メガネコウモリ(Spectacled Bats)とは、オークの呪術師が用いる知能の高い偵察・伝令用使い魔である。この度、我々はまたまたその数匹の生け捕りに成功し、彼らが本国に送り届けようとしていたビジョンとメッセージを入手することに成功した。 〔翻訳解説:匿名ゴブリン〕







最近、兵力を増大せる蟲人どもの巣穴を探るため、我がコウモリ偵察中隊が南の島の砂漠を飛行中、たまたま写されたビジョンでありマス。醜き人間の形に似るこの草は、おそらく太陽を拝礼していたものと思われマス。なお、この後、こやつらに発見された偵察中隊は、雷の如き速度で追尾された挙句、雨の如く矢を射かけられ、1匹を除き全匹撃墜されり。現在、こやつらを我が軍の新たな仮想敵と定め、さらなる生態調査を進めておりマス。


ゴブリンに似て否なるモノにて、自ら「モブリン」と称すヤカラの街の様子でありマス。地底を棲家とする臆病者でありましたが、何を勘違いしたのか、近頃、クォン大陸制覇を狙う第五の勢力として覇を唱え、兵を募っているようでありマス。モブリンは生来虚弱にて我々剛健なオークと比ぶべくもありませんが、群れると刮目すべき力を発揮せるとの報告もあるため、先の「走る草」と共に我が軍の新たな敵として調査を続行しておりマス。



この怪しき2人組、耳長の冒険者に似ておりますが違いマス。サルタバルタの遺跡に出没して無差別に侵入者を狩るため、ウマチビどもにドッペルゲンガー(ソックリさん)と呼ばれ、恐れられているアンデッドなのデス。しかし、我が軍団の参謀はこやつらに関して異なる見解をだしておりマス。こやつらは禁呪で生体反応を消した耳長に相違なく、ウマチビどもの新規戦力を殺ぐため、密かにサンドリアから派遣された工作員でありまショウ、ト。狡猾で残虐な耳長らしい作戦でありマス。このことをチビウマどもに流せば、人間どもは昔のように互いに争い始めるやもしれまセン。皇帝陛下に作戦開始の御聖断を仰ぎたく存じマス。

※編集部注:サンドリアより正式な抗議もあり、事実無根であることをここに明記致します。正確を記すため、あえて原文のまま直訳しておりますが、なにぶんにも愚かな獣人の邪推です。御了承ください。


姿を消して、人間どもの定期船に乗っているゴブリンの貿易商でありマス。ただし、正確には密航ではありまセン。人間どもの「会社」という組織に、通常の倍の船賃を支払い、秘密で乗せてもらっているのでありマス。彼らはこうして密売品をマウラに運び、人間どもにさばいて大儲けしているようでありマス。ちなみに、間抜けな乗客の冒険者どもは誰もゴブリンに気づいておりまセン。

※編集部注:ゴブリンの密航に関わっていた船会社職員は、既にウィンダス魔戦隊憲兵によって逮捕されています。


この光景は、よもや我が軍の砦が冒険者どもに占領されたのでは?と御嘆きになられるかもしれまセン。しかし、御安心くだサイ。これは箱庭、人間どもの作ったゲルスバのミニチュアなのでありマス。きゃつらは度重なる敗北でゲルスバ砦攻略を断念。本物そっくりの情景模型を占領することで、日頃の敗北のうっ憤を晴らしている模様なのデス。しかも、この箱庭をめぐってバリスタンと称する戦争まで始める始末。もはや、敵とはいえ哀れを誘う有様にて、我々の勝利は疑いなしでありまショウ。皇帝陛下万歳!




Illustration by Mitsuhiro Arita