読み物



Vanglaise (ヴァングレーズ)さん、
Freddal (フレッダル)さん、Calvitaです。小包が今朝届きました! こちらから泣きつく前に、贈り物の材料を送ってくれるなんて、びっくり! ありがとうございました。Lilli(リリー)も尻尾を振って喜んでましたよ。

でも、あの「獣人ミスリル貨」、どうやって手に入れたんです? Freddalさん、また無茶なことしました?

あ、そうそう。サンドリア班も突然資金を送ってくれたんですよ!“わが班もヒミツ計画に協力します”って。みんな、わたしたちの考えてたことなんてお見通しだったんですね。

なんていうか、ほら、調査団って変わったひとが多いし、普段はバラバラでしょう? だから、みんながこんなに素敵なことをしてくれるなんて、ぜんぜん予想してませんでした。

遠く離れていてもMuclaireさんの結婚を祝う気持ちはみんな同じ……。そう思ったら、涙が出そうでした。

そもそもわたしとLilliは、彫金ギルドに入門したての頃に、調査しながら技を磨いて、いつか花嫁への贈り物を用意しようって決めてたんです。なのに見習になるまでに予算を使い果たしちゃって。それで肝心な贈り物の材料を揃えられずにいたんです。

困っていたわたしたちに、希望の光が見えたのは、ある石の塊を調査していた日のことでした。

Lilliが大粒の結晶を削り出すことに成功したんです。いつもと違う宝石だなって思ったら、なんと美しい若葉色の「ペリドット」! しかも透明度の高い上質なものです。もう、ふたりで大騒ぎでした。Muclaireさんが隣の部屋で作業してたから、慌てて口を押さえたんですけどね。

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その様子を横で見てた彫金ギルドのマスターFatimah(ファティマ)さんも、

“「ペリドット」は夫婦の幸福を意味する宝石。花嫁にもふさわしい”って薦めてくれました。それを聞いたわたしたちは、この美しい宝石をピアスにして贈ろうと決めたわけです。

さて肝心のピアス作りですが、わたしたちにはまだ難しいんですよね。それでギルドで出会った彫金師さん(本業は吟遊詩人)にお願いしたところ、快く引き受けてもらえました。

“お代? 1ギルだって要らないよ。おめでたい話なら、なおさらね”って。さあ、あとはピアスの台座を作る材料を調達するだけ! わたしとLilliは、はりきって競売所やバザーを見て回りました。

だけど、いい地金ってやっぱり値が張るんですよね。ふたりの手持ちを合わせてもぜんぜん足りなくて、内心あきらめかけてました。
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その時です! おふたりから「獣人ミスリル貨」が届いたのは! わたし、彫金師さんのもとへ走りました。

そしてついさっき、ピアスを作ってもらったんです! もちろん高度なクリスタル合成法を調査するいい機会だから、しっかり見学してきました。

まず「獣人ミスリル貨」が高温にかけられて延べ棒状にされると、それを素材にしてピアスの台座が作られました。小さな台座に繊細な細工を施す彫金師さんの真摯な表情には、思わず心を打たれちゃいました。

最後に左右それぞれの台座へ「ペリドット」が慎重にはめ込まれて、ピアスが完成! その瞬間、拍手の嵐が巻き起こりました。いつからか、職人さんや冒険者さんたちが作業の手を止めて見守ってくれてたんです。

こうしてできたピアスには、たくさんの人々の真心がぎゅっと詰まってると思います。結婚式では花嫁の耳元にぜったい注目してくださいね!

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