出来事

あるカード使いが偶然発見した1枚のチラシが、『テトラマスター』の愛好者たちの話題を独占している。それは、かねてより噂されてきた大会の開催を告げるものだったという。そこには何が書かれていたのか?

『テトラマスター』の歴史において、大会などの記録は残されていない。仮に告知通り大会が開催されれば、史上初ということになる。

今回このチラシを最初に発見した人物を取材したところ、大会に関するいくつかの謎が明らかになった。

まず、カード使いなら誰でも自由に参加できる大会であるようだ。参加費も不要で、個々の称号などによる制限も特に設けられないらしい。

さらには、通常と異なり、対戦に負けた場合でも手持ちのカードや掛け金が奪われることはないという。

これらが事実であるならば、強豪たちによるカードの奪い合いを単純に楽しむために開催されるものではないはずだ。むしろ、この大会の主な目的は、『テトラマスター』をさらに普及させることや、会場に大勢の愛好者たちを集め、親睦を深めさせることにあるのではなかろうか。

街で取材した冒険者たちは、大会についてこう語った。

「規模が大きければ、多くの冒険者たちも集うはずだろう? そこで、この俺の名を知らしめるわけさ!」

「私は大切なカードを失うことを恐れ、今までは対戦を控えていました。けれど、今度の大会では何も恐れず大胆に勝負を仕掛けるつもりです」

中でも、シーフと獣使いのふたりの回答は一風変わったものだった。

「珍しいカードがたくさん見られそうだよね。だって、取られる心配がないなら誰だって自慢のカードで戦うじゃないか。ま、観戦して次に狙うカードの品定めでもするかな」

「例のカエル使いも、出場するって噂だぞ。見てな、カエルどもはオレが手なずけてやる」参加を予告していたMrs. Frogheart(ミセス・フロッグハート)は、やはり注目の的だ。

大会へ期待するものは人それぞれだが、冒険者たちの関心は一様に高いと言える。なお、この大会の主催者は『テトラマスター』を各地に広めた中心人物たちが組織する団体だとの説が、今のところ有力だ。

詳細こそ不明であれ、満を持して開催される待望の大会。『テトラマスター』をたしなむ者なら、会場をのぞいてみる価値はあるだろう。
(Finleen)

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