謹賀新年  〜歳月は廻る〜 (2015/01/01)

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

ヴァナ・ディールでは、恒例の干支モンスターの練り歩きがおこなわれていますが、
なんと干支が一廻りして再び羊となりました(何歳かは言いませんが、私は年男です)。
最初の練り歩きを作成したとき、まさか一巡するとは想像もしていませんでしたので、
実に感慨深いものがあります。

日々ヴァナ・ディールを支えてくださる冒険者の皆様のおかげで、
ここまで運営を続けていくことができました。

これからも、少しの時間でも楽しく、がっつり遊ぶとさらに楽しいヴァナ・ディールのために、
開発・運営ともに、全身全霊であたらせていただきます。

本年もよろしくお願いいたします。

FFXI プロデューサー 松井聡彦

ジュノ大公国──『吟遊詩人の酒場』。
年の終わりのひととき。冒険者たちが集まって騒いでいた。
手に手に、料理と果実を絞った飲み物をもって、声を張りあげて唄ったり踊ったり。
散々っぱら大騒ぎしたところで、誰かがぽつりと言った。

「なあ。年が明けたら行くかい?」
「行くって、どこへ?」
問いに問いで返したのはエルヴァーンのナイトの娘だ。
細い指を細いグラスに絡めたまま、目を細めて声の主を見つめている。
問いかけたのはヒュームの若い戦士だった。
美しい年上の女性に、射抜くような瞳で見つめられ、しどろもどろになりながら答える。

「と、年神詣でですよ」
「なーんだ」
つまらなそうに言われた。
若い戦士は反論したかったけれど、
相手のほうが年が上で、しかも自分よりも冒険歴が長い。
ふたりの間に緊張した気配が漂って、酒場の中は白けた雰囲気になってしまった。

割って入ったのは、タルタルの少女だった。ひらひらと両手を振りながら宥める。
「まあまあ。せっかくのお祝いに怖い顔しないの」
「お祝いですって?」
「ええ。だって、今年も無事に生き延びたんですもの。充分、お祝いに値すると思うわ」
そう言って、酒場を見渡した。冒険者たちがグラスを掲げて叫ぶ。
「生き延びたことに!」
「生き延びたことに!」

「それに、来年はトクベツなのよ」
タルタルの娘が秘密めかした口調で言った。
「特別……?」
「そうよ。さあ、みんな! 来年の年神は何かしら!」

クォン、ミンダルシア、ふたつの大陸では、
一年を司る獣がいる、という言い伝えがあって、年神と呼ばれる。
年が明けてすぐに年神に出会うと縁起が良い、とされていた。

それならば偶然に出会うよりも、会いに行ったほうが確実だ、と。
年明け早々、年神を探す風習ができあがった。
盛んになったのは、ここ十年ほどのことだ。

「そもそも、年神ってのはいくついるんだ?」
ガラガラ声のガルカのモンクが尋ねた。
「12よ」
きっぱりと答えたのは、先ほどのタルタルの娘だった。
よく見れば、角のある帽子をかぶっていて、彼女は学者なのだった。

「幸運の羊達、幸運の猿、幸せの鳥、フェンリル、巨獣の群れ、大黒鼠、
バッファロー、剣虎、幸運の兎、夜明けの竜、リヴァイアサン、アリコーン……」

タルタルの学者娘の台詞を聞いて、ガルカのモンクがポンと手を打った。
「おっ、そうか。来年はまたヒツジか!」
「そういうこと。年神詣でが盛んになったのは12年前の大羊の大行進からなの。
最初は珍しさだけで見に行ってたのに。誰かがヒツジがその年の年神だって気づいて、
会えばご利益があるかも、なんて言い出したわけ。
その次の年はオポオポが群れてたし、その次の年はバードだったわね」

「わざわざフェンリルを呼び出した召喚士もいたな!」
「BBQ牧場のひとたちが宣伝に利用してたこともあったっす」
「ウィルム族を見かけたこともあったが、ありゃ、なんだったんだろうなぁ。
あんなのが、誰かに呼び出されたとも思えんし……」
年配の冒険者たちが懐かしそうに思い出を語り合う。

「で、来年はちょうど年神がひと廻りするわけよ。
ねぇ、みんな賭けない? 来年はどんな年神に会いにいくことになるかしら?」

タルタル娘に煽られて、冒険者たちは身を乗りだした。
「けどよ。今度も大羊じゃねえの?」
「12年前の大行進は偶然だったと言われてるわ。今年はどうかしら?
誰かが仕掛けてくるかもしれないし、召喚士たちが腕試しをするかもしれない。
ウィルムのときのように、思いもかけない獣がいるかもよ?」
「でもなぁ。
どっちにしろ、年神としてふさわしくなきゃいけないんだろ?
大羊以外に、いるかねえ?」
ガラガラ声のガルカのモンクが呟いた。

「ようするに、ヒツジっぽければいいのよね?
ふわふわしてて、もこもこしてれば……モーグリたちでいいんじゃないかしら。
ほら、白いし」
いつも陽気なミスラの娘がお気楽な調子で主張した。

いっせいに反対の声があがる。
半分ほどは、翼があるし、どう見てもヒツジには見えないというもっともな反論で、
もう半分は、
たとえあいつらが練り歩いていても、めでたくない、という些か私怨混じりの声だった。
モーグリたちに悩める冒険者もいるのだ。

「ヒツジって言えば、頭の左右の角だよな。じゃあ、ブガードでどうだ?」
「あれはトカゲの仲間だろ? 白くないし。ってゆうか、それはあっただろ!」
「白くていいなら、マンドラゴラね」
「獣じゃねえ! ありゃ、草だ! 却下だ、却下!」
「うーん」

酒場にいた冒険者たちは頭を抱えて唸った。
どうにも決まらない。
「やっぱり、大羊でいいんじゃねえか? 誰か連れてきてくれよ」
ガラガラ声のモンクが言って、みんなもいっせいに頷いた。
「そうだな」
「弾き飛ばされたり、踏みつぶされたりしなけりゃな!」
その言葉に、どっと笑い声があがる。
「よーし。みんな、日が昇るまで待って、何か練り歩いてないか見に行こうよ!」
陽気なミスラ娘が言って、みんな、グラスをぶつけて「おお!」と叫んだ。

すっかり陽気な雰囲気に戻った酒場の中を見回して、学者のタルタル娘がにんまりと微笑む。

ただし、ひとりだけむっつりしたままの冒険者が残っていた。
年神詣でに興味を示さなかったエルヴァーンのナイトの娘だ。
タルタルの学者は、若い戦士の冒険者の背中を叩く。
ほら──と。

「あの……」
「なによ?」
「行かないんですか、年神詣で」
エルヴァーンのナイトの娘は、細いグラスを細い指で摘まんだまま、むっつりした顔で答える。
「行きたくない」
「あの、理由を聞いても?」
「……大羊なんて、可愛くないもの」
「かわ……。って、ええっ!? そういう理由!?」

年上の美女がわずかに頬を染めた。
彼女の横顔を見つめながら、若い戦士は言ったのだった。
「あの……。
冒険者にはとびきりの幸運が必要だって言いますし。やっぱり行ってみませんか。
みんなと一緒だと、楽しいですし。それに──。
ひょっとしたら、今年の年神は可愛いかもしれないじゃないですか!」

熱を込めて言う少年をじっと見つめ返し、
エルヴァーンのナイトの娘は、目を伏せてから、「そこまで言うなら」と、
かすかに頷いたのだった。


Story : Miyabi Hasegawa

開催期間

2015年1月1日(木)0:00頃 〜 2015年1月14日(水)17:00頃

イベント内容

イベント期間中、下記のエリアを今年の年神である子羊たちが練り歩きます。
子羊たちにアイテムをトレードすると魔法効果やアイテム、年神を模した調度品などを得ることができます。


一定の条件を満たすと楽しそうな雰囲気にひかれてケット・シーが出現する場合があります 。
ケット・シーからも特別な調度品がもらえる場合があるので、探してみましょう!


アイテムを受け取るNPCとエリア

NPC:Elated Ovis / Smiling Ovis / Estatic Ovis / Playful Ovis

エリア:
西ロンフォール/東ロンフォール/ラテーヌ高原/バルクルム砂丘/ジャグナー森林/バタリア丘陵/北グスタベルグ/南グスタベルグ/コンシュタット高地/パシュハウ沼/ロランベリー耕地/ボスディン氷 河/西アルテパ砂漠/東アルテパ砂漠/西サルタバルタ/東サルタバルタ/タロンギ大峡谷/ブブリム半島/メリファト山地/ソロムグ原野/聖地ジ・タ/ユタンガ大森林/ヨアトル大森林/クフィム島

※子羊たちが好きそうなアイテムをトレードすると、よりよいものが得られる場合があります。
※子羊たちは時折疲れて眠りにつきます。おやすみ中の子羊たちにトレードをすると手に入る、ちょっと素敵な調度品もあるようです。


これまでの報酬アイテムについて

過去の練り歩きで配布されたアイテムは以下の場所で手に入れることができます。

1) アケオメの魂を手に入れよう

以下の場所にいるNPC”Ake”か”Ome”に話しかけると、モンストロス・プレッジで特別なモンスターになれるアイテム「アケオメの魂」が入手できます。
※「アケオメの魂」を持った状態でもう一度NPC”Ake”や”Ome”に話しかけると、何かが起こるようです。


北サンドリア/バストゥーク港/ウィンダス港


2) 特設店で買い物をしよう

以下の場所にいるモーグリが、謹賀新年にちなんだアイテムの販売を行います。


北サンドリア/バストゥーク鉱山区/ウィンダス水の区(北側)


3) お札探し勝負に力を貸そう!

モーグリは天晶堂から入手した七種の割符を各地に隠し、それをゴブリンが見つけ出せるかどうかで勝負をしているのですが、どうやら冒険者の皆さんの手助けを必要としているようです。
指定された割符を揃えてモーグリに届けてあげると、お礼にちょっと素敵なプレゼントが貰えます。
以下の場所にいるモーグリに話を聞き、ぜひ力を貸してあげてください!


南サンドリア/北サンドリア


バストゥーク商業区/バストゥーク鉱山区


ウィンダス水の区(北側)/ウィンダス森の区