ねえ聞いてよMuclaire(ミュークレール)ちゃん! サンドリア班はね、鍛冶ギルドにも入門したんだよ〜。
僕ら3人の様子? Putatta(プータッタ)は、調査を口実に美形の職人さんにターゲット固定。機嫌よさげだから僕は助かってる。Dalgaumm(ダルガウム)は、鉱石とインゴットに夢中。これも普段どおりだから問題なし。ね、意外に順調そうでしょ?
で、僕はサンドリアの鍛冶ギルドそのものに興味があったから、職人さんや近隣のマダムたちをつかまえて、聞き込み調査をしてるところなの〜。
そうだ、Muclaireちゃんだけに僕がつかんだ情報を教えてあげる♪
★★ 聞き込み調査結果 その1 ★★
サンドリアとバストゥークの鍛冶ギルドの生い立ちは、まったく別!
サンドリアとバストゥークって、大戦前までは敵国同士だったでしょ。だから、職人さん同士の交流なんてあるわけもなく、それぞれが独自の技術を発展させてきたらしいんだ。
バストゥークはどうだかわからないけど、サンドリアの鍛冶ギルドはずいぶん昔からあったみたい。ほら、昔から剣を振り回して暴れてばかりの国だからね。ひゃ〜、こわ〜い!
★★ 聞き込み調査結果 その2 ★★
サンドリアの鍛冶ギルドは、青銅や鋼の武器が得意!
名高いサンドリア剣も、独自の手法で鋼を鍛えてつくられているものらしいよ。職人技だけで、あそこまですごいものが生み出せるっていうから、びっくりだよね。剣づくりでは“バストゥークなどに絶対負けない自信がある”ってさ〜。
木製の長柄つき武器もここの自慢らしいけど、これは昔から木工ギルドと仲よしだったからだって聞いたよ。
★★ 聞き込み調査結果 その3 ★★
数々の名品は騎士団のワガママから生まれた!?
鍛冶ギルドと騎士団って、腐れ縁〜じゃなくて、深いつながりがあるの。おどろいたことに、ギルドに所属してる職人さんたちの中には、特定の騎士お抱えの鍛冶職人さんまでいるんだよ。
彼らが言うには、武器にかなりうるさい王立騎士団の注文に、数百年もの間応え続けてきたっていう実績が、ここのギルドにはあるんだって〜。なるほど、すごい武器ができちゃうわけだ。
代々の職人さんたちの気苦労は、計り知れないけど……。
★★ 聞き込み調査結果 その4 ★★
ベテランの鍛冶職人たちは、大いに嘆いている!?
実は、ちょっと気がかりな話もあったんだ〜。
鍛冶仕事ひと筋でやってきた昔ながらの職人さんたちがね、ギルドの将来を心配してるみたいなの。中には“サンドリア王国の鍛冶ギルドは伝統と誇りを失いつつある”って男泣きする職人さんまでいてさ、さすがの僕も困っちゃった〜。
大戦をきっかけに、各国が団結して世界平和を守ろうって風潮になってきたじゃない? 戦後間もなく、外交政策を見直したサンドリアとバストゥークも、その一環として鍛冶ギルド同士の技術交流を始めたんだってさ。
おかげで両国のギルドが発展したことは、サンドリアの古い職人さんたちも認めてるらしいんだけど、どうしても、よそから入ってきた素材や加工技術ばかりに注目が集っていることが気になってるみたい〜。ある職人さんは、バストゥークからきたダーク鋼っていう素材に若い職人さんたちが飛びついた頃から、サンドリアの鍛冶ギルドが変わり始めちゃったって言うんだ。
僕なんかはね、新しいものを取り入れるのって悪いことだとは思わないの。でも古くからの職人さんたちにしたら、自分たちが長年積み重ねてきたものが失われるようで寂しいんだろうね〜。伝統って、築き上げるより守り続けていくほうが、もっとたいへんなのかなって気がしたよ。
ときにMuclaireちゃん、“にかわ”の研究も楽しそうだけど、そろそろバストゥーク班でも鍛冶ギルドの調査を始めてみない? 特に、例のダーク鋼の情報なんかを、僕だけにこっそり回してくれたりしたら、すごくうれしいんだけどな〜!
追伸:この手紙の内容、Putattaには秘密にしておいてよね〜。あいつにバレると、いろいろ厄介なんだ。