冒険者なら誰しもが持っている“かばん”。とにかく持ち物の多い冒険者たちにとっては、必需品ともいえるだろう。

冒険を続けるうちに、持ち物が入り切らなくなったりして、腕のいいゴブリンに仕立て直してもらったという冒険者も少なくないかもしれない。

では、そのかばんに、冒険者たちはどんな目的で、どんなアイテムを入れているのだろうか?

先日、冒険者を対象に、かばんの中身に関する大規模なインタビューを行った。

まず、前衛で戦う者と後衛で戦う者とでは、装備品から道具、食べ物に至るまで、大きく異なっていた。

さらに職人冒険者たちは、釣りや採掘、合成といった目的にあわせて、中身のアイテムをこまめに入れかえているようだった。

このように、人それぞれと思われたかばんの中身だが、インタビューを続けるうち、そこに特殊な傾向があることがわかってきた。

冒険者の多くは“決して、使用することのないアイテム”を大事に持ち歩いていたのだ。

今回は、それらのアイテムをかばんに入れていた冒険者たちの話をご紹介しよう。

「お守りがわりに、いつも持ち歩いています。これを見ると、奴のことを思い出して、元気がでてくるんですよ」

そう言って、ある冒険者は、かばんの底からキラキラ光る宝石を取り出して見せてくれた。それは、今はなき友から譲り受けたという形見の品だった。

また、ある冒険者は婚約者の女性と指輪のかわりに交換しあったという1輪のカーネーションの花を大切に持ち歩いていた。

花言葉は“あなたを熱愛します”。まさにその言葉通り、花びらは熱を帯びたような赤い色をしていた。

婚約といえば、ある冒険者の女性はダイヤモンドの裸石を持ち歩いていた。それは修行中の彫金師である婚約者に、「指輪を作れるようになるまでせめてこれだけでも持っていてほしい」と贈られたものだった。

他に、冒険者になることを誓ったその日にもらった冒険者優待券を大切にしている人。幸運の卵やマンドラゴラの四葉、野兎の尻尾に夢を託している人。ダイス勝負でよい目を出せるようにと、ゴブリンダイスに願をかけている人などもいた。

このような“ラッキーアイテム”の類を、かばんに入れている冒険者の割合は、何と全体の5割以上。中でも経験豊富な、いわゆるミッションランクの高い冒険者に至っては、実にその8割以上が何らかのラッキーアイテムを持ち歩いている、という結果が出た。

様々なアイテムが詰め込まれた冒険者のかばん。その奥に、彼らは様々な想いをしのばせていたのだ。

もしかすると、あなたのかばんにも何か特別な意味の込められたアイテムが入っているのではないだろうか? それは、あなたの夢や人柄までをも雄弁に語っているのではないだろうか?

冒険者のかばんに対する興味は、尽きることがない。

特派員 : Palulu / Siren

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