『くさったバナナ』。これは、とある依頼を断ったことで、私に与えられた“称号”だ。

私たち冒険者は、冒険者生活の中でたくさんの人々に出会い、まるで勲章のように立派な肩書きから不名誉なあだ名に至るまで、実に様々な称号を与えられる。

数えはじめたらきりがないほど、たくさんの種類が存在しているといわれている称号であるが、はたして冒険者たちは、どのような称号を好んでいるのだろうか? 街で出会った冒険者たちに、お気に入りや憧れの称号について尋ねてみることにした。

"Tarutaru murder suspect," because it's different. I like the titles that the Dr. Shantotto quests give you in general; they're very odd!

(『殺タルタル容疑者』が風変わりで好きだな。シャントット博士がくれる称号は変わってるのばかりで最高です!)Morulaさん

I like ones that sound important like "Centurion," because it garners respect and admiration from my friends.
(『百人隊長』とかまじめそうなやつが好きだな。仲間から尊敬されるからね)Rodneyさん

I like all the SOB (Star Onion Brigade) titles. I think they're so funny!
(スターオニオンズ団の称号なら何でも。全部おもしろいと思う!)Jcsさん

I like "SOB Super Hero" myself. It just sounds fun! Some titles I think people like because it shows they completed a hard quest. "Maat Masher" is a good example.
(私は、『オニオンヒーロー』が好き。聞いただけで楽しい気分になる! でも、やっぱり一般的に人気があるのは、難しいクエストをクリアしたことを証明する称号じゃないかな。そう『マート マッシャー』とか)Kardusさん

陽気な冒険者たちには、スターオニオンズ団を名乗るウィンダスの子どもたちが人気のようで、何人かが彼らの与えてくれる称号を挙げた。他にも、『低級ヴァンパイアハンター』や『ヘッポコくん』などに代表されるコミカルな称号を挙げる冒険者が全体的に目立った。

飛空艇乗り場で取材に応じてくれたシーフのAphasiaさんは、自らが目標としている称号として、『ビビセクター』を挙げた。自慢の短剣を踊らせながら夢を語ってくれたAphasiaさん。彼女が1日も早くその称号を獲得できることを、願わずにはいられなかった。

Mimicoさんがお気に入りに選んだのは、仲間たちと苦労して手に入れた輝かしい勝利の証『神威』だった。この称号にこだわりをもっているなら、常にその称号で貫いているのかと思えば、実はそうでもないらしい。うっかりすると、別の称号に変えられていることがあるというのだ。

「冒険の資金稼ぎのためにトラ狩りをすると、すぐ『ファング』にされてしまうのですよ」

彼女は、そう言って笑った。

取材に応じてくれた冒険者たちは、みな自らの称号について、熱く語ってくれた。ところが、ただ1人、Jakさんだけは違った。

彼女は、自分自身の称号よりも、むしろ周りの冒険者たちの称号を調べて回る方が面白いというのだ。珍しい称号を見つけた時Jakさんは、未知なる世界に夢を馳せたり、まだ見ぬモンスターを想像して楽しんだり、あるいは新米冒険者の目覚ましい成長ぶりに驚いたりしているそうだ。

Jakさんの話を聞くうちに、私はある真実に気づかされた。

勝利の証として輝き、あるいは何にも代え難い誇りを象徴し、大切な思い出を物語る称号の数々。それらは、まさに、冒険者たちの軌跡そのものだったのだ。たとえ『くさったバナナ』だったとしても……。

かつて得た称号を思い返しながら帰宅した私は、わが夫に、最近手に入れた称号が何であるか尋ねてみた。

彼の答えは、『いい人カモ』。明日からは食費を切り詰める必要がありそうだ。

特派員 : Myhal / Gilgamesh

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