出来事

多くの冒険者を鉱山に駆り立てた『第二次ミスリルラッシュ』の出来事は、記憶に新しい。このミスリルラッシュで得たノウハウが、ヴァナ・ディール各地で活用されようとしている。

天晶暦685年、パルブロ鉱山でミスリルの鉱脈が見つかった。多くの人が一攫千金を求めてパルブロ鉱山に群がり、バストゥーク共和国の人口は一気に膨れ上がった。すなわち『ミスリルラッシュ』である。結果として治安維持と軍紀粛正のために『ミスリル銃士隊』が結成された。

それと同じ歴史が冒険者によって繰り返されたのは先般のことだ。クゥダフによって占拠されていたパルブロ鉱山から冒険者が『ミスリルの砂粒』を持ち帰った瞬間、バストゥークの政財界は沸き返った。

ミスリルの復活を切望していた共和国市場は、冒険者に対して莫大な報酬を支払った。しかし、その額は彼らが冒険者としての自覚を忘れるのに十分すぎたのである。

コンシュタット高地獲得という共和国の狙いとは裏腹に、鉱山は一攫千金を狙う冒険者で溢れ返った。
「より多く! より早く!」

それを合言葉に、彼らは丸腰でパルブロ鉱山へ走り、高騰するチョコボを惜しみなく利用した。

しかし饗宴の後に待ち受けていたのは、供給過多になった『ミスリルの砂粒』の価格下落と、供給が追いつかないツルハシの高騰だった。
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そしてパルブロ鉱山に群がった冒険者の多くは、武器と鎧を携えて各地へと姿を消していった。

以上が『第二次ミスリルラッシュ』のあらましである。

いまでも『ミスリルの砂粒』を求めて採掘に訪れる冒険者はいるが、当時の面影を窺うことはできない。

この事件に歴史的な意味を求めるのはまだ早いだろう。だが、これをきっかけとして世界に変化が起きようとしている。

ノウハウを得た冒険者たちが、各地の鉱脈で採掘を始めたのである。

再び一攫千金を狙う彼らによって、新たなるミスリルの鉱脈が見つかれば、3度目のミスリルラッシュが訪れるだろう。

そしてその舞台は、バストゥーク共和国領内とは限らないのである。
(Ainworth)


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