皇国手配書
下に記す者は、我が皇国に仇なす蛮族の中でも、とりわけ悪名高い者たちである。
腕に覚えのある傭兵ならびに冒険者は、こぞって討伐に参加されたし。
天眼のゾラージャ〔Percipient Zoraal Ja〕
この者は、戦士階級に属しているマムージャの蕃将。強固な布陣と士気の鼓舞には定評があり、我が軍の将にも一目おかれる戦上手である。しかし、近ごろアルザビ攻略の度重なる失敗を問われ、謹慎させられたらしい。復軍する前に葬っておきたい。
ただし、不滅隊の調査によれば「かつて、ゾラージャは自分そっくりの声色で話す大きなコリブリ(蜂鳥)を自在に操り、用兵に役立てていた」とのこと。十分、注意されたし。
ラミア19号〔Lamia No.19〕
この者は、体内に埋め込まれたタグにより19番目に製造されたオリジナルであることが判明しているラミア型合成獣。最近、骸骨兵からなる遊撃隊を引き連れてアラパゴ暗礁域沿岸に現れ、たびたび我が軍の補給路を脅かしている神出鬼没のやっかいな敵である。
彼女の捕捉は至難であろうが、「大規模な戦闘が行われた後、1人戦場に現れ、1体1体兵士の亡骸を杖で触っていた」との目撃報告があり、何らかの手がかりになるかもしれない。
ガー兄弟〔The Gar Brothers〕
この者たちは、数多の皇国兵や不滅隊士を闇討ちし、我が軍に悪名を轟かせているトロールのガー兄弟(長兄のガーハーロー、次兄のガーフーラー、末弟のガーホールー)である。
元来狂暴なトロールの中でも、ガー家は特に狂戦士(戦闘時に興奮して分別をなくし、暴れまわる戦士)を多く輩出する家系として知られる。彼らも何か事件を起こしたのだろうか。トロール社会での名声とは裏腹に、最近は作戦から外されることが多いようだ。
〜皇国軍広報官シャザーシュ〜 Illustration by Mitsuhiro Arita |