エッグハント 〜バストゥーク・エッグスペリメント〜 (2015/03/31)

年に一度、卵が大活躍するお祭り──エッグハント。
新しい命が生まれてくるこの季節にぴったりのイベントだけれど、
毎年のことながら、モグたちはイニシャル・エッグの作成に追われていますクポ。

もちろん今年も、新しい景品と新しい合い言葉を用意させていただきましたクポ。

頑張ってイニシャルエッグを集めてみてほしいクポ!

合い言葉のヒントも、
ちょっと変わった方法で街のなかに散りばめてみましたクポ。

みなさんのご参加をお待ちしてますクポ〜!

春の陽気に誘われたんだ。

ライグラッドは、後にそう述懐した。

肉が食いたい。
ライグラッドはふと思い立ってしまった。
ガルカの友人ハクトルとリンクパールで連絡を取ると、
『蒸気の羊亭』で落ちあうことにした。

モグハウスの立ち並ぶ居住区から商業区への門を抜けようしたときだ。
ぬっと目の前に人影が現れ、ライグラッドは驚いてすっ転んだ。

街灯に照らされた上下の服は、礼服と呼ばれるタイプの布の服で、
冒険を重ねた者たちが街中でよく着ている服だった。
「お、驚かせんなっ!」
頭に血を上らせ、相手の脛にすかさずお返しの蹴りを入れる。

ジン、と爪先がしびれた。
蹴られた方は表情も変えない。声さえあげなかった。
そもそも生きてもいなかった。マネキンだったのだ。

  ※

「ほう。そりゃ災難だったな」
くくっ、と声を殺して笑いながら、ハクトルが焼きたてのソーセージにかぶりつく。
「ちきしょう。誰があんなとこに、あんなものを」
「深夜の街、突然に立てられた謎のマネキンか。ミステリーだな」
「よせやい。いたずらだろ」
「分からんぞ。大工房あたりの人体瞬間消失実験の余波かもしれん」
ハクトルのいい加減な出まかせにライグラッドは考え込んでしまう。
ひょっとしてシドのおやっさんが? いやまさか。
「まあまあ。気にするなって。それよりもっと食えよ」
言いながら、ソーセージが山盛りになった皿をライグラッドへと押しやってきた。

焼けた肉のいい香りが鼻先まで漂ってくる。腹が鳴った。
「ああ、食べるとも!」
モグハウスのモーグリときたら、最近は卵料理しか出してくれない。
肉だ、肉! ライグラッドは肉が食べたかったのだ。

「はっはっは。食ってるときには、嫌なことなんて忘れるもんさ」
ハクトルが豪快に笑った。
直後にそのままの顔で首を捻る。
「ん? こんな時間に誰からだ?」
道着の胸元から取りだしたのは白いリンクパールだ。
もうひとりの冒険仲間、白魔道士の少女ヴァラヤからだった。
「混ぜろってさ」

皿が空になる前にヴァラヤは合流し、3人で夜の港を見て回った。
そのときにヴァラヤから「謎のマネキン設置事件」の話が出たのだ。
彼女も、マネキンを蹴飛ばしたひとりだった。しかも──。

  ※

明くる日の夜。モグハウス前。
3人の冒険者──ライグラッド、ハクトルそしてヴァラヤは、とあるマネキンを見張っていた。
「私があれにぶつかったときは、まだ服を着せている最中だったみたいだよ」
ヴァラヤが自分のぶつかったマネキンを指さしながら言った。
「なるほど、だから、あいつだけ……」
そのマネキンだけは、他の場所で見つかった奴とは違って帽子を被っていなかった。

  ※

(来たよ……)
ヴァラヤが囁いた。
通りの向こうからやってきたのは、背中に羽を生やした小さくて白い生き物たちだった。
(モーグリじゃねえか!)
(しっ! 声が大きいって!)
ヴァラヤにたしなめられ、ライグラッドは思わず口をつぐむ。

キョロキョロとあたりの気配を探りながら、マネキンの元へとやってきたモーグリが、
「モグの受け持ちは、この《えぐすぺりめんと》でぜんぶ完了クポ!」
と呟いた。
そして大きな袋のなかから、両手で抱えて何やら取りだした。
(帽子だ!)
「そいつを頭に乗せて、さっさと引き上げるクポ」
周りを見張っているモーグリが言いながら、巻物のようなものを両手で広げた。
「念のために確認を……。はっ! こんなヒントをいつの間に!
さ、さてはプレゼント派の仕業クポね!」

「プレゼント派だぁ?」
ライグラッドは思わず声を出してしまった。
「だだ、誰ックポ!」
しかたなくライグラッドたちは暗がりから出た。
「おまえら……もしかして、MHMUのモーグリか」
街中でおかしなものが見つかったら、イベントを画策しているMHMUの仕業なのだ。

「なあ、プレゼント派ってのは何だよ?」
ライグラッドの詰問に、代表者らしいモーグリが明かりの下へと出てきて語った。

MHMUのイベント実行委員には、《プレゼント派》と《パズラー派》がいるのだという。
《パズラー派》はできるだけ難しい謎々を作りたがり、
《プレゼント派》はできるだけシンプルにプレゼントを配りたがる傾向がある。
MHMUのイベント内容は毎回、この2派の激論の末に詳細が決まっているのだと言った。

「あ、そうか。そういえば明日からエッグハントだね」
ヴァラヤが思い出した。
「だから、ここ数日やたらと卵料理が多かったのか……」

「なるほどな。で、この《えぐすぺりめんと》、とやらは何のために置いたんだ?」
ハクトルの問いかけに、モーグリは不意に真剣な表情になったのだ。
「こ、これ以上は《パズラー派》としては口が裂けても言えないクポ! えい!」
夜目にも鮮やかな閃光を発して、ライグラッドたちの足下を鼠のように花火が駆け回る。
その隙に、草原を逃げる兎の如くモーグリたちは逃げ出した。
「ちょ、ちょっと待てぇ!」
「待てと言われて待つモーグリなんていないクポ〜〜〜!」
夜の街に静けさが戻った。

「なんだったんだ……」
「その答えは、どうやら明日からのエッグハントを待つしかないみたいね」
「まあ、俺たちのするべきことは、だ。一刻も早くここから立ち去ることだと思うぜ」
「なんでだよ?」
ライグラッドの問いかけに、ハクトルがマネキンを指さした。頭が丸見えだ。
帽子を被せ終わっていなかった。なんだか間が抜けている。
「やれやれだぜ……」
春の風が港の潮の香りを運んでくる。夜明けまであと少しだ。
3人はモーグリたちのためにその場を離れることにした。
エッグハントのイベントに間に合うと良いのだが……。

もし、街中に着替えを済ませていないイベント用マネキンを見つけたら、
こういう理由があったのだと、
どうかモーグリたちを責めないでやってほしい。


Story : Miyabi Hasegawa
Illustration : Mitsuhiro Arita

開催期間

2015年4月2日(木)17:00頃〜4月16日(木)17:00頃まで

モーグリの出現場所

イベント期間中、以下のエリアにモーグリが出現します。
モーグリに話しかけると、イベント内容を聞くことができます。

南サンドリア(J-9)/北サンドリア(D-8)

バストゥーク鉱山区(H-9)/バストゥーク商業区(G-8)

ウィンダス水の区(北側)(F-5)/ウィンダス森の区(K-10)

新たな役について

今回のエッグハントでは、新たな役と新しい報酬が追加されます。
新しい報酬もご用意していますので、お楽しみに!


「エッグハント」の遊び方

▽イニシャルエッグとは?
イニシャルエッグとは、1文字のアルファベットが記された鳥の卵のこと。
イベント開催中、催しエリアにいるモーグリから、ヴァナ・ディール時間で1日1回、1つだけもらえます。
いくつか集めて、決められた役を完成させれば、素敵な景品と交換できます。
ただし、エッグに何のアルファベットが記されているかは、受け取るまでわかりません。
時には周りの人たちと交換しつつ、役の完成を目指してがんばりましょう。

▽「ファースト3」
まずは基本の役「ファースト3」を目指して、イニシャルエッグを集めてみましょう。
自分のキャラクター名の頭文字から順に3文字と、同じアルファベットのエッグを3つそろえれば、完成です。

例 : キャラクター名がMoogleの場合「M」「O」「O」の3つ

その3つのエッグをモーグリにトレードしてください。
代わりに、素敵な景品がもらえます。

▽「イニシャルストレート8」
自分のキャラクター名の頭文字と同じエッグをまずは用意し、後は、アルファベット順に8文字、連続するエッグを(全8個)そろえれば、完成です。
例 : キャラクター名がMoogleの場合「M」「N」「O」「P」「Q」「R」「S」「T」の8つ

▽「7 オブ・ア・カインド」
任意の同じ文字のイニシャルエッグを7個そろえれば、完成です。
例 : 「A」「A」「A」「A」「A」「A」「A」の7つ

▽攻略のヒント
・パーティを組んだ状態でモーグリに話しかけると、メンバーのうち任意の1人を指名して、そのイニシャル(頭文字)が記されたエッグを受け取ることができます。
さらに、もしその時、指名したメンバーがエッグヘルムを装備していると……?

・身近な「エッグ」を、モーグリにトレードしてみましょう。引き換えにイニシャルエッグが、別にもらえる場合があります。(ただし、ヴァナ・ディール時間で1日1回だけです。)

・新規作成したキャラクターはヴァナ・ディール時間で1日が経過していないと、モーグリからイニシャルエッグを受け取れません。
また「ファースト3」を完成させて、モーグリにトレードした後でないと、その他の役はトレードできません。

・イベント期間中、モーグリ達が3国内にマネキンを設置しています。新たな役を探すための重要なヒントになっているので、探してみましょう。


今回ご紹介した役以外にも、さまざまな役が存在します。ぜひ、みなさんで探してみてください。

エッグビュッフェの仕組み

「エッグロッカー」「エッグテーブル」「エッグスツール」「エッグランタン」の 4つの調度品を集めて、モグハウスのモーグリにトレードすると、巨大調度品「エッグビュッフェ」に組み上げてくれます。
逆に、モーグリに「エッグビュッフェ」をトレードすれば各調度品をばらばらに戻すこともできます。

特設店の設置場所
以下の場所に特設店が設置され、エッグハントにちなんだアイテムが販売されます。

北サンドリア(D-8)
バストゥーク鉱山区(H-9)
ウィンダス水の区(北側)(G-10)