君のいる空の下 (2011/10/12)

ハロウィンの時期になると姿を見せる邪眼の魔物。
来るたびに冒険者たちに追い払われてはいるものの、いっかな完璧に消滅したという知らせはない。
そしてまたハロウィンがやってくる。
果たしてあの魔物は現れるのだろうか。

モーグリたちは魔物退治をしてくれた者に報酬を与えると約束してくれるのだが……。

                   ──ヴァナ・ディール トリビューン秋の号外より

ハロウィンがやってきました!
街中には怪物に変身した人々が練り歩き、あちこちで交霊祭も開かれています。

今年もまた冒険者たちには、魔物ピュラクモンの退治が依頼されているようですが。
ここにひとり、ちょっと変わった理由で魔物退治を引き受けた冒険者もいるようです。

聖都の高い秋の空を見上げる。
この空はウィンダスから遥かバストゥークまで続いているはずだ。
シェナナのいるあの街まで……。

数日前。オルタモルタは幼馴染みのシェナナと喧嘩をした。
女の子ってわからない。
『その服、前にも着ていたやつだね』
噴水前で落ちあったときの、そのひとことで、あんなに怒りだすとは思わなかった。
だって冒険者にとってはあたりまえのこと。簡単に大切な装備を変えたりしない。
よく似合っていたから。オルタモルタも好きだった服だし。悪気はなくて。
でもシェナナは冒険者ではなくて、ごくふつうの女の子だった。
『オルタモルタのばかっ!』
『ば、ばかって言うほうが、ばかだって先生だって言ってたぞ』
『ばかばかばか……ばかぁ! もう、知らない!』

その翌日にバストゥークへ引っ越すだなんて知らなかった。

ちぇ。
謝らせてもくれねぇのかよ……。
バストゥークは遠い。
オルタモルタはまだ冒険者になったばかりで、チョコボにさえ乗れない。機船航路の港があるマウラまで辿りつけるかどうかも怪しかった。
ましてや飛空艇なんて、とてもとても。

その話を聞いたのは、ハロウィンの始まった日のことだった。
各国の厩舎へと即座に跳ばしてくれる魔法の込められた装備品がある、という。
この時期になると街の周辺に姿を見せる邪眼の魔物がいる。倒しても倒しても真に消滅させることは叶わなくて、まるで命をいくつでも持っているかのような魔物だった。もしかしたら、そもそも生きてなどいないのかもしれない。
そいつを倒せば、報酬として魔法の品が手に入るらしかった。

「これで、終わりだぁ!」
オルタモルタがまっすぐに突き出した正拳が魔物の横腹へと当たった。
蛙のつぶれるような声とともに邪眼が閉じて動かなくなる。
「おめでとうクポ! これをどうぞ」
「……なんだこれ」
「お菓子クポ!」
かぼちゃを模した器いっぱいにお菓子が入っている。見たことのないきれいな器だった。
「へぇ。ありがと……じゃない! お、俺が欲しいのはだなっ」
お菓子じゃない。きれいな器でもない。自分をバストゥークへと連れていってくれる魔法の品だ。だが、規則だからとモーグリは取り替えてもくれない。どうやら、報酬の品というのは冒険者のほうが好きに選べるものではないらしい。
問答しているうちに、またも魔物が現れたらしいと聞く。
「こうなったら、手に入れるまでやってやる!」

オルタモルタは、10回目でようやく共和厩舎メダルを手に入れた。

「オルタモルタ! どうしてここに!?」
「シェナナ!」

なんという偶然。
厩舎前まで跳んだオルタモルタは、通りかかったシェナナと再会してしまった。
互いに手を取って喜びを分かちあう。喧嘩をしていたことなど忘れていた。

「……というわけで、メダルの力のおかげで俺はシェナナに会いにくることができたってわけさ」
「すごぉい。やるわね、オルタモルタ! 幼馴染みとしてあたしも鼻が高いわ!」
「だろ? そーだろ!」
「ねえ。まだ時間あるの? よかったら家に寄っていって。お菓子がいっぱいあるわ。ハロウィンですもの」
オルタモルタは嬉しかった。苦労して魔物退治を繰り返したかいがあったのだ。
「あの……この前はごめんな」
「ううん。いいの」
そのあとぽつりと言った。あれ、ふたりで初めてお祭りに行ったときにきてた服なんだ、の言葉に、オルタモルタはようやくどうしてあれほど怒ったのかを理解した。
ごめんな、と繰り返す。
「じゃあ、お邪魔する」
「うん。ウィンダスに帰るまでゆっくりしていってね」

ん? ……帰る、まで?

「そういえば、帰りはどうするつもりなの、オルタモルタ?」
「あ!」

どうやら、オルタモルタの魔物退治はとうぶん終わりそうにない……。


Story : Miyabi Hasegawa
Illustration : Mitsuhiro Arita

開催期間

本イベントは2011年10月18日(火)17:00頃より、11月1日(火)17:00頃までを予定しています。

モーグリに協力しよう!

ハロウィンの仮装行列に紛れて街に入ろうとしているモンスターがいるようです。モーグリたちは報酬を用意して、モンスター退治に協力してくれる冒険者を待っています。まずは、以下の場所にいるモーグリから話を聞いてみましょう。

西ロンフォール(I-6)/東ロンフォール(G-6)
北グスタベルグ(L-8)/南グスタベルグ(J-7)
西サルタバルタ(J-8)/東サルタバルタ(G-11)

仮装行列のおばけや獣人に「おやつ」を渡そう!

各国の住民たちは、今回のハロウィンでも冒険者の皆さんを驚かすために、おばけや獣人の仮装をして街を練り歩くようです。
以下のエリアで彼らに「おやつ」を手渡すと、皆さんも仮装できるようになります。また、運がよければハロウィンでおなじみのスペシャルアイテムが手に入るかもしれません!

南サンドリア/北サンドリア
バストゥーク鉱山区/バストゥーク商業区
ウィンダス水の区/ウィンダス森の区
※「おやつ」は、主に料理のスィーツ類です。
 ただし、スィーツの中にもNPCにトレードできないものがあります。

仮装をもっと楽しもう!

ハロウィンの開催期間中、各国の会場にはボムの飾り付けが設置されます。特定の仮装をした2人がパーティを組んで、この飾り付けに近づくと、何か良いことが起こるようです。

交霊祭に参加しよう!

今回も、西方のエクソシストによる「交霊祭」が行われるようです。以下の場所にいるエクソシストから、詳しい話を聞いてみましょう。

北サンドリア(D-8) Gertrude
バストゥーク商業区(G-8) Brian
ウィンダス水の区(北側)(F-5) Roger
※エクソシストからの依頼を達成した場合、ヴァナ・ディール時間で1日が経過していないと再度依頼を受けることができません。

特設店で買い物をしよう!

以下の場所には特設店が設置され、ハロウィンにちなんだアイテムが販売されます。さらに、各国の特設店で購入できる3つの燭台をモグハウスに飾り、しばらくしてからモグハウスのモーグリに話しかけると素敵な贈り物が……。
※贈り物はイベント終了後も条件を満たしていれば受け取ることができます。

北サンドリア(D-8)
バストゥーク鉱山区(H-9)
ウィンダス水の区(北側)(G-10)