたばかりのあなたの瞳には、全ての出来事が新鮮に映っているだろう。その感覚はこの瞬間だけのものだ。胸に込み上げる感動を忘れてはならない。それが色あせない限り、より優れた冒険者を目指すことができるのだから。

あなたが選んだ道は長く険しい。だが、その道を歩むものは1人ではない。困った時は助けを求めよ、そして求められた時は手を差し伸べろ。さすれば冒せぬ険しきは存在しない。

あなたの旅は既にはじまっている。
誰でもない、他ならぬあなた自身の旅だ。心してゆくがいい。