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マウラからセルビナに向かう船旅。普段は穏やかな旅だ。甲板で釣りをしている者、客室でくつろいでいる者、リンクシェル通話に夢中になっている者……そのすごし方は様々だ。
しかし、時にその平穏が破られ、船内が緊迫した空気に包まれることがある。
海賊の襲来だ。
それは、一般旅行者や釣り人、そして新米の冒険者たちを大混乱に陥れ、船内を阿鼻叫喚の場に一変させる。船旅の恐ろしい一面である。
特派員である私は、定期船が海賊に襲撃されるリスクを調査するため、合計25回も船旅を繰り返してみた。結果、海賊に襲われたのは4回。およそ6分の1の確率で海賊に襲われた計算になる。
船旅のリスクがいかに高いか、理解していただけよう。 |
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海賊は、濃霧に乗じて船を接近させることを常套としている。そして、目標とした船に自船を横づけにすると、骸を甲板に飛び移らせる。
感情を持たない骸に容赦はない。冒険者といえども、うかうかしていたら、すぐに狩られてしまう。たとえ、一体倒せたとしても、生半可な腕前では、続々と送り込まれてくる骸の前に、やがて力尽きるしかないのだ。
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調査の途中、海賊を討伐するため、定期船に乗り込んだベテラン冒険者たちに何度か出会った。歴戦の猛者である彼らの手並みは鮮やかで、あの海賊をいとも容易く撃退していた。彼らが同乗していれば、船旅の危険は半減するに違いない。
だが運悪く、頼るべき者がいない状況で海賊の襲撃を受けた場合、どのように対処すればよいのだろう。
海賊討伐隊の一員として乗船したあるナイトは、こうアドバイスする。
「新米の冒険者たちは、船倉か操舵室にでも隠れているしかないだろう。ただ、奴らは気を抜いているものが、見えると言う。
たとえ、首尾よく船倉に隠れられたとしても、いつでも動けるようにしておくことだ」
航海術に長けた獣人はあまりいないため、海上で彼らの脅威を心配する必要はない。しかし、海には別の脅威が存在することを忘れてはならないだろう。
結局、自分の身は自分で守るしかないのだから。
Across/Phoenix
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