出来事

視界いっぱいに広がる人、人、人。歩くことすら困難となっているにもかかわらず、多くの商人たちが自慢の品を地面に広げ、道往く人々に勧めている。この競売所前の雑踏に対して、住民たちから陳情書が提出された。

ジュノ大公国の下層にある競売所前は、連日の賑わいを見せている。

交通の要衝という地理的要因により、多くの商人や冒険者たちが、この国に滞在しているためだ。

競売に出された品と、商人たちのバザーを丹念に見てまわると、ヴァナ・ディールで手に入るもので、そこで取り 引きされない物がないことに気づかされる。ありとあらゆるものが、下層の競売所前に集まっているのだ。

それゆえに競売所前の混雑は尋常ではなく、人ごみを掻き分けないと進むことすらできない。

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ジュノはその特殊な構造上、すべての道路が重要な意味を持っている。一部でも機能しなくなると、街全体が麻痺した状態に陥ってしまうのだ。住民が大公に陳情書を提出したのも、当然の行動と言えるだろう。

「商人や冒険者諸君の自浄努力に期待する。それでも状況の改善が認められない場合、バザーへの課税や規制も検討する」

陳情書を受理した大臣は、大公の言葉として、以上のように発表した。

実際のところジュノだけの問題ではない。程度の差こそあれ、各国の競売所前で共通して起こっている問題である。ジュノでなんらかの対処がなされた場合、それが四国協商会議を通じて、各国で適用されることは十分に予想される。

大公が発表したような対策が現実に施行された場合、もっとも被害を被るのは、当事者である商人や冒険者たちであろう。

“通行を妨げないバザー”、“競売所から離れたところでのバザー”など、彼らの自発的な行動による問題の解決が望まれている


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