エルシモ島の西部、比較的海抜の低い地方。未開の島における、開かれた海の玄関口であるが、カザムのミスラ、ノーグの海賊、そして獣人サハギンの三勢力が拮抗して混在する、情勢不安定な地域でもある。北部の火山地帯をのぞき、そのほとんどは鬱蒼とした熱帯雨林に覆われている。
低地エルシモの大部分を占める熱帯雨林。高温で湿潤な気候のためか、樹木以外にも、大型化した蔦性植物や着生植物、そして食獣植物等、多様な植生が見られる。森の南端、複数の小さな滝が流れ落ちる渓谷は、美の妖精が集まるという言い伝えがあるため、カザムのミスラはここを「隠れ谷」と呼び、こぞって身を清めるために利用している。
水陸両棲の獣人サハギンによって、エルシモ島西端の岸壁に掘られた長大な岩穴。内部は、魚油の焦臭と魚介の腐臭で充満しており、すべての人間の侵入者を頑なに阻んでいる。名前は、彼らの崇拝する巨大な海蛇が、かつてこの洞を巣穴としていたことに由来するが、真偽のほどは定かではない。