12月1日 天気:吹雪のち晴

[今日の仲間]
Jetsam(ヒューム・シーフ)通称ジェット
Ema-Pagamihne(ミスラ・白魔道士)通称エマ

今日のお弁当
雪山のロランベリー

今日は以前ジェットと約束した、バッファロー狩りの日。
エマも誘って、テレポヴァズでウルガラン山脈に向けて出発!

ウルガラン山脈は、ザルカバードのさらに北にある険しい山脈。
あたしとエマはここに来るのは初めてだけど、ジェットは何回か来たことがあるみたい。
バッファローは山のふもとにもいるんだけど、せっかく来たからには冒険冒険。
山頂までの登山にチャレンジすることにした。

「アリィは絶対タウルスに絡まれる……に3000ギル」

ジェットに賭けられちゃった……。
タウルスっていうのはデーモン類のモンスターで、なんとインビジを見破ってくるんだって!
今日は3人だから、なるべくインビジとスニークで姿を隠して、戦闘を避けていこうって計画なんだけど……あたし、普段から敵に見つかりやすいのよね。

しかし、すごい吹雪。ここは一年中、雪が降っているらしい。
視界が真っ白で、敵も近くまで行かないとなかなか見えない。
ジェットの先導についていったものの、むむむ……なんか追いかけられている気配。

「アリィ、後ろからなんか来てるよ」

エマに言われて振り返ったら……角の生えた黒くて尾っぽの長いモンスター……タウルス!

「3000ギルゲット! ……っていうか、絡まれるの早すぎ!」
「た、倒せばいいのよ、倒せば」

でも、周りはアイスエレメンタルやスノールがいて、魔法を使ったら危なそう。

「とりあえず、この先の通路まで走れ!」

ほかのモンスターを避けつつ、通路目指して走っていたら……

ズボッ!

よくわからないけど、穴に落ちてしまったみたい?
落ちた先にはスケルトンが数体いて……HPが減りかけていたあたしは、みるみるうちにスケルトンの魔法の餌食に……。

気がついたら、どこかの通路の行き止まり。
エマがトラクタして、あたしを蘇生させてくれた様子。

「アリィのドジ〜!」
「落とし穴あるなんて知らなかったよ〜!」

気を取り直して再び登山開始。

「また、後ろからなんか来てる。あ、私だ」

今度はエマが見つかった。幸い、通路も近かったから戦闘開始!
ところが……盾役のあたし、モータルレイって技をくらっちゃった!
この技、受けると死のカウントダウンが始まって、10秒後には戦闘不能になっちゃう恐ろしい技。
噂には聞いていたんだけど、避けられなかったよー!

「聖水とカーズナ使え!」

ジェットの指示で、持っていた聖水をがぶ飲み。エマもカーズナの呪文を詠唱。
聖水とカーズナは確実に治せるわけじゃないんだけど、残り1秒ぐらいのギリギリのところで、なんとか解呪成功!
2度目の戦闘不能はまぬがれて、ほっと安心。

「ここから先の敵は3人じゃ難しいから、気をつけろよ!」

ドキドキしながら走っていくと、降り続いてた吹雪がやんだ。
すると、開けた広場に大きな青い真龍……ヨルムンガルドの姿が!
見つからないように壁際をコソコソ歩きながら抜けて、山頂にある洞窟へ。
ここの洞窟、雪が降っているときは滝が凍っちゃって入れないらしいんだけど、ちょうど晴れたから入れたの。ラッキー!

洞窟の奥は熊爪嶽と呼ばれる場所につながっていて、細い通路を抜けると、そこは一大パノラマ。

「うわー!」

続く山並みと、遥か下のほうに広がる雲海。
思わず息を呑むような、美しい景色!

「ここを見せたかったんだ」

ジェットが得意気に微笑む。
ここまではモンスターも来られない場所で、とても静か。
ちょうど空が白み始めた時間だったので、朝日が昇るのを見ながら休憩することにした。

「ウルガランってことで、雪山のロランベリーを作ってきました!」
「……私、あったかいものが食べたい」
「……ここで鍋料理とかあったら最高なのに」
というわけで、雪山のロランベリーはイマイチ不評。味はバッチリだったんだけど……。

でも、日の出を見ながらのご飯は最高!
ここで初日の出を迎えられたらステキかもね♪

さて、登頂のあとは下山。このウルガラン山脈、名物の下山方法があるらしい。
ジェットに案内されて熊爪嶽から引き返すと、こんなところ降りられるの? ってぐらい切り立った崖の上に着いた。
千人落しの崖と呼ばれている斜面で、滑り降りることができる様子。
でも、こ、怖い!

「行くぜ〜!」

勢いよく滑り降りるジェット。エマもそれに続く。
おそるおそる足を踏み出すと、自然に滑ることができた……けっこう気持ちイイかも!

崖を降りた先に、バッファローがたくさん生息している場所があったので、そこで少しだけバッファロー狩り。
野牛の肉を使った料理が作りたいんだけど、なかなか高くてね〜。
ジェットのトレジャーハンターのおかげもあって、本日は5個の肉をおみやげにできた。
頑張ってステーキ作ろ〜っと♪

text by Takashi and Asami Watanabe 
Illustration by Mitsuhiro Arita