「ブレイジングバッファロー」 〜とある秋のロンフォール・牛追い祭り編〜 (2010/09/21)

さあ、今年も牛追い祭りの季節がやってきましたクポ!

オークたちと野牛との戦いに起源を発する牛追い祭りも、最近ではすっかりヴァナ・ディ−ルの皆さんの間に根付いてきたクポね。きっと、皆さんの勇敢さも同時に大陸に鳴り響いていると思うクポ!

最近では、牛追い祭りのさらなる普及を目指して、仲間を集めて熱心に挑戦している人たちもいるクポ。今日はそんな4人の冒険者さんたちの賑やかな1日をお伝えしますクポ!

エルヴァーンのナイトは振り返り、低い声で鋭く言い放つ。
「枯れ葉ひとつ踏むな。音を立てるな。気づかれるぞ」
ガルカのモンクが口をへの字に結んだまま頷き、ミスラの学者はきゅっと角帽のつばを正した。最後のひとり。ヒュームの白魔道士の娘だけは、ほわんとした顔つきのまま手を胸の前で組み合わせてこう言った。
「仔牛さん……かわいい」
「あんた、毎年毎年それよねぇ」
学者の角帽のつばがへたりと顔の前に落ちる。
「行くぞ!」
母牛の匂いを鎧にこすりつけたエルヴァーンが、仔牛の前に飛び出た。匂いに惹かれ、仔牛が彼の後を追い始める。忍び寄ってくるチゴーを警戒しつつ、4人は仔牛を連れてゆく。
あと、3ヤルムまできたときのことだ。

「たあすけてぇぇぇぇ!」

走ってくるタルタル少女の後ろには、見上げるほどの──小山のごとき──野牛が追ってきていた。
「マントを使え!」
エルヴァーンのナイトが掛けた声はわずかに遅かった。
「野牛さん……おっきくて、かわい……い、あ、あら? あららららら〜」
キャトルパルト、と呼ばれる大自然が野牛に与えた力によって、白魔道士の娘の姿がその場から掻き消えた。文字通り、跡形もなく。

リターンリングでアウトポストへと戻ってきた白魔道士の娘が、3人の仲間と合流したときには、もう日暮れも近くなっていた。
今日は、あの母牛でお終いにするとしよう、と4人のリーダーであるエルヴァーンは宣言した。
4人は母牛をはやし立て、追いたてる。最後尾で誘導していたのは学者のミスラだ。的確な指示で母牛を目指すポイントまで追い込んでゆく。あと、3ヤルム。

「たあすけてぇぇぇぇ!」

「また、来た! あ、あのタル〜〜〜〜っ! 1周してくるんじゃないっての!」
「マントだ! ドローバーマントを使え!」
野牛がぶつかってきた。だが、翻したマントの魔法の力が今度は彼らを守った。
タルタル少女と野牛とが森の彼方へ悲鳴だけを残して消える。
もう、来んな。ミスラが口を尖らせた。

「お疲れさまクポ!」
「わお! アルデバランホルンだわ!」
「うむ。これはすごいのかの?」
「この楽器を飾ると、お金持ちになれるって話よ!」
ガルカのモンクの問いにミスラの学者が答えた。
「おっと、おねえさんはブルマークが1枚足りないクポね」
モーグリの言葉に白魔道士の娘の表情が凍りつく。
「あ……。あたし、街まで跳ばされてたから……」
しかめっ面を滅多に崩さないエルヴァーンのナイトが娘の涙に慌てた。
「も、もう1頭くらい捕まえる時間はあるぞ。なっ! ほら、だいじょうぶだから!」
「そ、そうそう。ほら、まだ日も落ち切ってないし」
「うむ。うむうむうむ。そうだのそうだの」
「ぐす……」
秋のロンフォール。
彼らの牛追い祭りはまだまだ終わらない。


Story : Miyabi Hasegawa
Illustration : Mitsuhiro Arita

開催期間

本イベントは2010年9月28日(火)17:00頃より、10月12日(火)17:00頃までを予定しています。

イベントについて

イベント期間中、以下のエリアに多数の野牛が出現します。野牛の習性をうまく利用してモーグリの近くまで誘導しましょう。まずは、以下のエリアにいるモーグリに話しかけ、詳しい事情を聞いてみてください。

西ロンフォール(I-6)/東ロンフォール(G-6)
北グスタベルグ(L-8)/南グスタベルグ(L-8)
西サルタバルタ(J-8)/東サルタバルタ(G-11)

レベル制限について

・イベント参加中は、レベルが75に制限されます。
・レベルが制限されている間はモンスターに攻撃できなくなりますが、モンスターから襲われることもありません。
・エリアチェンジやログアウトを行うと、レベル制限は解除されます。