出来事 エルシモ島観光ツアー実施される

間もなく運行が再開されるジュノ-カザム間飛空艇航路の最終試験飛行として、エルシモ島観光ツアーが実施された。公募によって選ばれたジュノ市民たちは、一足先にエルシモ島に渡り、大自然を満喫した。

「長い間、航路が閉ざされていたため、カザムのあるエルシモ島には、人の住みにくい危険な土地というイメージが定着してしまいました。

ですが、それはほんの一面を捉えているにすぎません。雄大な自然に彩られた絶景は、皆様の耳目を必ずや驚かせることでしょう。それを少しでも早く皆さんに知っていただきたく、今回のツアーを企画しました」

事前の取材で、飛空旅行社の広報担当はこのように述べていたが、この誤ったイメージは、ツアー初日に彼ら主催者を困惑させた。

「カザム行きの飛空艇では、空飛ぶヤグードが襲ってくる」「ユタンガ山が吐き出した火山弾がボムになって、カザムに降ってくる」「大森林に一歩でも出たら最後、二度と生きては帰れない」「見たこともない動物に囲まれて、みぐるみ剥がされる」

せっかく当選したにもかかわらず、このような噂に怖気づき、ツアーを辞退する者が相次いだのだ。予定では、何百人もの応募者から選ばれたジュノ市民34人が参加予定となっていたが、結局、ツアー催行の当日に集まったのは、予定の半数に満たない16人だったのである。

予想外の事態に見舞われ、前途多難と思われた観光ツアーだったが、恐怖よりも好奇心が勝って参加した16人にとっては、感動と驚きに満ちた旅となった。

飛空艇の甲板で、眼下に見える“メアの岩”や、彼方に望む“星の大樹”に彼らは喜び、海の向こうにユタンガ山の噴煙が見えたときには、全員が歓声を上げていた。

カザムに着くと、彼らは現地のミスラに温かく迎えられ、古くから伝わる郷土料理に舌鼓をうった。そして翌日には彼女たちの護衛のもと、エルシモ島の名勝を観光したのである。

写真 「実は、僕も恐くてツアーを辞退しようかと悩んでたんだけど、そうしなくて良かったよ。確かに危険な場所かもしれないけど、こんな想像もできなかったような見事な景色が、ヴァナ・ディールにあったなんて……」

生い茂る森林、雄大な滝、灼熱の噴火口。クォン大陸ともミンダルシア大陸とも明らかに異なるエルシモ島の景観は、街暮らしのジュノ市民にとって、一生の思い出となったようだ。

参加人数こそ少なかったものの、飛空旅行社の「エルシモ島のイメージを払拭したい」という狙いは成功したといえるだろう。

飛空艇航路の再開によって、エルシモ島は多くの観光客や冒険者で賑わうに違いない。
Zenngg

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