練武祭 〜海賊たちは忙しい〜 (2015/04/20)

青葉若葉の匂うなか。

男の子の健やかな成長を願うお祭り練武祭が始まりますクポ!

さあ今年もみな、ひんがしのお侍さんのように竹の刀をもって、
逃げ出してしまった海賊たちを追いかけてほしいクポ。
取り戻したいあの秘法──「源氏八甲」。
かの宝こそ、もののふの志を表すもの。
なのだクポ!

えっ。毎年毎年、ひんがしから貸与された品を盗まれて、
MHMUのセキュリティはどうなっているのかクポ?

……だ、だいじょうぶなのクポ。
だってもうこれは毎年のこ……むにゃむにゃクポ。

監獄から逃げ出した海賊たちを、痛くないようほどほどに叩いて、
どうか彼らを召し捕ってほしいクポ!

よろしく頼むのだクポ〜!

陸(おか)にあがった海賊なんて海賊じゃない。
湿った風と揺れる足下が懐かしい。
《黒鯱のミゥ》の想いはいつも近東の海へと還ってゆく。

そもそもは、「源氏八甲」だった。
ひんがしの侍たちの間で『秘宝』とまでされているお宝だ。
そいつが中の国に貸し出されることになった。
海洋輸送されるというので襲って奪った。それが全ての始まりだ。

時の流れない監獄のなかでは、あれがいつのことだったのかもうはっきりしない。

だが、おそらくは一年ほどが流れた日。
どういった偶然か、ふたたびミゥたちの目の前に「源氏八甲」が現れた。
おそらくは移送の魔法の転送ミスによるもの。

奪って脱獄したものの、中の国の冒険者とやらに捕まってしまった。

一度目は偶然、二度目は必然という。
それからも「源氏八甲」は現れつづけ、我々には脱獄の機会が訪れ、
冒険者たちに捕まって監獄へと戻る。

「もうご免だ。あたしの部下たちも毎年毎年あの竹の刀で叩かれるのに飽き飽きしてる」
きっぱりとミゥは言った。
《黒鯱のミゥ》は勝気で好戦的なことで知られているが、
必要とあれば、いくらでも交渉上手にだってなれるのだ。
とくに可愛い部下たちのためならば。

「あたしたちは充分反省した。『不殺』の海賊団にこの仕打ちはあんまりじゃねえ?」

鍵のかかった鉄格子の向こう、闇のひときわ濃いところへと向かって語りかけた。
ゆらり、と空気が動く。
「どうしても……」
掠れた声で問いかけてきたのは、
足下まで隠れる灰色のコートを羽織り、目元の見えない黒いサングラスをかけ、
短い両腕をポケットに突っこんだまま、棒あめ玉を口にくわえた、
エージェント・モーグリ0028だった。
「やってもらえない、クポ?」

「くどい!」
交渉は隙を見せたら負けだ。

ため息をついたモーグリが、ぱちりと指を鳴らす。
背後から現れたのは、監獄の看守だ。
やはり、合意の上か、とミゥは今さらの納得をしてしまう。
王国制式の鎧を着こんだ看守が台車に載せて、あるものを引いてきた。
ガラスのケースに入れられたそれは東方の兜──「尚武鳳凰兜」。
監獄の暗がりのなかでもわかる意匠の素晴らしさに、《黒鯱のミゥ》さえ息を呑んだ。

「そ、そいつは」
「今年の景品クポ。冒険者にだけでなくこれを……」
「あたしたちにも?」

こくり、とコートのなかの首が頷いた。
ごくり、とミゥの喉が鳴る。
欲しい。
あれは絶対に海賊ならば見過ごせない宝だ。

「だ、だめだ。あたしたちはもうコリゴリなんだ」
「考えを変える気は?」
「ふ、ふん。牢屋のなかで宝物をもらっても嬉しくねえや!」
「では、練武祭が終わったら海へ還してやろうクポ」
「なっ……ホントか!」

ふたたびコートのなかの首が頷いた。

  ※

今年もまた「源氏八甲」が木匠クペルシャンの転送ミスにより監獄へと転送された。

《黒鯱のミゥ》の号令に合わせ、
近東の海賊たちは、盗んだ「源氏八甲」を纏い、中の国の大地へと散った。

脱獄してゆく盗賊団を陰から見守りながら、
木匠の弟子クパチャノンが、
傍らの灰色コートを羽織ったエージェント・モーグリに問いかける。
「勝手に釈放するとか言って良かったクポ?」
「ふっ……。安心するクポ。
練武祭が終わったら、とは言ったけど、今年の練武祭とは言ってないクポ」

エージェント・モーグリ0028は、棒あめ玉を噛み砕きながら言う。

「まだまだ彼らには協力してもらわねば困るクポ。
あそこまで逃げ足の速い奴らはそうそう見つけられないクポ」
「そういうことだったクポ……。
はあ、来年までには見つけてあげたいクポねぇ」


Story : Miyabi Hasegawa
Illustration : Mitsuhiro Arita

開催期間

2015年4月27日(月)17:00頃〜5月11日(月)17:00頃

「練武祭」の参加方法

1、以下のエリアにいるMoogleから「燻竹刀」を受け取りましょう。
南サンドリア(J-9)/北サンドリア (D-8)
バストゥーク鉱山区(H-9)/バストゥーク商業区(G-8)
ウィンダス水の区(北側)(F-5)/ウィンダス森の区(K-10)

2、「燻竹刀」を装備した状態で以下のエリアにいるMoogleに話しかけ、燻竹刀に「破魔の術」をかけてもらいましょう。
西 ロンフォール(I-6)/東ロンフォール(G-6)/ラテーヌ高原(J-8)/ジャグナー森林(I-8)/バタリア丘陵(K-8) /北グスタベルグ(L-8)/南グスタベルグ(L-8)/コンシュタット高地(I-6)/パシュハウ沼(K-6)/ロランベリー耕地(K-5) /西サルタバルタ(J-8)/東サルタバルタ(G-11)/タロンギ大峡谷(I-6)/メリファト山地(E-5)/ソロムグ原野 (E-5)

3、みんなで協力してゲンジ甲冑を着込んだ何者かを捜し出し、やっつけましょう!
 敵が放つウェポンスキルを燻竹刀のエンチャント「邪気滅却」で防げば防ぐほど良いことがあるかも!?

4、見事勝利の暁には、敵を倒したポイントに「???」が出現します。
 「???」に燻竹刀をトレードしてみましょう。報酬として名刀?が手に入るかもしれません。

さらに、今年は報酬に「尚武鳳凰兜」が追加されます。
尚武鳳凰兜を装備した状態でフェローを呼び出すと、フェローも尚武鳳凰兜を装備した状態で現れます。


破魔の術について

・破魔の術をかけられると、レベルが1に制限され、代わりに移動速度が上昇します。
・破魔の術の効果中は、街の外を徘徊するモンスターに攻撃できなくなります。
 しかし、モンスターから襲われることもありませんので、ご安心ください。
・エリアチェンジやログアウトを行ってしまうと、破魔の術は消えてしまいます。