出来事 コンクェスト戦線異状有り?

常に特定国の領地となる地方や各国の戦力が拮抗して支配国がよく替わる地方など、コンクェストによって諸国の領地は大きく左右されている。今、コルシュシュで、その戦力分布に大きな変化の兆しが表れ始めた。

タロンギ大峡谷やブブリム半島を含むコルシュシュ地方は、コンクェスト政策の開始後、常にウィンダス連邦の支配下に置かれ続けてきた。

写真 その理由は、地勢によるところが大きい。ウィンダスは、ミンダルシア大陸に首都を置く唯一の人間国家である上、コルシュシュには交通の要衝として知られる彼らの第二の都市、マウラがあるのだ。

また、当地に覇を唱える獣人ヤグードとは、形式的とはいえ不戦協定さえ結んでいる。

これらの理由により、コルシュシュが連邦領であり続けるのは、むしろ当然のことであった。

しかし、最近になってこの安定が大きく揺らぎ始めた。ヤグード族の戦力が急激に増強され、コルシュシュが脅威にさらされ始めたのである。

「この地方って、ヤグードチェリーの特産地でしょ。だからヤグードたちも、美味しいチェリーが食べたくなったんじゃないのかなぁ」

「ウィンダスが、コンクェスト政策に参加したりするから、ヤグードたちを怒らせちゃったんだよ〜」

「どこの国でもいいから、ここに平穏をとり戻して!」

この危機的な状況に、コルシュシュに住む人々は一様に不安の色を浮かべている。

この機に乗じ、コルシュシュの獲得に本腰を入れ始めたのが、サンドリアとバストゥークである。元々両国にとって、ミンダルシア大陸の海の玄関口であるコルシュシュを抑えることは、かねてからの悲願であった。

さらに、今は獣人勢力の拡大を阻止するという、大義名分までついているのだ。両国がコルシュシュ獲得のために、自国の冒険者を続々と送り込むであろうことは想像に難くない。

今後、コルシュシュから獣人勢力が駆逐されたとしても、その時、ここを領地としているのは、果たしてどこの国か予測がつかないのが現状なのだ。

長い安定期を謳歌したコルシュシュは、今や獣人の野望と各国の思惑が渦巻く、混沌の地に一変したのである。
Ainworth

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