季節は巡り巡って、またあの季節がやってきたクポ。
選ばれた男女が、伝説の悲恋の恋人たち、
ヤヒコ皇子とアムディナ姫に扮してラブストーリーを演じる。
そう、銀河祭の季節クポ!
今年もみんなでふたりを応援してほしいクポ!
「納得がいかないわ!」
……だれクポ?
「あたしよ!」
あたしじゃわからないクポ……ロアランヌ(Loaranne)さん!?
「なんでなの!?
どうして毎年毎年ヤヒコ皇子は、アムディナ姫しか見ようとしないの!?」
ロ、ロアランヌさん……。
「今年こそは……今年こそは、アムディナ姫に勝ってみせる。今度こそは。
そのための必殺の手段を思いついたわ!」
な、何をする気クポ!?
「そうして、来年こそはわたしがアムディナ姫をやるのよ!」
ロアランヌさん、毎年そんなことを考えていたクポね……。
はあ。
どうやら今年の銀河祭は、みなさんの応援がよりいっそう必要になりそうクポ。
よろしくお願いしますクポ!
〜ルック・アット・ミー〜
ロアランヌ(Loaranne)は考えていた。
もうすぐ銀河祭だ。
今年のヤヒコ皇子役の俳優は若手のトップクラスで人気も高い。
顔もいいし、背が高くてスタイルもいい。
サンドリアの凱旋広場で野外劇が開かれるたびに見に行っているが、
ロアランヌとしてもイチオシの俳優なのだった。
銀河祭では、ヤヒコ皇子は様々な誘惑を受けるものだ。
声を枯らして声援を贈る女性たちにしても、隙あらば皇子を振り向かせたいと思っている。
皇子と姫の絆を試しているからでもあった。
とはいえ、
こうも毎年毎年、振り向いてくれないとあっては誇りも傷つくというもの。
しかも、冒険者とかいう輩が、ヤヒコ皇子に近づくたびに追い払いにかかってくる。
イベントの主催をしているモーグリたちにそそのかされているに違いなかった。
冒険者たちの邪魔をものともせずに、もっと彼の気を引くことはできないだろうか?
「冒険者か……。そうだわ!」
彼らが冒険のたびに小まめに装備を取り換えているという話を聞いたことがあった。
MHMUのモーグリたちが、あ、あすとらるこーてぃんぐ技術……?
とかいう方法を使って
たっぷり収納できるが嵩張らないワードローブを完成させたとかさせないとか……。
「それを使えば……」
ロアランヌは、皇子の気を引けるのではないかという手を思いついたのだった。
※
銀河祭当日の夜。
ロアランヌは、俗に種族装備と呼ばれる服を着て観客たちに紛れていた。
──来た!
ヤヒコ皇子に扮した男の姿が見えた。相変わらずかっこいい。
鍛冶ギルド前から始まった皇子と姫の芝居は、伝説をなぞりながら、南へと歩いてくる。
まずは懐から、用意してきた花火──フォーリングスターを取り出して点火する。
フォーリングスターは、空から自分に向かって星が落ちてくるという花火だ。
観客たちの間に、どよめきが起きた。
夜空からいきなり星が落ちてきたのだ。驚きもする。おかげでみなの注目が集まった。
間髪入れずに今度はバブルブリーズに火をつける。
ロアランヌの周りに一瞬にして無数の泡が現れて全身を覆った。
弾ける泡がロアランヌの身体の微妙な部分をぜんぶ覆い隠してくれることは何度も実験して確かめてある。
──いまだ!
ワードローブに入れておいた『衣装』を引っ張り出す。
花火の効果が消えたとき、
ロアランヌの全身は黒い色の水着で覆われていた。ウッドトップとウッドショーツだ。
「おお!」と観客たちから声があがる。
──ようし、次よ、次!
ギルドが建ち並ぶ通りは入り組んでいて、姿を隠す場所には事欠かない。
水着姿でヤヒコ皇子へとキスを投げてから、ロアランヌは建物の陰へとさっと隠れる。
そこに、次の『衣装』を入れた布包みを隠してあった。
冒険者ではないロアランヌは、ワードローブをまだ使い慣れていない。
だから、それだけに頼るわけにはいかなかったのだ。
──冒険者たちってすごいわよね……。あっという間に慣れちゃうんですもの。
ふたたび花火が鳴った。
観客たちの目が音のほうへと向く。
そこにはすでに着替えを終えたロアランヌがいた。マグナジレとマグナショーツ。青い色の水着を着ている。夏の空を思わせる鮮やかな色の水着だ。
「わぁ……きれいねえ」
「いつの間に着替えたんだ!?」
──うふふ。いい調子!
ロアランヌはほくそ笑む。ヤヒコ皇子に手を振ってから、ふたたび物陰へ。
その後もロアランヌは着替え続けた。
最後は、最新の水着に着替えたうえで、とどめとばかりに恋華玉を打ち上げる。
大小のハートがロアランヌの周りに降り注ぐなか、彼女は調子に乗って、歌まで歌ってみせたのだった。
観客たちからは拍手が鳴り響き、
ヤヒコ皇子も熱っぽい目でロアランヌを見つめている──ような気がした。
いや、気のせいではない。
ヤヒコ皇子がロアランヌのほうへと向かって歩いてくるではないか。
ロアランヌは「勝った」と思った。アムディナ姫よりも自分を選んだのだ。
やってきた皇子が、ロアランヌを見つめながら言った。
「素晴らしい技だった! ぜひ夏公演に出てくれないだろうか」
「へ?」
「僕たちは『魔女に呪われた姫が怪物の姿に変えられてしまう』という芝居を次に計画しているんだ。
君の、その技を生かしてほしい」
「え? え? ええ〜〜〜〜〜っ!?」
観客たちから万雷の拍手が起きた。
──そういう注目のされ方をしたかったわけじゃないのよ〜〜〜〜〜〜!
ロアランヌの内心の叫びは、
頭上に白く輝く大いなる天上の河へと吸い込まれて消えたのだった。
Story : Miyabi Hasegawa Illustration : Mitsuhiro Arita |
開催期間
銀河祭は2014年6月24日(火) 15:00頃から7月8日(火) 17:00頃までを予定しています。
モーグリの出現場所
モーグリに話しかけると、イベントの進め方を聞くことが出来ます。
北サンドリア(D-8)/バストゥーク商業区(G-8)/ウィンダス水の区(北側)(F-5)
今年の銀河祭では、アムディナ姫が報酬として新たな花火を用意してお待ちしています。
以前の銀河祭に参加されたことのある皆さんも、ふるってご参加ください。
※アムディナ姫から花火をもらうためには、アムディナ姫からもらえる報酬をすべて所持している必要があります。
※花火は新たに追加されるものを含めた3種類の内、いずれかの花火がもらえます。
「短冊に願いをこめて 2014」同時開催!
今年も七夕の季節がやってきました。
去年に引き続き、今年も笹と短冊をご用意してお待ちしていますので、
皆さんのおもいおもいの願いごとを短冊に書いて、ぜひお寄せください。
詳細は『こちら』。