どうもどうも。ウィンダス、魔法新聞社のコナナでっす!
月日の経つのってホント早いわ〜。
みんな、ゲンキに冒険してた?
実はね。
コナナも次の企画記事に成功したら、正社員にしてやるって話があるの。
正・社・員!
ステキな響きの言葉よね。
だから、今度の記事は気合いが入っているわけ。
ちょっと自信もあるのよ。
モーグリたちの経営しているBBQ牧場あるわよね?
あそこが倒産するかもっていう噂なの。
もうすぐ書き入れどきの牛追い祭だっていうのにさ。
そもそもBBQ牧場の応援あっての祭なのよね。
このままじゃ、今年はどうなることやら。
っていうわけで、コナナが取材してきたわけ。
結論だけ言っておくわね。
だいじょうぶよ、みんな。
今年もいつもどおりにBBQ牧場の提供のもと、お祭りが開けそう!
冒険者のみんな、お祭りを楽しもうよ!
モグリーナはBBQ牧場に勤める革職人だ。
牛やら羊やら兎やらの皮をなめしたり細工したりしている。
「ふう。これでどうクポ?」
「お見事です〜、師匠!」
モグリーナの弟子はタルタル娘のレヴィヴィだった。
変わり者で知られるモグリーナにはモーグリの弟子がついたためしはなく、
たまさかBBQ牧場を訪れた元冒険者のレヴィヴィだけが、
モグリーナの作った革製品に惚れて弟子になった。
「この縫製の見事さ、飾りの美しさ!
素朴なデザインであるにも関わらず、流線を多用した流れる雲を思わせる意匠の美しさは、
そこらの革製品では味わえないものですよ!」
「そ、そうクポ?」
「はい! ゴテゴテごちゃごちゃしただけのイマドキの革細工にはない味わい深さが、
いえ、むしろ味がないとゆーか、ピピラの塩焼きを塩抜きで食べているよーな!」
「……褒めてるのクポよね?」
「もちろんですよ〜。それに、師匠はイラストも得意じゃないですか。
ほら、こっちのベルトのバックルに描かれた目つきの悪いオークの絵とか!
リアルです! 怖いです!」
「それ、モーグリの顔クポ……」
「な、なんという前衛的なデッサン!」
「さっき、素朴って言ってなかったクポ?」
「破門だけはカンベンを〜」
膝にとりすがって泣いてみせるレヴィヴィにため息をつきながら、
モグリーナは小さな手を顎に当てて考えこんだ。
「でも、これじゃやっぱり売れないクポよねぇ」
くるりとその場で回転した。くるくる回るのはモーグリにとってクセのようなものだ。
弟子に言われるまでもなくモグリーナは、
自分の作る革細工品が地味であることは気づいていた。
あと、かわいい絵も苦手だ。
「師匠のばあい、もっとリアルに寄せたほうが良くないですか?
この、開発中のバファローキャップみたいに」
「むむむ」
「でもこれも、野牛の革を使った、ってだけじゃ印象弱いかも〜」
弟子に言われて、モグリーナは考えこんでしまう。
ここのところBBQ牧場では牛肉とミルクの販売が好調で、
お抱えの職人たちは次なるヒット商品の開発に余念がなかった。
客というものは移り気であり、好みは常にうつろうものなのだ。
「より新しいものを! もっと新しいものを!」
潤沢な予算を背景に、BBQ牧場の職人たちは次々と新製品を開発している。
「でも師匠にキャッチでラディカルでエキセントリックな逸品なんてムリですって」
「そ、そんなこと……ないクポ」
「そうですかぁ?
だって、わたしが工房内をぐるりと内偵してきた限りですねぇ」
「内偵って……レヴィヴィってば、またそーいう……」
モグリーナはため息をついた。
工房内を好きに歩かせているのはレヴィヴィの勉強のためだというのに。
どういうわけか、ウィンダス出身の冒険者にはスパイごっこが好きな者が多かった。
「牛追い祭用の新製品のなかにですね。生活用品シリーズとかで、
歯磨き粉なんてありましたよ」
「ハミガキコ?」
調理工房の新作だろうか。でもどこが新しいのだろう?
「大ヒット間違いなしって言ってました。わたしもあれは新しいと思います!」
「へえ」
「みんな大好き、牛肉味! 口のなかに残る香り高いBBQ風味! っていう」
「それ、ぜったいさっぱりしないクポ!」
前衛的にもほどがある。
「姉妹品は、涙のマスタード味!」
「…………うちの職人たちは何を考えてるクポ?」
確かにラディカルでエキセントリックかもしれないが。
けどそれは──。
「ふう。レヴィヴィ、わかったクポ」
「えっ。では、師匠もこのバファローキャップに、
光る! 回る! 空を飛ぶ! とか、そんな機能を」
「──つけないクポよ?」
「え〜〜〜〜〜〜? つまんな〜い」
口を尖らせる弟子に、モグリーナは肩をすくめた。
「まあでも、レヴィヴィの指摘ももっともクポ。ちょっとだけ工夫してみるクポ」
モグリーナは地味な作風ではあったが堅実で。
定番というものの大事さをよく理解していた。
それから一週間、モグリーナはバファローキャップに改良を重ねて完成させた。
モグリーナの予感はあたった。
BBQ牧場の秋の新作たちは、どれもラディカル過ぎたことが裏目に出て、さっぱり売れず、
過剰生産された製品が牧場の倉庫に山と積みあがったのだ。
牧場の経営はあっという間に赤字に転落してしまった。
しかし、次々と返品されてくる新作のなかで、
始めは少しずつしか売れなかったものの、ゆっくりと確かに売れ続ける品があった。
モグリーナの作ったバファローキャップだ。
大ヒットこそしなかったものの、
モグリーナの帽子は丈夫で長持ち、飽きのこないデザインで。
おまけに、ちょっとした新機能も追加されていた。
地味に売れ続けたバファローキャップのおかげで、
BBQ牧場は経営をなんとか建て直すことができたのだという……。
Story : Miyabi Hasegawa Illustration : Mitsuhiro Arita |
開催期間
2015年9月25日(金)0:00頃 〜 10月9日(金)23:00頃
イベントについて
イベント期間中、以下のエリアに多数の野牛が出現します。野牛の習性をうまく利用してMoogleの近くまで誘導しましょう。まずは、以下のエリアにいるMoogleに話しかけ、詳しい事情を聞いてみてください。
西ロンフォール(I-6)/東ロンフォール(G-6)
北グスタベルグ(L-8)/南グスタベルグ(L-8)
西サルタバルタ(J-8)/東サルタバルタ(G-11)
交換品について
野牛の誘導に成功すると、Moogleからブルマークがもらえます。
ブルマークを集めると、頭装備「バファローキャップ」と交換することができます。
また、ブルマークは以下のアイテムと交換することもできます。
ミラクルミルク/ドローバーマント/レッドサッシュ/
ドローバーベルト/ダッシュサッシュ/アルデバランホルン
制限について
・イベント参加中は制限がかかり、モンスターに攻撃できなくなりますが、
モンスターから襲われることもありません。
・エリアチェンジやログアウトを行うと、制限は解除されます。