冒険者への道


駆け出しの冒険者が未熟と言われるのは、何も個人の技能に限った物ではない。身の程もわきまえず、戦いを無闇に挑む行為こそが未熟の証なのだ。欠けているのは、冒険者としての経験そのものである。

戦うことが危険であるからこそ、冒険者はヴァナ・ディールに必要とされている。あらゆる戦いが命がけであることを、否定するつもりはない。

しかし1人でガムシャラに技を磨いても、その辿りつく先はたかが知れている。

確かに、駆け出しの冒険者とて、街の周囲で戦っていれば、勝利を得ることも可能だろう。だが、その1つ1つの戦いに全力を賭けていては、すぐに息切れを起こして次の戦いに支障を来たしてしまう。

場合によっては思わぬ大怪我をして、遠回りを強いられることにもなるだろう。

一人前の冒険者は、戦いにおいて仲間に何を頼り、何を頼られているかを知っている。それは、駆け出しのあなたには、まだ身についていない生き残る術だ。

あなたがまだ仲間との戦いを知らないのならば、それを体験するのも重要な経験となるだろう。仲間の存在はいかなる場合においても、かけがえのないものだから。
市門の側には、あなたと同じ駆け出しの冒険者がいるはずだ。彼らに声をかけ、仲間に誘うことがその第一歩となる。いや、未来の仲間が、すでにあなたを探しているだろう。

あなたは自分が足手まといになる可能性に怖れを抱いているかもしれない。その感覚は初めての戦いにおいて死を怖れたのに似ている。

しかし戦いと同様、仲間を得ることも冒険者には避けて通れぬ壁なのだ。
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例え束の間でも、仲間を得て戦うことこそが、冒険者にとって大切な経験となるだろう。