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ある程度の名声を得た冒険者であれば、ヴァナ・ディールで暗躍する特殊な商業組織の存在を耳にしているだろうか? あるいは、彼らが"ある遊び"を仕入れたという事実まで、すでに知っているのだろうか。
その組織の名は「天晶堂」。会員制で一切の取引が不明なため、詳細な活動内容はつかめないが、独自の交易ルートを確保しているとの噂もある。 |
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彼らの存在をよく思っていない商人たちは多い。しかし、聞こえてくるのは、何も怪しげな噂や悪評ばかりではなかった。
「天晶堂」の関係者たちが東方から仕入れたとされる遊びが、最近バストゥークで流行しているというのだ。その遊びは、今や冒険者や商人、さらに観光客らを通じて、各国に広まりつつあるようだ。
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「天晶堂」の関係者らも出入りしていると言われるバストゥーク港の酒場「蒸気の羊」亭を訪れると、冒険者や商人たちがこの話題に花を咲かせていた。ある者は上機嫌で戦果について語り、またある者は己の勝負運の弱さを嘆く。何やら戦術の講義を始める者もいた。
彼らはこの異国の遊びを、『雀鳳楼』という名で呼んでいた。
聞けばこの『雀鳳楼』という遊びは、4人集まれば卓上で楽しめるような手軽さであるとのことだ。
もとより東方では、たいへんな人気を誇る伝統的な遊びであるという。手軽であるにもかかわらず、あまりにも奥が深いところが『雀鳳楼』の魅力なのだと、酒場に集う人々は口を揃えて言った。
また近頃は、冒険者でも参加できる大会も開催されて、大いに賑わったらしい。今後もそのような大会が開催される可能性は高いはずだ。
本紙記者は、この遊びをバストゥークに持ち込んだとされる「天晶堂」との接触を試みたが、遺憾ながら失敗に終わった。取材網を巧みにすり抜ける技は、さすがだ。結局『雀鳳楼』が持ち込まれた真の目的はつき止められなかったが、本格的な流行は、目前まで迫っているようだ。
今回ばかりは、「天晶堂」の"暗躍"に感謝する人々も多いかもしれない。
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