勇気、知恵、力、努力、仲間……。
いずれも冒険者にとって大切なものであるに違いない。しかし、いざ冒険に出掛けるとなると、まだ足りないものがある。モンスターに裸で挑みたくなければ装備品が必要だし、強敵と勝負しようと思ったら食べ物も欠かせないのだ。
そう考えた時、ほとんどの冒険者は、認めざるを得ないのではないだろうか。「冒険にはお金が必要だ」と。
事実、Mentor(メンター)の経験がある人々の話によると、新米冒険者から寄せられる質問にも、「どうやってお金を稼げばいいですか?」という内容のものが少なくないという。もしも効率よくお金を稼げる方法があるのなら、新米冒険者でなくとも知りたいと思うだろう。
とはいえ、何も“稼ぐ”ばかりが、まとまった資金を得る手段ではないはずだ。無駄な出費を極力抑え、貯蓄することも、立派な手段ではないだろうか。
そこで今回は、冒険者の暮らしから生まれた節約術について、各国の街頭でインタビューを実施した。
「あなたの節約術を教えてください」という質問に対し、最も多かったのは「消耗品は自作する」という回答だった。
ここでいう消耗品とは、たとえば矢や忍具、料理や薬品などである。これらを自作するだけの技術を持たない冒険者はというと、出費を抑えるために素材を自身で収集し、それを仲間内の職人冒険者に託しているという話だ。
その次に多かった回答は、「旅費を抑える」だった。
具体的には、有料のテレポ屋は利用せず毎回仲間に頼む、飛空艇やチョコボを使わずに徒歩で移動する、といった方法だそうだ。
また、どうしても有料の移動手段を利用しなければならない状況においても、冒険者たちは様々な工夫を凝らしていることがわかった。
「飛空艇に乗るとき、ちょっと飛空旅行社の職員に声を掛けると、乗客の忘れ物を届けてくれ、なんて頼まれることがあるんですよ。届けてあげると喜ばれるし、礼金ももらえるし、一石二鳥」
こう語った冒険者は、この方法で運賃を帳消しにしているのだという。
一方、チョコボ利用時の節約術に関しては、より多くの冒険者が実践していた。特に多かったのは、ジュノからチョコボに乗る時、各層にあるチョコボ厩舎を回ってそれぞれの料金を調べる、という回答だった。そうして、一番安い厩舎を選ぶわけだ。
もちろん、緊急時となれば話は別らしく、多くの冒険者たちが「金額にこだわらずチョコボを利用する」と
話していた。いざという局面で、仲間を待たせることなく最速で目的地に向かうためにも、普段は節約を心掛けているのだろう。
さらに、その他の節約術をいくつか紹介しよう。
「競売所に出品するときは、各地の競売価格を調べて、一番高く売れるところを選ぶ」
この方法は、チョコボ厩舎の料金比較に似ている。
「今すぐに使い道のないクリスタルでも、後々合成で必要になる時のために、すべて保管しておく」
モグ金庫に余裕があるなら、今日からでも実践できる方法だ。
「種を入手したら、売らずにコツコツと育てる」
競売所に出品すると手数料を取られるが、自分で育てれば、まずマイナスにはならないということだ。競売所を頻繁に利用している人は、日々の手数料を加味した上で、損得を計算し直してみるのもいいだろう。
「戦利品は極力捨てない。どうしてもかばんに空きがない時は、店で買い取ってもらえないものや、売却価格が安いものから捨てる」
こう答えた冒険者たちが挙げたのは、マンドラゴラの双葉(四葉は捨てないとのこと)や自分の職業には必要のないアイテム類、鳥の羽根や虫の羽根、火打石、銅鉱、岩塩などだった。
だが、捨てる前に考えてほしい。徹底した節約を目指すなら、こういった不要品さえも無駄にすべきではないのだ。あなたにとっては取るに足らないものでも、他の誰かにとっては利用価値があるかもしれない。その逆も然りである。
実際、ギデアスでは「ヤグードの数珠、いらない方は譲ってください」などと叫ぶ声を耳にする。自ら素材を集める手間が省けるだけでなく、素材が無駄に捨てられずに済むのだから、これは上手い方法だろう。
以上が、インタビューによって明らかになった節約術の数々だ。
ちなみに今回の取材では、各々の節約術の他に現在の暮らしに対する満足度についても質問してみた。結果は、少々意外なものだった。
何かしらの節約術を実践しているにもかかわらず、「自分は裕福な方だと思う」と回答した冒険者が数多くいたのである。日頃から節約する習慣を身につけているからこそ、彼らは豊かな暮らしを手に入れることができたのではないだろうか。
小さな積み重ねは、日々の冒険の糧となり、やがては生活に潤いをもたらしてくれる。そう信じれば、地道な節約も、案外楽しくなるのかもしれない。
特派員 : Palulu / Siren