さまざまな出来事を仲間と共に過ごす冒険者たち。楽しいことや悲しいこと、そして嬉しいこと。そんな日々の冒険の中で、信頼関係がいつしか赤い糸となって2人を結びつけるのは、ごく自然なことだろう。
人生の新しい門出となる結婚式に、彼らはどんな思い出を胸に刻むのだろう。各国の公認のもとで挙式した冒険者に話を聞いた。

式の前日、緊張のせいか夜が更けるまで語りあかしたMaldukさんとTaiyouさん。そのせいか、新郎のMaldukさんは式の最中にあろうことか居眠りを始めてしまったそうだ。

幸いにも彼の眠りは浅く、式は滞りなく進行したそうだが、花嫁のTaiyouさんにとっては許しがたい失態だ。それでも誓いの言葉や足運びなど、2人の呼吸が本番ではじめてピッタリ合った瞬間、何よりもそれが嬉しくて、彼女はMaldukさんを笑顔で許せてしまったという。

FioさんとKamuiさん夫妻は、結婚式よりも、その後の披露宴で友人がレクリエーションとして催してくれたゲームが記憶に残っているそうだ。多くの仲間たちから祝福された1日の思い出を、2人はまるで昨日の出来事のように語ってくれた。

やはり2人の心に残るのは、その時の愛する気持ちと、仲間からの祝福なのだろう。

結婚式といえば新郎新婦のほかに欠かせない人がもう1人。国ごとに役職や呼び名は違えど、神や法の代理人となって結婚式を執り行うウェディングマスターだ。

この度、バストゥーク共和国でウェディングマスターを務めるガルカのCloudwalker戸籍官へのインタビューが実現した。何組もの冒険者カップルを見守ってきた彼は、結婚式にどんな思い出を持っているのだろう。

──今まで誕生した夫婦はどのくらいになりますか?

「(3国合計で)もうすぐ1000組になるかな。(恋人たちのために)なんとかもっと式を行えるようにしたいのだが、なかなか思うようにいかないのが歯がゆいところだな」

──意外な場所で行われた式はありますか?

「バルクルム砂丘で挙式をした例がある。しかし、各国指定の式場がほとんどというのが現状だ」

──多いときでどのくらいの方々が参列されるのですか?

「100人近い人々が集まったこともあったかな。さすがに私もビックリだったな。付添い人は場を取りまとめるのが大変そうだったが、みな祝福というひとつの目的で集まるゆえ、大きな混乱はなかったようだ」

──式でのおもしろいハプニングなどがあれば教えてください。

「ウィンダス式の婚儀では血肉の交換という儀式があってな。お互いの

用意した食べ物を交換、食するわけだが、そこでメリーのミルクを飲んだ新郎がいたらしくてな……。式の最中、立ち尽くして眠ってしまったそうだ。がっはっは! 」

──式を執り行う上でのご苦労などはありますか?

「リハーサルでは準備ばっちり! というカップルでも、いざ式に臨むと緊張のあまりか、声も震えて誓いの言葉もぎこちなく……。なんてことはしょっちゅうで、気を失って動けなくなるなんてこともあった。 そういった緊張をうまくほぐすのが我々の最大の役目とも思えるくらいだな」

厳つい外見とは裏腹に、丁寧に応対してくれたCloudwalker戸籍官。思い出を語る最中、絶えなかった彼のやさしい笑顔がとても印象的だった。

彼をはじめとする各国のウェディングマスターによって夫婦と認められた1000にもおよぶカップルたち。彼らは皆、それぞれの結婚式の思い出を胸に抱いているに違いない。

そして、これから式を挙げるであろうきら星のごとき冒険者たちも……。

特派員 : Myhal / Gilgamesh

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