"満ちた月の光を浴びて、MoonRabitは白き影を躍らせる"

ヴァナ・ディール各地に残されている白ウサギの伝説が、現実のものとなった。その夜、冒険者たちは、「ムーンカロット」を携えて、白い影を追い続けた。

MoonRabitの伝説は、様々な形で各地に残されている。
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病気の母親を救うために、霊薬「ムーンカロット」を求めて満月の夜に月へと旅立った白ウサギのお話。

なけなしの「ムーンカロット」を白ウサギに与え、逆に飢えてしまった旅人を救うため、自ら焚き火へと身を投じたお話。

幼い頃、彼らの伝説を暖炉の側で聞いた人も多いだろう。その出現を最初に察知したのはモーグリ族だった。

「彼らにムーンカロットをあげると喜ぶクポ!」

そう言って、モーグリたちは街頭に立って、冒険者に、持てるだけの「ムーンカロット」を配ったのだ。

そして、その言葉通り、満月に導かれて彼らMoonRabitは姿を現したのである。

淡い青色の光が浴りそそぐ夜、月下に踊る白い影を追って、無数の冒険者が大地を駆けた。

「信じられないスピードだった。追いつくなんてできっこない。それでも、何とか手渡せたのは、運良くコッチに突進してきたからだよ。その瞬間のウサギの顔をみたら、愉しそうに笑ってるのさ。からかわれてたんだ」

MoonRabitから「月見団子」を受け取った黒魔道士は、苦笑いして本紙記者にそう語った。

しかしながら"MoonRabitは不幸という魔物に追われている"とも伝えられている。

その説を証明するかのように、その夜の出来事は多くの不幸ももたらした。

MoonRabitを追いかけることに躍起になった冒険者たちが、獣人に襲撃され、犠牲となったのである。

また、そこに存在しないはずの"はかり知れない"強さを持つモンスターの目撃情報も数多く届いた。

そして、MoonRabitは追いすがる冒険者を尻目に、出現時と同様、忽然と大地から姿を消したのである。

今回の出来事はMoon Rabitにとってほんの戯れだったのかもしれない。

正体不明のMoonRabit、存在しないはずのモンスター。分からないことだらけだが、彼らが託した「月見団子」や月に由来する武器は、冒険者たちの手に確かに残されている。

いつかまた、彼らは満月の夜にヴァナ・ディールに戻ってくるのだろうか。

再び冒険者と戯れるために――。


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