出来事 翻る獣人軍旗! 悪夢の再来

獣人軍旗。その意味するものがいかに恐ろしいか、先の大戦を経験した者ならば、誰もが身に染みているだろう。その旗が、何者かによって各地に掲げられている、という不吉な報告が多数よせられている。

獣人軍旗の目撃報告は、諸国の正規兵や冒険者からではなく、遠征軍が派遣されるような辺境に住んでいる人々によるものが多い。

「朝、畑仕事に行こうと家を出たら、庭先に昨日まではなかった“あの旗”が翻っていて、腰を抜かした」

目撃報告のほとんどが、このような内容なのだそうだ。

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獣人の脅威に怯えながら生活している彼らにとって、近隣に掲げられたかの軍旗は、獣人たちに襲撃を予告されているようなものだ。いつ徒党を組んで夜襲を仕掛けられるかと、おちおち寝ることもできないに違いない。

美しい修道院で知られたノルバレンのダボイ村が、獣人軍の残党のオーク兵によって夜襲を受け、焼け野原と化してしまった事実は、まだ記憶に新しいところだ。

だが、この獣人軍旗が意味する恐怖は、村ひとつの壊滅程度のものではないかもしれない。

まことしやかに囁かれる噂がある。“かつて大戦で獣人軍を率いた闇の王のごとく、部族の壁を越え、獣人らを結束させ得る統率者が現れた”と、いうものだ。

その裏付けとして、各獣人部族の戦力が格段に増強されつつあることや、本来バラバラだった彼らの活動に連携めいた意図が読み取れることなどが指摘されている。

もし噂が事実なら、各地に掲げられた獣人軍旗は、“かつての獣人軍が、今、再び編制されつつある”という獣人たちの我々に対する布告だと言えるのではないだろうか?

闇の連合軍の恐ろしさは、歴史がすでに証明している。

各国は獣人軍旗の情報に対し“憂慮すべき事態”と受け止め たようだ。だが、この件について談ずる国際的な場が設けられることはなく、各々が「我が国の遠征軍を強化して対策にあてる」と発表した。

獣人たちの戦力結集が懸念される中、かつてアルタナ連合軍を結成した3国が、バラバラに活動しようというのだから、皮肉な話である。

Ainworth

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