もう手に入れられただろうか? 今、巷を賑わせている祝祭エッグハントの景品「飾卵」を。
2種類以上の飾卵を手に入れた方は既にお気づきだろうが、同じ祭典で飾られるものであるにもかかわらず、その印象は各国で大きく異なっている。それは何故だろうか? 各卵の製作者を訪ねてみた。 ![]() ウィングエッグ 「ウィングエッグ」は炎のクリスタルを象嵌した豪華な作りのサンドリア風飾卵だ。 王都に飛んだ記者は、居住区で飾卵を商う宝石商カルモノー〔Calemaunoret〕氏を訪ねた。密かに王家御用達の匠でも紹介してもらえればと期待していたが、彼の返答は拍子抜けするものだった。 「無駄足だったな。うちは売ってるだけなんだ。何せ、こいつは共和国製だからな」 仕方なく記者はとんぼ返りでジュノに戻り、今度はバストゥークへと飛んだ。無論、向かう先は彫金ギルドだ。工房に入ると、まさにウィングエッグの羽根飾りを修理中だったギルドマスターのレインベルタ〔reinberta〕氏は手を休め、丁寧に質問に答えてくれた。 「確かにこの卵はうちの作品よ。昔サンドリアでは王族の結婚式の縁起物として豪華な飾卵が使われていたらしいの。式場内に隠して新郎新婦に探させるイベントの小道具としてね。王家の夫婦最初の試練であり、共同作業ってわけ。その故事への憧れなのかしらね。エッグハントの祝祭が定着して、誰もが飾卵を家に飾るようになった今でも、豪華な品を求める客がかの国には多いのよ。だってほら、ウチの作るウィングエッグはピカイチの美しさだから。それに、舶来品ってことで箔もつくらしいし」 ウィングエッグは、エルヴァーンの古き豊かな時代への憧れが秘められた飾卵といえそうだ。 ![]() ランプエッグ 次に「ランプエッグ」を作っているという鍛冶ギルドを訪ねて大工房に入った。ランプエッグは、鮮やかな青い炎を発して、照明としても使える飾卵だ。ギルドマスターのゲンプ〔Ghemp〕氏は、職人たちの鋼を鍛える音に負けない大音声で一気にまくしたてた。 「昔ゃバストゥークの飾卵も豪華一辺倒でな。輸出用の卵といっしょに彫金ギルドが作ってたもんだ。だが、高ぇ金も払ったし、家も狭えしで、エッグハントの祭日以外も部屋に飾っときてえってわがままな客が増えてな。試しに照明としても使える卵をうちが作ってみたら、これが大ヒットしたってわけよ。まあ、実用性ならランプエッグに勝る卵はねぇわな」 ランプエッグは、実利を貴ぶヒュームの嗜好がそのまま反映された飾卵といえそうだ。 ![]() フラワーエッグ 最後にウィンダスに渡り、飾卵「フラワーエッグ」を作っている鼻の院を訪ねてみた。フラワーエッグは、割れた卵の中に花を咲かせた独特のスタイルの飾卵だ。今、普及しているタイプの「フラワーエッグ」の開発者だと紹介されたケナパゲッパ氏は、しばし沈黙した後、消え入りそうな声でとつとつと語り始めた。 「……昔……ウィンダスで……フラワー……エッグは……祭日の……占い道具……でした」 以下要約すると、占いは次のような方法で行われていたという。大きな卵の殻の中に土を入れて花の種を埋め、エッグハントの日を待つ。そして当日、花が満開だったら次のエッグハントの時節まで幸福、もしも蕾のままだったり萎れたりしてしまったら、それに応じた不幸が訪れる、という解釈だったらしい。 しかし近年、氏が年中満開の花を咲かせている魔花付き飾卵を開発したところ、瞬く間に普及して今や定番になってしまったそうだ。 「……でも……この……フラワー……エッグ……吉しかない……から……占い……には……ならないん……だけど……ね」 フラワーエッグは、いつもハッピーな気分でいたいタルタルらしい発想の飾卵といえそうだ。 今では「再生」と「飛躍」のシンボルとされ、共通の祝祭エッグハントに使われている飾卵も、所変われば形が異なり、その意味も微妙に違っていた。 あなたも、ハントした卵に素敵な意味を与えてみてはいかがだろう。 |