「ブレイジングバッファロー」〜勇猛なる行為〜 (2009/09/18)

野牛を追いたてる勇壮なお祭り、ブレイジングバッファロー(牛追い祭)がいよいよ開催されます。人々はなぜ、凶悪な野牛を追いたてるような危険を冒すのか!? 祭りの起源に想いをはせながら、ぜひイベントにご参加ください!

目に入るすべての物に指をつきつけ「これは何?」と問いかけるのが、子どもというものであり、そういった子どもたちの疑問に答えるべく刊行されたのが本書である。
『なぜなにヴァナ・ディール』の前書きに書いてあった。
祖母が買ってくれたその本は、革表紙の立派な一冊で、暖炉の前に座って頁を開けば、いつだって時間を忘れて読み耽ってしまったものだ。

サンドリアの冬の夜は長く寒い。外に出て遊べない子どもにとって退屈を紛らわすには丁度良かった。
見開き頁に一つずつ記されていた挿話を、どれも暗記してしまうほど読みこんだ。
幼い頃に強い印象を残したのは、牛追い祭りの起源を語った箇所であった。
本によれば──。
野牛、つまりバッファローは、昔は巨大で危険な獣としてだけ知られる存在だった。
北方の一部にしか生息せず、出会う機会が少なかったせいもある。
凶悪さだけがすぐに理解され強調されたせいもあるだろう。
剣呑さをかもしだす、頭の両側に付いた大きな角は、間違いなく凶悪な武器である。しかも、コンシュタット高地やラテーヌ高原の巨大羊を思い出させるほどの体躯があるのだから、野牛たちにとっては好奇心からちょっとつついてみただけの一撃なのだったとしても、アルタナの民にとってはチョコボに乗った騎兵からランスで突かれるのと変わらなかった。
危険な獣なのだ。
ところが、大きな身体を揺らしながらドスドスと雪の原を歩く野牛たちを、重武装のオークたちが執拗に狩り立てるのを、北方警護のサンドリア兵士たちは目にすることがあって、なぜオークたちが、あれほど危険な野牛をそこまで熱心に狙うのか、と不思議に思っていた。北方に他に獣がいないわけでもないのに、よりによってなぜ野牛なのか、と。
当時の兵士たちは野牛の肉が食べられるというだけではなく、極めて美味であることを知らなかったのだ。
オークたちを蛮族とみなしていたためでもある。
だから、往時の北方警護兵たちは、オークたちの野牛狩りを目にして、あれは単なる血に餓えた野蛮な娯楽なのだろうと揶揄していた。

それでも──兵士たちはこうも伝えていたのだ。
大勢のオークたちが雪深いウルガランの峰を斧や槍を手にして駆けてゆき、雪煙りをあげての激しい戦いに遂には打ち勝ち、倒れた野牛を前に天に向かって拳を突きあげて勝利の叫びをあげる姿に、目を釘付けにされてしまい、唇を噛んだ、と。
暖炉の前で開いた頁には、このような兵士の逸話が紹介されており、野牛を倒したオーク兵の絵が添えられていた。
斧を持ち、天に拳を突きあげるオークの姿絵は今も忘れられない。
幼心にも、絵を描いた者がオークの勇猛さに感銘を受けていることが見て取れた。
不倶戴天の敵でありながら、当時のサンドリア兵たちにとって、角で突かれ、血を流しても一歩も引かずに戦うオーク兵たちの姿は、野牛を狩ろうとしない自分たちをまるで臆病者呼ばわりしているように感じられた、らしい。

こうして、野牛狩りは、単なる蛮行から、いつしか誇り高い勇気ある行為の象徴とみなされるようになっていった。


Illustration : Mitsuhiro Arita

開催期間

本イベントは2009年9月25日(金)17:00頃より、10月5日(月)17:00頃までを予定しています。

イベントについて

イベント期間中、以下のエリアに多数の野牛が出現します。野牛の習性をうまく利用してモーグリの近くまで誘導しましょう。まずは、以下のエリアにいるモーグリに話しかけ、詳しい事情を聞いてみてください。

西ロンフォール(I-6)/東ロンフォール(G-6)
北グスタベルグ(L-8)/南グスタベルグ(L-8)
西サルタバルタ(J-8)/東サルタバルタ(G-11)