コンクェスト評議会で復活が議決された国家間の模擬戦闘 “コンフリクト”。その第一弾として始められたのが、サンドリア王国に起源を持つ競技“バリスタ”だ。

各国がチームの主力選手として揃えてきたのは、やはりコンクェスト政策の担い手、冒険者である。

彼らは、かねてより同業者相手に腕試しできる機会を求めていたこともあって、コンフリクトの復活に強い興味を示したのだという。

2ヶ国で争うバリスタのルールは、各チームの選手が掘り出した“ペトラ(石)”を、“ルーク”と呼ばれる共通のゴールに投げ入れて得点するという、いたってシンプルなものだ。規定時間内における総合点を競うわけである。

ただし、得点のためにはある条件が必要となる。ペトラを手にした選手は、敵陣営の選手にとどめを刺し、ゲートブリーチと呼ばれる状態にならないと、ルークにペトラを投げ入れることができないのだ。

それゆえに、バリスタの競技中は、実戦さながらの激しい戦闘が繰り広げられるのだそうだ。

ジャグナー森林で行われたウィンダス vs. バストゥーク戦を取材した。

試合開始前にエントリーを受け付けているヘラルド(紋章官)の様子を見に行くと、彼の周りは数多くの冒険者でごった返していた。両陣営の選手が、それぞれ作戦会議を行っていたのである。

バストゥーク側の選手たちに近づき作戦のポイントを尋ねたところ、ガルカのUroborosuさんは「特攻です!」と笑顔でコメントしてくれた。間もなく、ヘラルドが試合開始を宣言した。

予告通りUroborosuさんは敵陣営に突撃すると、次々とウィンダス選手をなぎ倒していった。

絶大な筋力を誇るガルカにとって、敵と接近して戦う、いわゆる“前衛”の役割は天職ともいえるだろう。しかし、冒険者の間合いは近距離だけではない。

遠い間合いから詠唱されたいくつもの魔法がUroborosuさんに襲いかかり、彼の動きを封じ込めた。ウィンダスの魔道士軍団だ。

“前衛”にとって、遠距離から放たれる“後衛”の攻撃は恐るべきものだ。

身動きのままならないUroborosuさんは、さらに強力な精霊魔法をいくつも浴びて、ついに力尽きてしまった。

魔道士軍団の集中砲火を浴びたのは彼だけではなかった。個別に行動していた数多くのバストゥークの選手たちが、ウィンダス陣営が擁する魔道士や狩人たちの前に、次々と散っていったのである。

冒険者同士の戦いは、間合いを制した者が勝利する、といえそうだ。

結局、試合はウィンダス優勢のまま幕を閉じた。265対109という大差での勝利だった。

試合終了後、40点を獲得して得点王となったウィンダスのAkaikiuさんに話を聞いてみた。

──多く得点するための秘訣とは?

「ゲートブリーチ状態になるように戦うことと、常に前衛さんにくっついて行動することを心がけました」

前衛と後衛が行動を共にしたことで、互いの弱点を補完できたということだろう。

──今回の勝因は何だったと思いますか?

「ウィンダスの団結力です」

同じ質問を他のウィンダス選手たちにもしたところ、同様にチームワークが勝因だとする答えが返ってきた。

「絆! 絆!」Cruelさん

「勇気・友達」Akiyさん

「チームワークが命です」Alefさん

「勇気。……それから、味方とはぐれてしまった“黒たる”を見逃してくれる相手選手」Yusukoさん

魔道士は、もともと集団戦で真価を発揮する存在だ。そのため、魔道士の多いウィンダスの冒険者は、バリスタに求められるチームワークの重要性を、他国選手よりも強く意識していたということなのかもしれない。

開始されてまだ日の浅いバリスタに、今後どのような戦術が確立されていくのかは知るよしもないが、模擬戦闘で培われるチームワークやノウハウは、これからの彼らの冒険にきっと役立つことだろう。

特派員 : Across / Phoenix

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