優れた防御力を持ちつつも、身体にフィットし、滑らかな動きを可能にする革製の防具は、派手さこそ少なめだが気品のあるものが多い。また、アタッカー向きの性能を持つものが中心ながらも、装備できるジョブが多いのも魅力となっている。

革細工の師範階級の職人は、いったいどんな日常を過ごしているのだろうか?

今回は、革細工職人のOさんにお話をうかがった。

――こんにちは、今日はよろしくお願いします。
Oさんは革細工職人だそうですが、現在のスキルはどのぐらいですか?

「100です。先週やっと100に到達しました!ほかの合成は裁縫が60、鍛冶が56で、あとはほとんどやってません」

――なぜ、革細工の道を選ばれたのですか?

「僕、冒険者歴はけっこう長いんですが、合成は全然やってなかったんですよ。クリスタルを売って生活していたぐらいで(笑)。で、あるとき、闇のクリスタルをいっぱい獲ってきて競売に出してたんだけど、落札されずに全部戻ってきちゃったことがあって……。そのとき友達に、羊を狩って毛皮をなめして売ると儲かるよって教えてもらって、やってみたら本当に儲かっちゃったんです。それからは、やり始めたら極めなくては!って頑張って100まで(笑)」

――なるほど。冒険者としての腕前はどのぐらいでしょうか?

「獣使いが75です。あとはシーフが72なので、簡単な素材狩りはシーフでやることのほうが多いです」

――冒険者としてのレベルが高くないと、革細工の道を進むのは大変だと思いますか?

「革細工の素材は敵が落とすものがほとんどなので、自分で素材狩りをできるレベルがあったほうが便利だと思います。スタックできないものも多いし、僕は基本的に現地でなめし革にしてます。安いものは競売で買っちゃったほうがラクですが、なかなか出回らないものもあるし、出品されても落札を狙っているライバルが多いんですよね〜」

――素材集めは大変ですか?

「中盤までのスキル上げで使う皮は、集めやすい場所を自分で見つければ、そんなに大変ではないですよ。シーフのトレジャーハンターはあったほうがいいと思います。師範になってからは、NM(ノートリアスモンスター)が落とす皮を使うレシピが多いので、けっこう大変かもです。僕は獣使いなんで、NM狩りとかもソロで楽しんでました。誰も通らないようなところで、よく戦闘不能になったりしましたが(笑)」

――何を売って稼いでいるんですか?

「以前はなめし革を売って稼いでました。ある程度お金が貯まってからは、なめし革は自分用に保存してます。最近はマントやベルトのHQ品を狙ったりしてますが、NQ品の不良在庫が多いですね(笑)」

――革鎧とかは売らないんですか?

「革細工で作れる胴とかの装備は、低レベル向けのHQはけっこう売れるんでたまに作りますけど、高レベル向けのは残念ながらあんまり人気がないんですよね〜。アーティファクトとか敵が落とすレアな装備と性能を比べちゃうと、お金を出して買おうって思う人が少ないんだと思います。デザインはカッコイイものが多いんですが!逆に、あんまり売ってないんで注文を受けて作る機会は多いです」

――今まで修行に使ったお金と儲けたお金はどちらが多いですか?

「ちゃんと計算してないですが、たぶん儲けたお金かな。僕は素材を自分で獲ってくることが多いんで、その分修行にお金かかってないと思います」

――こんなものを作りたい! ってアイテムはありますか?

「タイガーマスクとかのかぶりものが好きなので、もっと増えたらいいですね。着ぐるみっぽい装備とか……。あとは、何か消耗品があればお金稼ぎしやすくなるかなーと期待!(笑)」

――今まで合成したもので一番思い出に残っているものを教えてください。

「初めて合成したときに失敗してフルロストした自分用のバーニー……(笑)。その後、再挑戦して完成できたけど、いまだにベヒーモスのなめし革を使うときにはものすごく緊張します」

――では、最後にメッセージをお願いします。

「高レベルの革装備は着てる人が少ないので、意外に目立ちますよ!ぜひ、おしゃれ着に取り入れてみてください!」

――ありがとうございました。

お気に入りだというパンサーマスクをかぶって現れたOさん。明るく話しやすい人柄で、インタビューは何度も脱線しつつ進行し、今回は紹介しきれなかったが、タルタルの小柄なカラダからは想像できない武勇伝も聞かせてくれた。ワイルドな冒険をしている彼のような人から、革細工のしなやかな製品は生み出されるのだ。

text by Takashi and Asami Watanabe 
Illustration by Mitsuhiro Arita