出来事

功績によって国から装備を拝領することは、冒険者にとって勲章と同様に名誉なものだ。しかし、取引を再開した競売所で、高額で他国の冒険者に転売されている実態があらわになり、各国政府はこの問題に頭を痛めている。
写真 各国では、戦績に応じて、冒険者にも制式装備を支給している。

これらの装備は、ウィンダス連邦なら戦闘魔導団の制式装備、サンドリア王国では騎士団の制式装備といった具合に、各国の持てる技術の粋を尽くした優れものである。当然、所属国以外の冒険者に支給されることはなく、他国の冒険者にとっては垂涎の的となる装備も、少なくない。
それゆえ、高い代価を支払ってでも入手したいと考える冒険者が存在しても、不思議ではない。無論、その欲求に応えようと企む不届き者も現れよう。

しかし実際に売却するとなると、話は簡単ではない。各国の正規兵が、その様な真似をすれば軍規違反として、即刻に処罰されるはずだ。

問題なのは、冒険者には各国の軍規が適用されない点にある。彼らは、コンクェスト政策の担い手として「軍規に縛られない兵士」としての立場を約束されているのだ。

各国側としても、無頼の冒険者に対し、個人戦績という定規を使って信頼できるかどうかをふるいにかけているわけだが、有効な対策とはなっていないようだ。

支給された装備を持って他国へ渡り、取引を再開した競売所で出品する者が続出したのである。自国の冒険者に譲り渡すのであれば説明のしようはあるが、こうまでされては、金策以外の目的は有り得まい。

いずれの国でも、この行動に及んだ冒険者を処罰する権限をもっていないため、決定的な打開策を打ち出せずに頭を抱えているのが現状である。

否、高価な装備を拝領する冒険者ほど、軍功を上げていることは確かであり、処罰できないのも当然かもしれない。

しばらくは、冒険者のモラルに期待するしかないようだ。
(Ainworth)

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