船中でも釣りを楽しむ冒険者。
昼下がりの港町マウラ。私とTathumaが出会った町です。どうでもいいですね。前回でも紹介した釣りですが、何でも最近、釣りを狩猟の一部としてではなくスポーツとして楽しむ冒険者が増えているようです。

マウラ〜セルビナ間航路は、今でも移動の足とする冒険者のほか、外洋での釣りを楽しむ釣り人たちで賑わっています。船出が待ちきれないのか、乗船口から糸をたらす釣り人も見えます。どうやら港湾内の小魚を釣って外洋の大物を釣るエサにするようです。
船出と同時に甲板に走り出す釣り人たち。よい場所を確保することも大事な事。先を争ってそれぞれのお気に入りのポイントを目指します。この日はあいにくの雨模様でしたが、そんな事はものともせずに竿を振るう釣り人たちの熱気が感じられます。早速釣りに興じる皆さんに声をかけてみました。

Hukahi:最近始めました。今日はリンクシェルのみんなでやってきたんです。おもしろいですね!
Naigri:私はかなり前から釣ってますよ
Hukahiさんは昨今の釣りブームにのってベテランの仲間を誘って釣りに来た模様。

Curoe:熱中するあまり会話が減りました
Atlus:単に釣りだけ楽しむにはいいんですがね
Nagiri:何を釣るにも退屈しませんね
Hapchan:夢中になりすぎてシーホラーが出ても気づかなかったり

水中の魚と糸を介した格闘。リンクシェルの雑談も耳に届かない様子です。
私がお話を聞いている間にも、誰一人竿をたたもうとする人はいませんでした。

Atlus:一日中釣って気づくとヘトヘトになってますね。疲れ果ててバケツすら釣れなくなる
Hapchan:大型の魚を何本か上げるともうそれだけでくたくた
Tencho:やりすぎだ。でもそこは気合いで釣らなきゃ
Atlus:そうなるともう1日寝てもだめだよ。釣ってるみんなを横目に自分だけぐったり
Tencho&Hapchan:南無〜
などと始終和やかな雰囲気です。

Dorothyさんは釣れたばかりの魚をさばいて美味しそうなお寿司を握ってました。なぜ「食べさせて!」と言えなかったのか今でも後悔しています。

Atlus:調理の腕前があるとエサ作りも楽だし
Hapchan:竿を治すと木工や錬金術の腕も上がるよね
Tencho:お金もあまりかからないし…

なるほど、釣りそのものでなく道具の手入れやエサ作りの腕前も釣りの重要な要素のひとつのようです。私のダンナもよく動物の骨を削って虫の形の疑似餌を作っていました。

超大物や幻の魚といわれる珍しい魚が釣れて歓声が上がったり、みんな仲良し、和気あいあいなので知り合いなのかと思ったらそうでもない様子。

Atlus:釣りを通して知り合いが増えますね
Hapchan:うん。いつも会いますねーって

熟練すればおのずとよい釣り場に集まってきたり、また釣りという共通の話題が彼らを引き合わせたりもするのでしょう。情報交換も重要なのかもしれません。

Monkeyking:Fishing looks fun, but I can't afford any ridiculously high-priced equipment. I bet I'd have to waste all my savings!(楽しそうだけど釣り道具は私にはバカ高いしな〜。お金使い果たしちゃうよ)

船を降りると、私達のやり取りをずっと見ていたMonkeykingさんが呟きました。とんでもない。たとえ棒切れでも竿とエサを手にしたときから誰でも釣り人なのです。そう言って励ましちゃいました。いつの日か一緒に釣りに行く約束もしました。

まだまだ釣り足りないのか、着いたばかりの船に次々と再び乗り込む釣り師を見送って帰途に着きました。

そういえば結婚前、私に釣りを教えてくれたのはダンナのTathumaでした。始めは一緒に釣りに行っても私だけ釣れなくて退屈しちゃって、よく困らせたっけ。家に帰るとTathumaは釣りブームで人気が出た疑似餌をせっせと作っていました。

Myhal:あなたの今まで釣ったいちばん大きな獲物ってなに?
Tathuma:おまえ

釣られたのかー! 私が釣ったと思ってた!
…。