取材の最中に出会ったDさんは、ちょうど前日に感動の再会を果たしたばかりとのこと。いつものようにリンクシェルから聞こえてくる他愛ない雑談に、聞き覚えのある親友の声が入ってきたそうです。 いつの間に帰ってきたのだろう……でも確かにこの声は! きっとあのときのまま――。取るものもとりあえず仲間とともにDさんは最後に別れたあの山道へ向かいました。親友の故郷へと続く雪の山道へ。 Dさんは1年前、大の親友と別れた時のことを鮮明に覚えていました。やむにやまれぬ事情で冒険者を引退し、故郷へ帰ることとなった親友。お互いが冒険者となった当時から志を共にする仲間でした。引退の告白は衝撃となってDさんの耳に入り、寂しさでいっぱいになったそうですが、それは大の大人が決めたこと。引き止めはしなかったそうです。 別れ際、2人の間に多くの言葉は要りません。 「じゃ、またね」 毎日、その日の冒険を終えて別れる時と同じように、小さく手を振って雪原に消えていった後ろ姿。昨日のことのような、遠い昔のような思い出です。あの日からちょうど1年経っていましたが、一気に記憶の隙間が埋まったそうです。 あの日と同じ雪道を戻ってくる親友に、リンクシェルの仲間たちは思い思いの再会の言葉を叫び、走り寄ります。多くの気持ちを伝えたいDさんですが、言葉が出てきません。そこは親兄弟より意思が通じる大親友。やはり言葉は要りませんでした。 「さぁ、今日はどこへ行こうか」 そこには"いつものように"仲間とともにモンスターの根城へ向かう2人の姿がありました。 所は変わってコンシュタット高地。遅い春を迎えた草花が芽吹いています。チョコボでバストゥークの街を目指していると、一見初心者風のSialyさんに出会いました。彼女は1年半ぶりに冒険者の道へ戻ってきたとのこと。再会の夜はかつての戦友と夜通し語り明かしたそうです。ところが彼女はあえて仲間の元には戻らず、それまでの経歴も身分も捨てて、イチから冒険者の道を歩むことを選びました。 「昔の仲間にはなるべく頼らないように、日々の新しい出会いを探してのんびり冒険しています」 かつては最前線で勇猛に剣を振っていたとは思えない穏やかな笑顔で取材に応えてくれました。冒険者としての新たな道を見つけたSialyさん。すべての事が新鮮で右も左もわからない見習い冒険者だった頃の思い出を聞いていると、時の経つのも忘れてしまいました。 その後、お礼を兼ねて取材のために足止めしてしまっていたミッションのお手伝いをしましたが、見習い冒険者向けのミッションでさえ、いやな顔ひとつせずに取り組むSialyさんが印象的でした。 取材を終えて家に帰る途中、街の入口でちょっと変わった“再会”に出会いました。鋭い目つきで大鎌の素振りをしているのは山のような大男、ガルカのGさん。 「ヤツが帰ってきおったんじゃー! ヤツにだけは負けられん! 急に張り合いが出てきたんじゃー!」 Gさんは"ヤツ"をぼろくそに言うのですが、そんなGさんもなぜかとても嬉しそう。お互い切磋琢磨するよきライバルの2人が目に浮かぶようでした。 家に帰ってダンナのTathumaからも昔別れた古い仲間の話を聞いていると、私も感動の“再会”をしたくなってきました。 Myhal「私も感動の再会してみたいな。再会するにはまず別れないとね」 Tathuma「…誰と?」 |