記事 特産品を護れ! 遠征軍の奮闘


コンクェスト政策の対象となっている地方が獣人に占領されてしまうと、ヴァナ・ディールの経済に大きな影を落とすことがある。

その地方の特産品の街への流入がストップするからだ。特産品とされる品の多くは、少量ならば個人栽培や採取などによって入手できるが、各地方からの大量供給が断たれては、市価の高騰は避けられない。

とくに影響を受けるのが食材だ。それは調理人以外の冒険者にも深刻な問題を招く。栄養価の高い食事を摂ることは、安全に冒険を続ける上で非常に重要な意味を持っているからだ。その食事の経費がかさむのは、冒険者なら、誰しも避けたいのは当然だろう。

「ジュノの物価が高くなると困るよ。そうでなくても、ヤグードドリンクは人気の高い飲み物だしね」と話すのはSpookiejrさん。彼は、コルシュシュ地方が獣人に占領された場合の「ヤグードチェリー」の高騰を案じていた。

もちろん、それだけではない。同じくコルシュシュ地方の「マウラのにんにく」やフォルガンディ地方の「妖精のリンゴ」などなど、冒険者が好んで食する料理の食材も、コンクェストの結果次第では、いつ供給が途絶えてもおかしくないのだ。このように大事な地方から獣人勢力を駆逐しようと、遠征軍に参加した有志の冒険者たちを追った。

ウィンダス連邦で編成された遠征軍は、Spookiejrを中心とした、Fontaine、Kazurin、Neueziel、Nurarihyon、Masaky、Muwu、Ryurinの8名。

前回の取材時と同様、戦闘魔導団ハララ(Harara)氏の移動魔法で、遠征地へと降り立った彼らは、現地であらかじめ獣人軍旗を探し出していたZgok、Kyle両名と合流。さっそく旗の撤去に取り掛かった。この2名は他国所属でありながら、1人の冒険者として使命を感じ、応援に駆けつけてくれたのだという。
写真
冒険者たちの軍旗の撤去作業も、今では手馴れたものだ。Ryurinが旗を外そうとすると、どこからともなく獣人軍の迎撃部隊が現れた。無論、予測済みだ。その対処法も、彼らは熟知している。

まして、以前の取材の時よりも、冒険者たちは実力的にも精神的にも確実に成長していた。

敵迎撃部隊の中にモンスターを従えた獣使いがいることは想定外だったため、多少混乱したものの、彼らは犠牲者をひとりも出すことなく獣人部隊を撃破し、軍旗を撤去できたのである。

時を空けず、自国の冒険者や兵たちの士気を高めるため、ウィンダス本国より“連邦遠征軍、獣人軍を破る”の報が各地に伝えられた。そして、そのまま勢いに乗じ、連邦は多くの地方を支配下に治めることに成功したのだった。

獣人勢力は昨今勢いを増し、以前とは比べ物にならない脅威となってきている。少しでも気を抜くと、またたく間に辺境は獣人に奪われてしまう状況なのだ。

無論、各国も遠征軍の強化に余念がない。以前に同行取材したときと比べても、いくつか改良された点を見出すことができた。

遠征軍の編制時に戦闘魔導団より支給された「魔行符」は、街まで瞬時に戻ることができるという便利なものだったし、成功報酬もかつてより格段に上げられていた。

国家の思惑と冒険者の思惑が必ずしも一致していなくても、獣人支配という事態を阻止したい点では変わりはない。より多くの冒険者が遠征軍に参加し、諸地方の保全と特産品の流通に貢献してくれることを願うばかりである。
特派員 : Across / Phoenix

戻る