読み物



こちらVanglaise (ヴァングレーズ)。そちらの調査は順調だろうか? 我々ウィンダス班のふたりは、まあ元気にやっている。

旅路ではFreddal(フレッダル)の奴が何度も獣人に捕まって、私まで危険にさらされたが、冒険者に助けられて何とかウィンダスへ到着した。それにしてもここは噂以上に美しく、また何とも不思議な国だな。

食料が豊富だとは聞いていたが、本当に旨いものが揃っている。君たちも、次の休暇にでも来てみるといい。

せっかくだ、初日の様子を伝えよう。この国にはいくつかギルドがあるが、我々は活気にあふれた調理ギルドの調査から開始することにした。途中のタロンギ大峡谷で入手した『野兎の肉』を早く食いたいと、Freddalがあまりに騒ぐものでな。

入門後、手始めに作ってみた料理は『ローストコーン』だった。あの独特の味つけはセンスを問われるところだが、『ミリオンコーン』さえあれば我々のような素人にも作れた。土産に持ち帰るから期待してくれ。

ちなみにFreddalは、“もっとタフになりたい君にお勧め”などと報告書に記していた。ヒュームという連中は皆こんなに不真面目なのか?

何度か『ローストコーン』を作って調理の勝手がわかってきた頃、『野兎のグリル』に挑戦することにした。

『野兎のグリル』は、『乾燥マージョラム』で臭みを消した『野兎の肉』を、こんがり焼き上げる料理だ。火加減には苦労したが、調理人の助力もあり案外まともなものができた。

人気料理だけあって、味のみではなく滋養も上々だった。 “ひとかじりでたくましい腕に!”という相棒の報告書は後で修正させておくとしても、これはあながち嘘ではない。


写真
ああ、ひとつ聞いて欲しい話があった。肉の風味付けに必要な『乾燥マージョラム』は比較的安価で隣のギルドショップでも購入できるのだが、何と我が相棒は原産地までチョコボを飛ばそうとしていたのだ。

確かに、レシピにある食材をすべて買い揃えていてはキリがないが……。奴に目付役が必要だった意味が、理解できたような気がする。

まあ、ギルドショップ以外でも食材を調達する経路を押さえる必要はあるのだろうな。明日以降は、各地の特産品を扱う店や国外の流通事情などの調査にも着手しよう。事情通の冒険者にも話を聞くつもりだ。

初日の最後は、『サーモンサンド』に挑んだ。これは故郷サンドリアの料理だったはずだが、調理ギルドでは旨ければ何でもありらしい。
写真 一見簡単そうでも、我々にはまだ難しいようだ。調理人の助けを借りても満足のゆく味にはならなかった。

たとえるなら、冒険者がいくら果敢に挑んだとしても、格が違いすぎる強敵には勝つことができないようなものか。無謀な挑戦を繰り返しても食材が無駄になるだけなので、今回は調理人が手本に作ってくれたものを相棒に試食させた。“ひと言では表せない驚きの効果!?”だそうだ。

有意義な調査になっているかは疑わしいが、初日はここで終了とした。
さて明日は、需要が高まっている
『ゆで卵』の調査にかかる予定だ。怠け者の相棒は“『トカゲの卵』は高級品だから、できあいの『ゆで
卵』を買って済ませよう”と言っていた。調査員の自覚など皆無らしい。

まだ初日が終わったばかりだが、食の世界は新鮮な驚きに満ちていた。他のギルドの様子も、調査でき次第連絡しよう。貴班の健闘を祈る。
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