モーグリ主催のエッグハントも終わりに近づいた頃、編集部に、一通の手紙が届けられた。封筒の中には、奇妙な四行詩の書かれた紙切れが入っていた。
深き森より訪れたもの 絆の証となって やがて頭を飾る 誘うものと誘われるもの 脅威と対峙する時 真価を発揮するために なにかを暗示する文章のようであるが、なにを意味するのかわからない。もし書かれていたのがこれだけだったら、そのままゴミ箱に捨てていただろう。しかし、その紙の裏に描かれていたものが、単なるイタズラではないことを伝えていた。 それは、どこの国でも見たことのない、奇妙な帽子だった。 ![]() てっぺんに双葉を生やした、白と黒2種類の帽子。よくみれば、サルタバルタに生息するマンドラゴラに似ている。 新手のファッション広告かもしれないと思い、ウィンダスの帽子屋「帽子のバレンモレン」に問い合わせてみたが、心当たりはないということだった。 ともかく、こうなってくると四行詩の内容の方も気になってくる。「頭を飾る」は帽子、「深き森より訪れたもの」を「ユタンガ大森林からミンダルシア大陸に渡来してきた」といわれるマンドラゴラと考えれば、辻褄も合う。 謎めかしく書かれているが、この四行詩には2つの帽子に関する情報が隠されているに違いない。そう考えた記者は、とある暗号研究家に解読を依頼することにした。 その回答は、予想以上に早く返ってきた。以下が、その抜粋である。 ………………………………………………………………………………………………………… 興味深い手紙をありがとうございました。 早速ですが、解読の結果をお送りいたします。 あなたの仰るとおり、「深き森より訪れたもの」はマンドラゴラ、「頭を飾る」は帽子を意味しています。この四行詩にマンドラゴラの帽子に関する秘密が隠されていることは間違いないでしょう。 白と黒の対になった2つの帽子は、「絆の証」、「誘うものと誘われるもの」という2つのキーワードから、ある者が友人を『なにか』に誘い、友人がそれに応じた証であることが分かります。そして「真価を発揮」とあるように、特殊な能力を秘めているようです。 残念ながら、特殊な能力の詳細については記されていません。しかし、どういう状況で特殊な能力が発揮されるのかは読み取れました。「脅威と対峙する時」、つまりモンスターと戦う時です。このことから、「誘うもの」と「誘われるもの」が冒険者であることもうかがえます。帽子が対になっていると考えるならば、この時、2人は同じパーティにいることが条件と考えるべきでしょう。 なお、2人の冒険者がマンドラゴラの帽子を手に入れる時期は、「やがて」と記されていたので、一定の期間がかかるようです。 以上を踏まえると、この四行詩の解釈は次のとおりとなります。 『なにか』に誘う冒険者と、誘われる冒険者。2人はやがてマンドラゴラの帽子を手に入れる。この帽子に隠された能力は、2人が一緒にモンスターと戦う時に発揮される。 この中でハッキリとされていないのは、ある冒険者が友人を『なに』に「誘う」のかという点です。「パーティへの誘い」と考えることは簡単ですが、それでは2人に限定されるはずはありません。また、「絆の証」とあるとおり、もっと深い意味を持っていると考えられます。 (以下略) ………………………………………………………………………………………………………… これは記者の主観だが、この『なにか』とは「冒険者としての生き方」を指していると考えられる。この手紙の内容が真実だとするならば、白と黒の帽子は、冒険の道へ誘う者と、誘われる者、2人の間に芽生える絆の証となるに違いない。 はたして、マンドラゴラの帽子は実在するのだろうか。そして、隠された能力とは、いったいどのようなものなのだろうか。 その真相は、きっと近いうちに分かることだろう。 |