水晶大戦概説 (2007/10/26)

「水晶大戦(クリスタル戦争)」とは、天晶歴862年から 864年にかけて、クォン、ミンダルシア両大陸を舞台に、人間の諸国により結成されたアルタナ連合軍と闇の王(シャドウロード)が獣人諸勢力を糾合して結成した獣人血盟軍との間で繰り広げられた、史上最大の戦争のことである。

天晶暦855年、冥界の魔物を引き連れ、彗星のごとくバルドニアの地に現れた謎の男「闇の王」。ヴァナ・ディール各地に割拠していた獣人諸勢力を、たった数年で統一組織「血盟(闇の王)軍」としてまとめあげた彼は、アルタナの民殲滅を一方的に宣言。天晶歴862年4月、サンドリア領ノルバレンに侵攻を開始した。【ジャグナーの戦い】
当初、人間諸国は各国独自の軍事行動をとっていたため、圧倒的な兵力を誇る血盟軍を前に、各地で敗退を重ねた。しかし、ジュノ大公カムラナートの呼びかけに応じ、サンドリア王国、バストゥーク共和国、ウィンダス連邦は、歴史的な確執を捨てて「アルタナ連合軍」を創設。異なる国の軍同士が情報共有・相互補給を行うようになり、大陸規模で展開される作戦に徐々に対応できる体制を整えていった。
殊に連合軍が、共同作戦を行えるまでに歩調を合わせる転機となったのは、各国が共同で都市国家ジュノを防衛した篭城戦であった。各国の軍は見事な連携によって、三方からの獣人血盟軍の猛攻を退け、その団結力を強めることに成功した。【ジュノ攻防戦】
ジュノでの勝利を契機に、各地で反攻作戦を開始したアルタナ連合軍は、863年4月、ザルカバードにおける獣人血盟軍主力との決戦にも勝利を収め、戦争の大勢を決した。【ザルカバード会戦】
つづいて闇の王の牙城ズヴァール城をも陥落させたアルタナ連合軍は、864年、最後まで組織だった抗戦を続けていたオーク帝国軍を北海に追い落とし、戦争終結を宣言。ここに2年にわたる大戦は幕を閉じたのであった。

ジャグナーの戦い

獣人血盟軍ついに動く。その数10万。
しかし、ノルバレン侯フェルドロットの
度重なる要請にも関わらず、王立騎士団
が決定した増援は同郷オルシャー伯率い
る騎士以下300余名のみだった。1,000
にも満たない兵力で大軍を迎えるはめに
なった侯爵は、熟知するジャグナー森林
で敵先遣隊の出端をくじこうと試みたが、
衆寡敵せず。兵の多くを失い、敗走した。
精強でなるノルバレン騎士団壊滅の一報
は王都を震撼させたが、これはまだ凄惨
な大戦のほんの始まりに過ぎなかった。

ジュノ攻防戦

倒されても、倒されても、まるで死体の
山を築くこと自体が目的のように押し寄
せてくるクゥダフ兵。後方の巨人によっ
て雨霰と降り注がれる巨岩や砲弾……。
三方から城砦都市ジュノを重囲していた
血盟軍は、やがて脆弱と見たバタリア方
面に攻撃を集中。4重の防壁のうち3つ
を突破し、まさしくジュノを陥落寸前ま
で追い込んだ。
しかし、アルタナ連合軍は、何とかこの
苦難を乗り越え、反撃への大きな足がか
りを得ることに成功するのだった。

ザルカバード会戦

ふと吹雪が止み、雲間から光が射した
時、いずこからともなく連合軍将兵から
歓声が沸き起こった。前方に布陣する敵
兵の数が明らかに自軍を下回っていたか
らだ。
それは、陽動作戦が功を奏し、敵兵力の
分断に成功したことを意味していた。
しかし、いざ戦闘が始まると、直ぐに歓
声は喚声へと転じた。敵は、様々な獣人
種族の特性を考慮して編成し、調練され
た精鋭部隊ぞろいだったのだ。
最終的に連合軍は勝利を手にしたもの
の、その犠牲はあまりにも甚大であった。

Illustration by Mitsuhiro Arita