ヴァナ・ディール トリビューンをご覧のみなさん、はじめまして!
あたしはAly Wenkohlde。通称アリィ。
無謀な冒険とおいしい料理が大好きなミスラで、メインジョブは戦士Lv75。
トリビューンの記者さんにそそのかされて、日記を公開することになりました。それでは、アリィの華麗なる大冒険を、お楽しみくださ〜い!

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5月6日 天気:風

[今日の仲間]
Daggwi(ガルカ・ナイト)通称ダグウィ
Ema-Pagamihne(ミスラ・白魔道士)通称エマ

今日のお弁当
コカトリスの煮込み

エマに誘われて、アットワ地溝に遊びに行った。
エマと2人だけでは不安だから、ダグウィも誘って3人で出発〜!
アットワ地溝はシャクラミの地下迷宮の奥から行くんだけど、前にエマと2人で行ったのよね。
そのときは、北東の方角に進んだんだけど、とても迷った。
というか、似たような景色のところをぐるぐるまわってただけで、来た道すらわからなくなって、エマのテレポで戻ったんだった。
このときばかりはエマが白魔道士だったことに感謝したなぁ。
テレポのとき以外は、白魔道士だってことを忘れちゃうぐらい、おてんばなんだけどねぇ。

なんと、ダグウィはアットワ地溝の地図を持っているらしい!
出発前は「案内は俺に任せておけ!」って言ってたのだけど、アットワ地溝に入った途端、「男は地図に頼っちゃいかん!」とか言い出した。
どうやら、地図が小さく描かれていて、わかりにくかったらしい。
とりあえず、先導はダグウィにお任せ〜♪

どうやら、アットワ地溝は、真ん中を南北に縦断する深い谷があって、東側ブロックと西側ブロックに、大きく分かれているみたい。
エマとあたしが前に迷ったのは東側のブロック。
こっち側にはパラダモの丘と呼ばれる大きな岩があって、ロッククライミングもできるみたいだ。でも、敵は弱め。
西側のブロックは敵が強いみたい。今日は、西側を探険することにした。

しばらく歩いていたら、ダグウィが黒いアントリオンに襲われた!
レーダーには映ってなかったのに、地中からいきなり出てきたみたい。
「ギャー! 助けて〜!!」
と言いつつ、しっかり挑発するダグウィ。
「いきなり出てくるとは卑怯者め〜、ひねりつぶしてくれるわ!」
助けてほしいのか、どっちなのさ!? ってつっこみつつも、3人で戦ったら、なんなく倒すことができた。
ダグウィとは何度も一緒に冒険をしているから、コンビネーションはバッチリ。合図しなくても、アドリブで連携を合わせてくれたり……その2連携にさらに3番目を合わせてくるエマは、やっぱり白魔道士なのかどうか怪しい。
アントリオンが紅石っていうキレイな石や、珍しい甲殻を落としたもんだから、おもしろがって、次々に地面から引きずり出しちゃった。

しばらくアントリオン狩りを楽しんでいるうちに、すっかり日も暮れて暗く……。
3人で仲良くヒーリング中、ふと見上げたら満点の星空が広がってた。
息を呑むくらいキレイな星空。
地上に視線をおろしたら、ダグウィもエマも空を見上げていた。

だけど、平和なひとときは長くは続かなかったのよね……。
空を見上げていたあたしたちの前に、いきなり黒いローブを羽織った骨のモンスターが出現!

これは、前に族長さまのお話で聞いたことがある。
ビロードのローブに豪華な首飾りと腕輪……たしかコースって名前のアンデッドだ。
目の院にあったモンスター辞典でも、こんな姿のイラストを見たことがある。

コースはいきなり、あたしたちにスリプガを唱えてきた。
殴られて起きたダグウィが、ケアルであたしとエマを起こしつつ、別のアンデッドモンスターに絡まれないように、少し移動して戦闘を始めた。
さすがにエマはスリプガをくらわないように離れてケアル。
ただし、ケアルの対象相手はあたしとダグウィではなく……エマはアンデッドと戦うときはいつも、嬉々としてケアルでダメージを与えるのよね。
そんなわけであたしとダグウィは、なるべくダメージをくらわないように気をつけながら、少しずつ敵の体力を削っていった。

途中まではとても順調だった。大きなダメージもくらわず、コースの唱えてきた魔法も封じることができていた。
そこで、このまま倒せそうだなと思って油断したんだ……あたしは、ダンスマカブルっていう特殊技をくらって、コースに魅了されちゃったのだ!

「やばい、操られちゃった!」

声だけは出すことができた。でも、ほかは何もできない。
すかさず、エマがあたしにスリプルをかける。
だけど、空蝉の術をかけていたあたしはスリプルをかわし、エマに斬りかかった。

「エマ、ごめんー!」

ダグウィが回復しようとしたものの、一瞬でエマを斬り倒したあたしは、続けてダグウィに攻撃を始める。

「アリィ、正気に戻れぇぇぇぇ!!」

ダグウィがいきなり、あたしにシールドバッシュをしてきた。
シールドバッシュをされたのは初めてだったから、一瞬カラダの動きが止まってびっくりしたものの、操られていたせいか痛みは全然感じなかった。
「ダメー、戻らないよぉぉ! あたしを倒して!」
さすがにあたしとコースの両方から攻撃を受けると、強靭なダグウィのカラダも見る見るうちに傷だらけになり、インビンシブルを発動したけど、コースの魔法であえなく倒されてしまった。

あたしは操られたまま、コースに連れられて歩いていった。
屈辱的なのと不安なのとが混じった気分で丘のほうに連れていかれると、なんとそこには見たこともない巨大な竜が!

丘を覆うオレンジ色の巨大な尻尾……伝説でしか聞いたことのない、渾沌竜ティアマット。
ほどなくして魅了を解かれたあたしの後頭部に、ティアマットの鋭い爪が刺さり、意識が遠のいた。あっと言う間だった。

夜が明けると、コースは消えた。
ティアマットは徘徊していたものの、少し遠くに行ったみたい。
エマがリレイズをかけていたおかげで、なんとか救出してもらえた。
近いうちに、コースに再挑戦しに行こうって約束をして、今日の冒険はおしまい。

ティアマットにも挑戦したいところだけど……たくさん友達を集めないと難しそうだなぁ。軽くあしらわれちゃったけど、伝説の竜に逢えたのはうれしかった1日でした。

text by Takashi and Asami Watanabe 
Illustration by Mitsuhiro Arita