特派員 新しいサービス

大地を疾走するチョコボ。波間を航行する連絡船。目を空に転ずると、雲間を行き交う飛空艇。冒険者たちが利用する移動手段は実に多彩だ。そして今、冒険者の間で新しい移動方法が普及しつつある。白魔法「テレポ」だ。この魔法を応用したサービス“テレポ屋”の実態を調査した。


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遠征軍への参加や鉱山採掘、あるいは本国への帰還。旅の理由はさまざまでも、“より早く到着したい”というのは共通の要求だろう。それを“テレポ屋”は満たしてくれる。

各地にある巨岩へ瞬時に移動できる快適さ。そして、その巨岩の付近にチョコボ厩舎が出張営業していることによるアクセスのよさが、好評を博しているゆえんであろう。

彼らの営業は、街中で“テレポ屋”を求めて叫ぶ者に直接連絡を取るか、“テレポ屋”であることを叫び、連絡を待って交渉を成立させるという簡単なものだ。

だが、一口に“テレポ屋”と言っても、客に運賃の判断を委ねている者や、団体割引を受け付けている者、また遠方へのサービスには倍額を提示する者など、その運賃形態は実に多様である。

ただ、これらサービス運賃に関しては、まだ統一の見解がなく、意見が分かれているのが現状だ。

「運賃とは別に、お菓子などのお礼も渡すことにしている」と言う、ある利用客の言葉に代表されるように、彼らに感謝の気持ちを抱いている者は多い。

その反面、利用客やボランティアの“テレポ屋”の一部には、たとえチョコボと同様の金額とはいえ、魔法を商売道具にすること自体に難色を示す者もいる。ある白魔道士は、この問題について、こう語った。

「冒険者である以上、誰かの役に立てることをしたいと、“テレポ屋”を始めたんです。でも、心づけでもいただかないと、新たな魔法を買うことさえ、ままなりませんから」

このような運賃の問題で浮き彫りになったように、“テレポ屋”を巡る、利用客と術者である白魔道士との間にある溝は、まだまだ深い。

だが一方で、瞬時に目的地へ着いてしまう「テレポ」にさえ、一期一会の交流を求めて“テレポ屋”を営む白魔道士もいる。

「呪文を唱えるだけでは寂しい。短い時間でも世間話ができたら」

同様の意見は、利用客にもあるようだ。

賃金の問題は別にして、少しずつだが、確実に“テレポ屋”が、人々の意識にサービスとして根付きつつある証拠ではないだろうか。

最近では、冒険者を安全な場所へ瞬時に送り届ける“デジョン屋”の存在も、にわかに注目されつつある。

ジュノを中心に流行する移動サービス“テレポ屋”は、アイディア次第でまだまだ発展し、今後も広まっていくだろう。

運ぶ者と運ばれる者、双方の交流を生みながら……。
Kanox / Caitsith

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