どんなに恐ろしくて強大な相手でも、決して屈することなく、飽くなき挑戦を続ける冒険者たち。そんな彼らでも、背筋が凍るような恐怖に襲われることがあるという。

冒険者は、一体どんな時に恐怖するのだろうか? 彼らの話を聞いた。

“Anything that causes pain that boards a ship,
I fear.”
(船の上のヘンなもの、みんな怖いにゃー)

港町セルビナで出会ったKizzyさんとWasenshiさんは、船上でシーモンクに襲われた体験を語ってくれた。

“Sea Monks seem to hate land monks like me.”
(シーモンクは、俺たち“陸のモンク”は気に食わないみたいだな)

冒険者となって日の浅い2人にとって、逃げ場のない船旅そのものが恐怖体験のようだった。

熟練の獣使いであるShimanecoさんは、モンスター退治や素材集め、釣りなどをしながら、山奥や洞窟の中に何日も寝泊まりする生活を繰り返している。

そんな彼女のいちばんの恐怖体験は、ある日凶悪なモンスターの気配に気づき、ペットを呼ぼうとポケットに手を入れた時のことだったそうだ。なんと、相棒を呼ぶためのエサを切らしていたのだ。

助けを得られない場所で、かなうはずのない相手と対峙せねばならぬ恐怖。それを想像した私の手のひらにも思わず汗がにじんだ。

ナイトの道を歩むZenaiさんは、次のように語る。

“Monsters that are taller than me, I usually fear. But an unbalanced party is my biggest fear.”
(いつだって、でっかいモンスターは怖いもんさ。だけど、もっと怖いもんがある。何かって? そいつは、アンバランスなパーティさ)

仲間の盾になる覚悟を持ち、常に万全の態勢で戦おうと心掛けている彼にとって、もっとも辛いのは仲間が犠牲になることなのかもしれない。

ちなみに、安全なはずの街の中などでも、冒険者たちはぞっとするような体験をしているという。

「相場が大暴落したことかな。貴重なアイテムを入手して競売に出しておいたのに……」(Onjiさん)

「宅配便の宛名を書き間違えたこと。気づいた時は慌てて取り戻しに走ったよ」(Bouzさん)

「高額なチョコボの料金を泣く泣く支払って、走りだした途端に届いた救援要請。白魔道士としては放っておけないし」(Jackrovinさん)

あなたが冒険者ならば、似たような恐怖に冷や汗を流したことがあるのではないだろうか。

絶体絶命のピンチ、笑い話のような失敗。冒険者が感じる恐怖にもいろいろあるようだ。だが、取材に応じてくれた冒険者たちには、共通している点があった。

それは、まるで恐怖体験を楽しんでいたかのように、笑顔で語ってくれたことだ。

きっと彼らは知っているのだろう。恐怖から逃げ出すことなく、それを克服することが、自分を成長させる糧になることを。それが、冒険者という生き方なのだということを。

「恐怖が大きいほど、克服した時に味わう達成感も大きくなる」

そう語りながら照れくさそうに笑った赤魔道士を紹介しよう。

人里はなれた地へ1人で旅するのが趣味だというYasさんは、数多くの危険を体験してきた冒険者だ。

その彼が語ってくれたのは、とあるミッション遂行のためにアライアンスのリーダーとして指揮を執った時の話だった。

入手した情報に間違いはないか。仲間同士のコミュニケーションは万全か。作戦に不備はないか。犠牲者を出さずに済むだろうか。

リーダーとしてのプレッシャーは、たとえようもない恐怖となって彼を襲ったそうだ。

それでも彼はそれに耐え、リーダーの責務を果たし、ミッションを無事達成させたのである。そして街に生還し、仲間から賞賛とねぎらいの言葉をもらった時、たとえようもない達成感を味わったという。

自分自身が成長するため、冒険者たちは、今もさまざまな恐怖と戦っていることだろう。

私の恐怖はといえば、“〆切り”である。ありがたいことに、今回はたくさんの体験談や楽しいお話を聞けたため、その恐怖に脅かされることもなかったが……。

特派員 : Myhal / Gilgamesh

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