エッグハント 〜ジェミミのスパイ大作戦〜 (2014/03/12)

もぐ……もぐ?
はっ! 
んぐっ! くぷっ! ごくんっ!
ふう。

み、見てたクポ?
タマゴ一個を丸呑みはさすがに辛かったクポ。
もう出番だったとは気付かなかったクポ……。

えっと……。
今年もエッグハントの季節がやってきましたクポ!

みんな、イニシャルエッグを集めて、
わがMHMUが用意したとっておきの景品をゲットしてほしいクポね。

頑張って新しい景品も用意させてもらったクポ。
も・ち・ろ・ん、
新しい景品には、新しい合い言葉が必要クポ。

冒険者のみなさん、頑張って合い言葉を見つけてほしいクポ〜〜〜!

「いい? よく聞くのよ、新米記者ジェミミ!」
「はい、しっかり聞くであります、コナナ先輩!
あの、でも、そろそろ『新米』は外してほしいであります!」
「ふう……あのね、ジェミミ。
魔法新聞社は、役立たずを食わせてやるほど余裕がある経営状況じゃないの〜。
スクープを取れないかぎり、あなたはいつまでも新米なのよ!!」

ジェミミは思わず背筋を伸ばした。

「わ、わかってるであります!
……というか、またこのノリなんですかぁ、コナナねえさま。
確か一昨年もやったような」
「だから、ねえさま言うなっての! あたしは、せ・ん・ぱ・い」
「はい、はい。わかっているであります、コナナ先輩!」
「ん、よろしい! 実はね、ジェミミ。
わが魔法新聞社はとある極秘情報を入手したのよ〜」
「極秘……情報?」
「今年度のエッグハントには、新しい景品が用意されるんですって」

エッグハント──
それはMHMUの仕掛ける春の訪れを祝うイベントだ。
カラフルなイニシャルエッグを集めて持っていくと様々な景品と交換できる。
ただし、景品には対応する合い言葉が設定されていて、
イニシャルエッグでその単語を作らなければ交換できない。

「ジェミミには、この情報の真偽を突きとめてほしいのよ〜」
「えっ!? ……どうやってですか?」
「そりゃ、どうにかして、なんとかするのよ」
「わ、わかりました。ジェミミ、なんとか、どうにかしてみせるであります!」

ジェミミはモーグリの工房に忍び込むことになった。
こんなこともあろうかと、手に入れておいたモグスーツを着込み、
モーグリそっくりに化けて工房内に紛れ込むことに成功する。

「おい、そこの遅れてきたモグ! 早くこっちにくるクポ!」
「あ、あたし、ですか?」
「ん? オマエ、何か変な言葉遣いしてるクポ?」
「そ、そんなことはないですよ〜〜〜〜クポ! あ、こっちですね……クポ!」

心臓をどきどきさせながら、モグジェミミは、モーグリたちの後ろに並んだ。

その大きな部屋には、どうやらMHMUの工房の全モーグリが集まっているようだった。
数え切れないほどの数のモーグリたちがいた。
(こうして見ると、モーグリたちってほんとに同じに見えますね〜)
頭の上の触覚の色がちょっとずつ違うとか。
鞄を腰に巻いていたり肩から提げていたりとか。
本当はわずかに違うのだけれど、
まるで間違い探しのようで、目をこらさないと見分けがつかない。

「静聴! 静聴!〜〜〜〜〜〜〜クポ!」
工房の親方モーグリが一段高い壇上に上がった。
「今日は、エッグハントの景品の新しい合い言葉を決めるクポ!」
親方の言葉に、ジェミミは心のなかで快哉を叫んでいた。
(やった、スクープだぁ!)

エッグハントの景品の合い言葉がわかる。
それだけでも喉から手が出るほど貴重な情報だ。
加えて、謎に包まれていたMHMU製品のネーミングの瞬間がわかるのだ。
(どうやって、モーグリたちは色々な名前を決めてるんでしょ)

「まずは、この新たな景品の合い言葉を決めるクポ!」
そう言って親方が頭上に掲げたのは、エッグハントの景品の楯だった。

(なにあれ、かわいい〜〜〜〜!)

それは、ひなチョコボを象ったシールドだった。

「はい、クポ!」
「鍛冶工房グループ、言ってみろクポ!」
金槌の意匠を付けたエプロンのモーグリが大きな声で叫ぶ。
「シールド〜クポ!」
「シールド……鎧……冑〜クポ!」
「頭〜クポ!」
「ヘルム!」「エッグヘルム!」「カラフルエッグ!」「催涙卵〜」

(なに、なに? なにこれ?)

ジェミミは当惑してしまった。
最初の「シールド」はまだ理解できた。
目の前に見えているのが、「ハッチリンシールド」だからだろう。
そのままである。

しばらく黙って聞いていて、
ジェミミは、これが連想ゲームだと気づいた。
ある単語をモーグリのひとりが叫ぶと、
次から次へと、周りのモーグリたちがそこから連想される単語を叫んでいる。

まるで熱したフライパンのなかに放り込まれた切り刻まれた野菜のように、
たくさんの言葉が、モーグリたちの間で飛び交い、引きずられ、検討されていた。
そして連想があまりにねじ曲がってくると、親方が、
「ボツ……クポ!」
とひとこと言って、お蔵入りになった。
それは、まるで何かの儀式を見ているかのようだった。

(そっか。モーグリたちって、こうやって名前を付けてるんだぁ)

合い言葉をなかなか冒険者たちが見つけられないわけだ。
モーグリたちの突飛な思考に連想に合わせなければならないのだから。

「おい、オマエ」
突然声を掛けられてジェミミはぎくりと身をすくませた。
「あ、あたし? えっと……なにクポ?」
「オマエ、さっきからひとつもアイデア出してないクポ!」
「へ?」
「ほら、さっさと会議に参加するクポ!」
「あ、え、えーと……」
「オマエ……あやしいクポね。ひょっとしてオマエは、スパイクポ!?」
「ちち、ちがいますって! あ、えーと、ほら! あの楯はチョコボのヒナだからぁ」

(チョコボ……黄色い……カスタード……ケーキ……)

「ス……スターライトケーキ!」
ジェミミは叫んだ。
それがきっかけになった。
いい加減、アイデア出しに疲れていたモーグリたちは、
ジェミミの言葉に釣られて、次々と食べ物の名前を並べたて始め、
次の瞬間に、モーグリたち全員のお腹がいっせいにグーと鳴った。
「ボツ……クポ!」
親方モーグリが苦々しげに言って、
ジェミミを急き立てたモーグリも顔を真っ赤にしていた。

「なにやってるクポ! 休憩十分前は食べ物の名前は禁止クポ!」
「そ、そんなこと知らないですよぅ!」
「ですよぅ……クポ?」
「はっ! クポ!」
「もう遅いクポ! オマエ、やっぱり遠い国からやってきたスパイだったクポね!」
「ち、違っ──」
「問答無用クポ! えい!」

ぽん、と何か小さなものが飛んできて、ジェミミの口のなかに入った。
小さな甘い塊──ドロップだ。
「ん、んぐ……ごっくん! な、なにこ──あれれれぇぇ?」
「その姿でしばらく反省するクポ! さあ、もう工房に潜り込んでくるんじゃないクポ!」

  ※

「センパァイ!」
新聞社のデスクで原稿の残りを埋めていたコナナは後輩の声に顔をあげ──驚いた。

「なっ! 誰よ、あんた!」
「ジェミミですよぅ」
ジェミミが丸々と膨らんだモグスーツを脱ぐと、
コナナの前には、緑色の丸々した植物のような生き物……リフキンがいた。
「リフキンじゃん」
「ジェミミなんですよ〜〜〜〜〜!」
叫んだ瞬間に魔法の効果が切れて、泣き顔になった後輩が姿を現した。

ジェミミが涙ながらに、自分の潜入報告を済ませると、コナナはひとつ大きく頷いた。
「でかした! それはすっごいスクープね! で?」
「で? とは?」
「その合い言葉よ。なにに決まったの?」
「あ……あのぉ、決まったときにはあたしリフキンになってたから、その……」
「聞いてなかったとか言わないわよね?」

「ええと、その……ひとつは、確かそう『E』が3つあった気がします!」

「それから、『L』と『F』と『K』と『N』でできた単語がありました」

「あ、あと、『V』『A』…あと、なんとか……みたいな感じでした!!」
「……ひとっつもわかってないじゃないの!」
「だだ、だってぇ、あたし、そのときリフキンだったんですよぅ!」
「記事は情報の正確さが命なの! そんなんで記事になるか〜〜〜〜〜!」
「えええぇぇぇぇぇ! そんなぁぁぁぁ!」

ジェミミが一人前になるまでにはまだまだ時間が必要なようだった。


Story : Miyabi Hasegawa
Illustration : Mitsuhiro Arita

開催期間

2014年3月18日(火)17:00頃〜4月2日(水)17:00頃まで

モーグリの出現場所

イベント期間中、以下のエリアにモーグリが出現します。
モーグリに話しかけると、イベント内容を聞くことができます。

南サンドリア(J-9) / 北サンドリア(D-8)
バストゥーク鉱山区(H-9) / バストゥーク商業区(G-8)
ウィンダス水の区(北側)(F-5) / ウィンダス森の区(K-10)

11周年記念スペシャル役について

今回のエッグハントでは、11周年を記念した3つの役が追加されています。
新しい報酬もご用意していますので、お楽しみに!


「エッグハント」の遊び方

▽イニシャルエッグとは?
イニシャルエッグとは、1文字のアルファベットが記された鳥の卵のこと。
イベント開催中、催しエリアにいるモーグリから、ヴァナ・ディール時間で1日1回、1つだけもらえます。
いくつか集めて、決められた役を完成させれば、素敵な景品と交換できます。
ただし、エッグに何のアルファベットが記されているかは、受け取るまでわかりません。
時には周りの人たちと交換しつつ、役の完成を目指してがんばりましょう。

▽「ファースト3」
まずは基本の役「ファースト3」を目指して、イニシャルエッグを集めてみましょう。
自分のキャラクター名の頭文字から順に3文字と、同じアルファベットのエッグを3つそろえれば、完成です。

例 : キャラクター名がMoogleの場合「M」「O」「O」の3つ

その3つのエッグをモーグリにトレードしてください。
代わりに、素敵な景品がもらえます。

▽「イニシャルストレート8」
自分のキャラクター名の頭文字と同じエッグをまずは用意し、後は、アルファベット順に8文字、連続するエッグを(全8個)そろえれば、完成です。
例 : キャラクター名がMoogleの場合「M」「N」「O」「P」「Q」「R」「S」「T」の8つ

▽「7 オブ・ア・カインド」
任意の同じ文字のイニシャルエッグを7個そろえれば、完成です。
例 : 「A」「A」「A」「A」「A」「A」「A」の7つ

▽攻略のヒント
・パーティを組んだ状態でモーグリに話しかけると、メンバーのうち任意の1人を指名して、そのイニシャル(頭文字)が記されたエッグを受け取ることができます。
さらに、もしその時、指名したメンバーがエッグヘルムを装備していると……?

・身近な「エッグ」を、モーグリにトレードしてみましょう。引き換えにイニシャルエッグが、別にもらえる場合があります。(ただし、ヴァナ・ディール時間で1日1回だけです。)

・新規作成したキャラクターはヴァナ・ディール時間で1日が経過していないと、モーグリからイニシャルエッグを受け取れません。
また「ファースト3」を完成させて、モーグリにトレードした後でないと、その他の役はトレードできません。

・イベント期間中は、モーグリたちの話に耳を傾けてみましょう。もしかしたら、重要なヒントを聞きだせるかも……?

今回ご紹介した役以外にも、さまざまな役が存在します。是非、みなさんで探してみてください。

エッグビュッフェの仕組み

「エッグロッカー」「エッグテーブル」「エッグスツール」「エッグランタン」の 4つの調度品を集めて、モグハウスのモーグリにトレードすると、巨大調度品「エッグビュッフェ」に組み上げてくれます。
逆に、モーグリに「エッグビュッフェ」をトレードすれば各調度品をばらばらに戻すこともできます。

特設店の設置場所

以下の場所に特設店が設置され、エッグハントにちなんだアイテムが販売されます。

北サンドリア(D-8)
バストゥーク鉱山区(H-9)
ウィンダス水の区(北側)(G-10)