サンドリア、バストゥーク、ウィンダスの街で光り輝くツリー。あなたは、もうご覧になっただろうか? まだという方のために、各国に設置されたツリーを簡単に紹介しよう。

サンドリアでいちばんの見所といえば、やはり北サンドリアの閲兵場に飾られているツリーだ。

噴水の左右に2本ずつ立つ大きなツリーが赤と緑のリボンを架け渡し、ドラギーユ城へ続くアーチを形作っている。枝々を飾る色とりどりの装飾も見る者を飽きさせない。ことに、夕日が沈んだ後の美しさは格別。ひときわ輝きを増したイルミネーションに、誰しもが幻想的な世界へと誘われるはずだ。

記者が取材に訪れた夜、ツリーの下には次々と見物客が訪れた。

冒険者らしき一行は寄り添うようにして腰を下ろし、夜更けまで楽しげに語らっていた。傍らで、特産品を売っていたアントニアン(Antonian)さんは、ひらひらと舞い降りてくる雪の結晶を手の平に受け、珍しそうに眺めていた。

凱旋門をくぐって南サンドリアへ出れば、そこでも美しく装飾された街路樹が目を楽しませてくれる。

いつも忙しく駆け回っているというラミネール(Raminel)くんも、その夜ばかりは時折足を止めて、凱旋広場や槍兵通りの華やぎに目を輝かせていた。通りに面した家に暮らしている老夫婦も、「我が家の2階のテラスが特等席なんですよ」と、嬉しそうに話していた。

バストゥークでは、商業区のツリーが注目を集めているようだ。

噴水に4本のツリーが組み込まれ、それらを支柱にするようにして金属製の巨大なフレームで全体を覆うという、技術先進国らしい大掛かりな造りには驚かされる。

「あれはクリスタルの力で光らせているの? それとも魔法? まさか宝石じゃないわよね」

黄金通りから、まばゆいイルミネーションを眺めていた彫金師の女性は、首をかしげて笑っていた。

バストゥーク港に飾られたツリーはというと、釣り鐘を思わせるようなデザインが印象的だ。

その1本は、「蒸気の羊」亭の店先で訪れる客を出迎えている。そこで若い恋人たちを相手に占いをしていたペランバルド(Pelinvarde)さんは、イルミネーションに歓声を上げる2人の様子を見て、微笑んでいた。

ウィンダスを訪れるなら、森の区まで足を伸ばして噴水広場のツリーを 見ておくといいだろう。

自然との調和を大切にするウィンダスらしく、元々そこにある樹が、そのままイルミネーションで飾り立てられている。さらによく見ると、装飾にも魔光草や星の大樹といった自然のモチーフが用いられているのがわかる。

広場で出会ったセノ・ザリン(Seno Zarhin)さんも、このツリーには満足したらしい。ゆらゆらと尻尾を揺らしながら、いつまでもツリーの側から離れようとしなかった。

ツリーを一望できる手の院の外階段では、タルタルの姉妹が、モーグリにもらったというコルモル博士の新作花火を打ち上げていた。「お星さまきれ〜い」「博士えらーい!」などと無邪気にはしゃぐ様子は、実に微笑ましかった。

彼女たちの話では、コルモル博士の新作の他にも“サンドリアのキラキラ”や“バストゥークの雪”も配られているとのこと。早速モーグリに声を掛けてみたところ、教えられた3種のどれとも違う、珍しい花火を手に入れることができた。

3国のツリーを見て回った記者は、それぞれの街の住民が、いかに自分の街を愛しているかということを改めて感じた。ツリーの様子を交代で見守る街の人々の顔は、みな誇らしげだった。

それにしても、たった1つだけ気がかりなことがある。それは、以前のツリーの行方だ。

ウィンダスの鼻の院から各国に贈られた、あの不気味な顔のついた大木は、今どこに……?

妙な胸騒ぎを覚えるのは、記者だけだろうか。

Rirukuku

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