闇の勢力



オーク族

好戦的なオークは、何らかの軍務についている者が殆どである。老若男女すべてが戦士としての訓練を義務づけられており、彼らの部族単位はそのまま軍団編制に適用される。


クゥダフ族

加齢と共に背甲を分厚くするクゥダフの兵士は、年齢によって呼び名が異なる。また、王に仕える直属の親衛兵は、戦士は硬い金属の名前を、魔道士は美しい宝石の名前を冠して階級としている。


ヤグード族

ミンダルシア大陸に覇を唱えるヤグードは、種族全体でひとつの巨大な宗教集団を形成している。故に彼らの呼び名も、宗教的地位に準じたものが多い。


ゴブリン族

ヴァナ・ディール全土に広く棲息しているゴブリンは、他の獣人と(時には人間とも)共生したり、独自のコロニーを形成したりと、環境に合わせて柔軟に生活スタイルを変えている。また、獣人の中では最も技術に秀でており、人間同様に幅広い職業に従事している。


アンティカ族

かつてのガルカの都アルテパを中心に帝国を築きあげ、クゾッツ諸島全域を支配化においている獣人。彼らは高度に管理化された軍事社会を形成しており、生まれた時から軍務が、整理番号である名前と共に決められている。個々人は、その軍務に応じて必要な専門知識しか与えられず、肉体も軍務に適したように生まれついていない。そのため、人口調整のために用意されている剣闘士になる選択以外、軍務が代わることもあまりない。

私有財産という概念もなく、将兵の装備はすべて支給品で、食事も役割に応じた配給制である。しかし、情動が他の獣人に比べて極めて低い彼らは、それを不満に思うことはないようだ。それは戦闘時においても同様で、士気によって能力が高まることもない代わりに、いかなる状況であれ低下もしないとされる。アンティカのもうひとつの強みは動員兵力にある。通常の兵力こそ他の獣人と同様であるが、彼らは戦時になると、低消費で仮眠している蛹状態の予備役将兵を現役に復帰させることができ、百倍近くまで兵力を倍増可能なのだ。大戦時には、海上輸送手段を確保する時間が足りなかったため、主戦場であったクォン大陸に少数の兵力しか上陸させられず、彼ら帝国軍の戦力が大勢に影響を与えることはなかったが、もし彼らの全軍が参戦していれば、連合軍の敗戦は間違いなかったであろうとは、人間諸国の将軍の共通見解である。

首の摩擦音によるコミュニケーション手段こそあるものの、雄叫びを上げることもないため、味方の屍がいくら築かれようと、無言で前進する彼らの軍隊は、人間にとって恐怖以外の何ものでもないのだ。


サハギン族

エルシモ島の西部沿岸地域に分布する水陸両棲の獣人。原始的な漁労生活を営んでおり、食事のほとんどは魚介類。自分たちのテリトリー保全以外には、外部にさして興味を持たず、排他的である。先の大戦前夜にも、幾度もの闇の王の誘いをはねつけ、不干渉の立場を貫こうとした。しかし、煙を吐く船やバストゥークの河等を見せられた族長たちは、やがて自分たちの環境も人間に激変させられるかもしれないという恐怖を覚え、参戦を決意。大戦時には、バストゥーク港への破壊工作を決行。強力な艦隊を立ち往生させ、彼らの名をヴァナ・ディール中に轟かせた。

戦後は他の獣人との連絡を絶ち、近隣に根城を構える海賊と、細々と物々交換(サハギンの捕ってきた魚貝と海賊の戦利品である金属器の交換)を行う以外は外との接触を断っている。なお、サハギンの多くは海蛇や奇岩等の様々なものを崇める、いわゆる精霊信仰であるが、獣人の中では異例なことに、女神信徒も若干ながら存在いるようだ。


トンベリ族

エルシモ島の東、ヨアトル大森林に棲む小型の獣人。彼らは人間に凄まじい怨みを抱いており、その情念から発する、同族同士の団結力と他部族に対する残忍さは、獣人の中でも群を抜く。大戦時には、ウガレピ寺院の守護が本義ということで、闇の王の要求した数の出兵にこそ応じなかったものの、選抜された数名の精鋭が送り出され、闇の王直属の秘密戦隊として活躍した。彼らは、姿を見られることなく、敵の城や砦に潜入し、数々の要人や将軍を暗殺したため、姿なきアサシンとして連合軍を恐慌に陥れた。

トンベリの教義によれば、彼らの創生の女神ウガレピは、アルタナにおとしめられてしまった。そのため、自分たちは醜い姿に変えられ、辺境に追いやられてしまった、とされる。アルタナの創生した人間への復讐は、彼らの使命となっているのだ。ちなみに、彼らが角灯と包丁を持っている理由は、次のスローガンに表されている。「トンベリの民よ!「角灯」を持て!真実の陽が射す、その日まで、怨みの灯火を絶やさんがため。トンベリの民よ!「包丁」を持て!その刃にてアルタナの民を捌き、真の女神ウガレピに捧げんがため。」


巨人族

クフィム島を根城にする巨大な獣人の総称。ジャイアント族、ギガース族、ヨトゥン族などが知られる。獣人といっても、一見したところ、知性はあまり感じられず、彼らの言葉も少ない単語を羅列する程度の簡単なものでしかない。しかし、恐るべき怪力を誇る上、大陸から連れ去った人間から、造船術や築城術など、ある程度の実用的な技術を学んでいるため、敵にまわすと厄介な相手である。

本来、彼らが居住している地域は、遥か北方の島々である。昔から数十年に一度、大船団を組んで南下しては、沿岸の人間集落を襲って略奪を働いていたが、そのまま大陸に居座ることはなかった。しかし、その怪力に目をつけた闇の王は、遥々彼らの族長たちを訪ね、助勢を依頼。挙兵前には、彼の招聘に応じて大規模な傭兵団が編成され、海路バルドニアに上陸した。その後、巨人傭兵団はズヴァール城の築城に従事。大戦が勃発すると、その巨体を活かした突撃隊が編成されて大活躍した。

やがて、ザルカバード会戦で獣人軍が敗れると、故郷に帰ることもできなくなった彼らは、クフィム塔に立て篭もり、頑強に抵抗した。そのため、連合軍もうかつに手が出せなくなり、現在に到っている。


デーモン族

バルドニアに出没する有翼の獣人。硬質でありながら柔軟な殻(邪悪な魔法によって肉体と結合させた鎧という説もある)に全身を覆われており、物理的なダメージを吸収してしまう。また、非常に高度な知性を有しており、高位の魔法を駆使できる者も多い。

漆黒の怪異な姿が、地獄にいると信じられているデーモンにあまりにも似ていたため、このように呼ばれるようになったが、彼らは自らを「闇の血族」と称するのみで、その正体には不明な点が多い。先の大戦前には、闇の王の親衛隊を担い、圧倒的な力でヴァナ・ディールに盤踞していた獣人勢力を切り従え、恐怖で支配していった。さらに、大戦が始まると、王の伝令や各獣人部隊の督戦に活躍し、ともすれば身勝手な行動をとりがちな獣人指揮官を牽制し、作戦の遂行に努めた。その後、闇の王が滅して敗戦が確定的になると、いずこかへ去っていたが、昨今の王復活の噂と共に、再びバルドニアに集結を開始したようである。彼らはバルドニアに元々棲んでいた獣人ではないため、その出自についても諸説あるが、闇の王が地獄に落ちた時に彼の地で契約を交わして連れてきた、というのが、人間にも獣人にも最も流布している説である。

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