封印されていたバストゥーク共和国の秘密兵器『銃(ガン)』が、ついにヴェールを脱いだ。大工房にある火薬研究所での販売を決めた共和国では、その理由を「獣人たちの活動が各地で激化したため」と発表している。
写真 銃士隊の名が示す通り、バストゥーク共和国を象徴する武器は『銃』である。

火薬を利用して遠くの標的を射抜くこの『銃』は、同類の弓矢などとは比較にならない威力を誇り、クリスタル大戦では闇の王の軍勢に対して、その真価を発揮した。

しかし、当時からこの武器は共和国でも一部の兵士にしか託されず、終戦後では使用すること自体、政府によって禁止されていた。
一線を画す武器は、秘密が漏れるとたちまち敵の手に渡り、自分の首を締める結果となる。魔法の時代を築いたタルタルの『魔法』や、第二次コンシュタット会戦で王立騎士団を苦しめた共和国の『大砲』が、その事実を証明している。

共和国政府は、そのような画期的な武器にあたる『銃』を、冒険者に解禁することを決意したのだ。

共和国大統領の対外声明を要約すると、次の通りだ。

「獣人勢力と各地で転戦し、冒険者たちも目覚しい成長を遂げつつある。彼らのうち、飛び道具に熟達した者ならば、扱いの難しい『銃』をも使いこなせよう。」

つまりは「ヴァナ・ディール全土の治安維持のため」と、言うわけだが、最近のバストゥーク共和国の動向と照らし合わせると、どうやら狙いはそれだけではなさそうだ。

共和国は先日、グスタベルグの国境警備隊を北部に移動させたばかり。その背景には、コンクェスト政策における駐留武官派遣問題があった。

今回解禁された『銃』は、冒険者ならば誰でも入手可能だが、そのためにはバストゥーク共和国の大工房まで足を運ばねばならない。

従って、バストゥーク共和国に所属する冒険者から『銃』が普及するのは必然と言えるだろう。一連の動向を見ると、最近、劣勢を挽回し、自国の領地拡大に成功したため、勢いに乗じて国力増強を狙った「秘密兵器投入」とも受け取れる。

その真意はどうあれ、共和国が冒険者の急速な成長を認めているのは間違いなく、『銃』の登場で冒険者の戦力が高まる事は確かである。

あとは『銃』を手にする冒険者が、獣人たちに秘密兵器を奪われないよう祈るだけである。
(Ainworth)


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