読み物 ギルド調査員の手紙 -鍛冶 共和国篇-
9通目 鍛冶職人に栄光あれ


Nahm-Yahm(ナームヤーム) こんにちは。サンドリアの鍛冶ギルドの調査結果、興味深く読ませてもらったわ。私たち3人は、さっそく鍛冶ギルドに入門するために大工房へ足を運んで、じっくり見学してきたのよ。

かの有名なCid(シド)工房長の研究室をはじめ、火薬研究所にサーメット精製室……。重要な施設を集めた大工房は、まさにバストゥークの心臓部ね。

手始めに鍛冶ギルドで基礎的なことを学んだ私は、Calvita(キャルヴィータ) と Lilli(リリー)に現場での調査をお願いして、ひとりでダーク鋼を扱っている黒鉄工房へ向かったの。あなたのお望みどおり、そこでダーク鋼のことを調べてきたわよ。

<共和国の産業を支えたダーク鋼>
ダーク鋼とは、鉄鉱3対黒鉄鉱1の合金のことなの。錆びないし、青銅や鋼などと比べてはるかに硬度が高いから、この国では武器や船体など、さまざまな製品に利用されているわ。

もとは小さな鉱山都市に過ぎなかったこの国が短期間で急成長を遂げたのは有名な話だけれど、ダーク鋼製品も、鉱山開発の道具や交易の主力商品として、その発展の原動力のひとつとなったようね。 写真

<ダーク鋼の長い歴史>
少し意外なこともわかったわ。実はバストゥークにとって、ダーク鋼は決して目新しい素材などではなかったのよ。

冶金術に長けたガルカたちだけは、大昔から黒鉄鉱の精製やダーク鋼の加工に必要な技術を持っていて、それを大切に守ってきたんですって。もっとも、彼らの扱っていたダーク鋼の武器や道具はあまりにも重かったから、昔は他の種族には無用の金属と思われていたらしいの。

でも、ある時、この硬くて錆びない金属をどうにか利用しようと研究を重ねていたヒュームたちが、ついにダーク鋼の軽量化に成功したの。こうして初めて他の種族の武器や道具にも利用できるようになったダーク鋼は、普及していったというわけ。

そうだわ、この前Putatta(プータッタ)からの手紙に“「ダークの鎖」が欲しい!”って書いてあったのよ。

あの子、あなたが逃げ出さないようにつないでおきたいんじゃない? ダーク鋼も、いろいろな目的で利用されるようになったものね……。

<鍛冶ギルドv.s. 錬金術ギルド?>
ダーク鋼の普及で、バストゥークの鍛冶ギルドは、確かに一時代を築いたわ。

ところが最近では、錬金術ギルドが各地の謎の岩などを分析して応用開発したサーメットという新素材に、市場を奪われつつあるというの。まるで、彼らのダーク鋼がサンドリア伝統の冶金術を脅かしているのと似たような状況だと思わない?

けれども心配することなんてないのよね。いつの時代でも、技と知恵を持つ者同士がそれぞれの威信をかけて競い合うことで、お互いがさらに優れたものを生み出してきたんだもの。そして、本当に価値あるものは、新しい時代の波にのまれることなく必ず後世まで生き残る……。ほら、私たちエルヴァーンの誇るサンドリア剣みたいにね。 写真

彼らが鍛冶職人の誇りを失わない限り、サンドリアとバストゥークの鍛冶ギルドはきっとだいじょうぶよ。それどころか、錬金術ギルドが新しいライバルになったことで、鍛冶の技術がこれからどう進化するのか、ますます楽しみになったくらいだわ。

もちろん、研究熱心な錬金術ギルドの職人さんたちだって、そう簡単に負けたりしないだろうけれどね。

ねえ、話は変わるけれど、先週あたりウィンダス班から釣り大会の招待状が届いたでしょう? 我が班は万全の体制で挑むわよ。

Calvitaと私は釣り具を量産中。錬金術ギルドで釣り具合成の猛特訓をした経験がある私たちは、それなりに自信があるの。

それに我が班には、Lilliという釣りポイント探知機までついているんだから。信じられないだろうけれど、彼女、魚の潜んでいる気配を尻尾で感じるのよ。

さあ、サンドリア班も本気でかかってきてよね? 期待しているわ。

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