7月8日 天気:晴

[今日の仲間]
Ema-Pagamihne(ミスラ・白魔道士)通称エマ
Fuuki-Maruki(タルタル・黒魔道士)通称フーキ

今日のお弁当
サーモンサンド

最近、エマとあたしは、釣り名人のフーキに指導を受けながら、石の区でよく釣りをしている。
この辺りの魚なら、そんなに釣りの腕前に自信がないあたしたちでもよく釣れるのよね。

「やっぱサーディンよりピピラだね」

エマはピピラが大好物。
白魔道士なのにMNDが下がることなんて気にせず、釣ったそばから食べちゃうのだ。
自分で釣った魚だけでは足らずに、フーキが釣ったピピラにも手を伸ばす始末。

「それにしても暑いですね〜」

フーキは薄着にすればいいのに、いつもの厚手のローブを着込んでいる。
これが黒魔道士の正装なんだとか。
せめて帽子ぐらい脱げばいいのにねぇ。

「よーし、じゃあ涼しいところに行ってみようか」

いきなりエマがテレポを唱え始め、コンシュタット高地に飛ばされた。
ちょっと、全然涼しくないよ〜? と思いつつもエマについていくと、たどり着いた先はグスゲン鉱山。
たしかに、ここなら涼しいかも……?

なんと、フーキはグスゲン鉱山に来たのは初めてなんだって。
ここは、採掘量が減って廃鉱になった鉱山だけれど、探せばまだまだ黒鉄鉱とか金鉱とかが掘れるらしくて、前にジェットたちと採掘に来たことがある。
でも……出るんだよね。鉱石じゃなくて……おばけが……!
なんでも、その昔に起こった落盤事故で亡くなった人の魂が、天国に行けずに彷徨っているのだとか。

「ここは……落ち着かないですね……」

たしかに、誰かに見られているような気配はするし、たまに、耳元でささやくような声が聞こえるのよね。
エマがずんずん奥に進んでいくので、あたしとフーキは辺りを見回しながらついていった。

「今、そこの階段にヒュームの子供がいたような気がするんですけど……」

「天井から男の人が宙吊りになっていたような……」

「緑色の炎みたいのが飛んでますよ!」

怖いからあんまり考えないようにしているのに、フーキがいちいち報告してくるので気になっちゃった。
そしたら、突然、鳴り響くサイレン!

「キタキタキター! グスゲン鉱山名物♪」

エマが走っていった池のなかには、悲惨な名前を持った亡霊が浮かび上がっていたの!
白魔道士だからなのか、単なる性格なのかわからないけど、エマはアンデッドが怖くないみたい。
あたしも武器を抜いて応戦したものの、バニシュ、ホーリー、ケアル……エマが繰り出すダメージにはかなわないや。
フーキの唱えたファイアも強力で、難なく倒すことができた。

「このゴースト、倒すと必ず木綿布を落とすのよ♪」

エマの話では、グスゲン鉱山には6つの池があって、毎晩、夜のあいだだけ、それぞれの池に決まった亡霊が出現するらしい。
見かけたら必ず倒すようにしているのだとか。
ほかの池も行ってみようってことで、いそいそと移動していると……

「あれ、ここの扉、さっきは開いてたはずなのに閉まってますね」

鉱山内の扉は3枚の扉が連動していて、どれかを開けるとどれかが閉まっちゃう仕組みみたい。
あたしたちがいるところからだと、レバーが操作できず、扉を開けられなくなっちゃったのだ。
エスケプで出たほうがいいかな? と、フーキと話していたら、エマがこっちこっちと手招きしている。
エマの足元の地面には穴が開いていて、そこから下のフロアに降りられるみたいだった。
あたしたちもエマの後に続く。

すると、突然、エマの悲鳴が響いた。
穴から降りた瞬間、見たこともないイビルウェポンが、エマに襲いかかってきたの!
Juggler Hecatomb……虐殺の曲芸師。
あわてて挑発して、エマを守る。こいつ、なかなか強い!
なんとか撃破したけど、けっこう時間がかかっちゃって、朝になっていた。
おばけタイムも終わっちゃってたし、今日はここで退散することに。

その後、フーキが目の院の資料を調べてくれたんだけど、あのイビルウェポンはグスゲン鉱山最凶の魔物みたい。
落盤事故もそいつのせいじゃないかって説があるんだって。
鉱山に子供の亡霊がいたのも、鉱山労働者だけじゃなくて、たくさんの人を呼び込んで犠牲にしてきたからとか……。
うーん、自分の手で一度倒したものの、過去の事件の話を聞くと、背筋も凍るものばかり。
これだけ邪悪なモンスターならまた復活するだろうから、気をつけないとね。
しかしグスゲン鉱山は、涼しいというよりは寒かったなぁ……。

text by Takashi and Asami Watanabe 
Illustration by Mitsuhiro Arita