恋のお世話いたします (2013/01/25)

ハッピー・ヴァレンティオン! クポ〜!

年に一度、菓子職人たちの力を借りて──。
ではなくて、
甘い贈り物の力に無難に頼って──。
でもなくて〜、

え〜と、なんだったっけクポ?

そうそう。
恋人たちが互いに心を込めた贈り物をして愛を確かめあう日、クポ!

あるいは、片思いの人にチョコを渡して、思い切って告白するのもありクポね。

実は、《動物のお姉さん》アテルーネ女史によれば、チョコボたちも人間と同じように恋をするらしいクポ。
近々研究結果をまとめてガッカイとかいうところで発表するつもりクポ。

ガッカイ……新しいお菓子の名前クポ?
よくわからないけれど、どうやらアテルーネ女史のレポートには、冒険者のみなさんも巻き込まれそうなようす。
今年のヴァレンティオンは、忙しくなりそうクポ〜!

プリシリア(Prycillia)は悩んでいた。

「恋のサポートって言われても……」

プリシリアだって女の子だ。
恋に憧れないわけではないし、友人とのコイバナも大好物だ。
相談されれば、恋人がいないなりに、自分なりの知恵をきりきりと絞ってあげたいとプリシリアは思う。

けれど……。
それがチョコボの恋となると話は変わってくる。

「アテルーネ先生ってば、いったい何を考えてるのかしら?」

チョコボも人間と同じように恋をすることを確かめたい。
ついては、奥手で相手のいないチョコボの恋のお世話をしてあげて欲しい。
結果を詳細なレポート付きで報告すること!
と、課題を渡されたわけだった。

「奥手な雄チョコボが、恋した雌チョコボに振り向いてもらえる方法……かあ」

故郷であるバストゥークの街でプリシリアは思い切って周りの人々に相談してみた。
商業区にいる未来のファッションリーダーだという少女は、
「やっぱり相手に似合った相応しい贈り物を贈ることだと思うわ!」
腰に手をあてて、胸を逸らせてきっぱりとした口調で教えてくれた。
「具体的に言うとサブリガね!」
それはチョコボには無理だろう。プリシリアはこっそり思った。

大工房にいる侍の娘はいつもの真面目で堅い口調のまま。
「告白の台詞が重要かと思います」
プリシリアのぶしつけな問いかけに少し戸惑いながらも答えてくれた。
「あの……おそらくその……殿方の甘い台詞ならばもっと良いかと」
かすかに頬を赤らめて言ったものだから、思わず可愛い!と思ってしまったものだ。
この表情をぜひ銃士隊の連中に見せてやりた──もったいないからいいか。

バストゥーク港にいた老夫婦にも聞いてみた。
「連れ添うにはやはり相性かなと思いますよ」
老婦人は長い連れ添いになった年老いた夫のほうを見ながら言った。
「わたしは運がよろしゅうございました。本当に……」
夫に贈られたという黄銅の髪飾りが夕日に照らされて淡く輝いていた。

つまり、とプリシリアはまとめた。
恋を成就させるためには、相手に相応しい贈り物を贈る、素敵な告白をする、相性の良い相手を選ぶ……という方法が考えられるわけだ。
さて、どれが一番効果的なんだろう?
プリシリアは考えた末に決めた。

  ※

「『3つとも試してみることにしました』ですか……」

やれやれ、とアテルーネはため息をついてしまう。
テーブルには既に開封された手紙が2通。
弟子であるニスコリエッテ(Niscoliette)とチャボボ(Chabobo)からのものだ。
頭の痛くなることに、書いてある内容はプリシリアとまったく同じだった。

そして、3人ともがこう書いてきている。
『つきましては、レポートに協力してもらう冒険者たちへのお礼を用意したく……』

「こっちの予算にも限りがあるんだけど……」
どうしたものかと思案したあげく、アテルーネは良いことを思いついた。
協力してもらうお礼なら、彼女たち自身に用意させればいい。

数日後、弟子である3人娘はジュノに集められ、せっせと内職をすることになった。

「ひとつ作っては、チョコボのため〜、ふたつ作ってはレポートのため〜、みっつ作ってはアテルーネセンセのため〜♪」
「プリシリア! その辛気くさい歌を今すぐやめないと、チョコボの背に乗せてドロガロガの背骨から突き落とすわよ!」
「ニスコリエッテってば、恋人募集中なんだったら、あたしたちの前だと3倍増しになるその偉そうな口調を改めたほうがいいよ? それ、バレると男が怖がって寄ってこなくなるってば」
「でっかいお世話よ!」
「黙って作りましょ。協力してもらう冒険者の数を考えたら、まだまだ足りないんだもんさあ」

チャボボが言って、3人はしばし黙りこむ。
3人娘のまわりには作りかけのテンダーブーケが山となっていた。
だが、沈黙に耐えきれず、すぐにプリシリアがまた口を開く。

「わたし、悟っちゃった!」
「何よいきなり?」
「恋の成就に必要なのは、努力と根性だと思う!」
「どっちの?」
雄チョコボと雌チョコボのどっちの、という意味だ。
チャボボの問いにプリシリアが「男の!」と即座に答える。
「あのねぇ。そこに期待できないから、あたしたちが頑張るはめになってるわけでしょ!」
「しいては冒険者たちに頑張ってもらうはめになっている、と」
「でもやっぱり、男のほうがなんとかすべきだと思うんだよね。努力と根性と」
「まあそうね。あと勇気と!」
「うんうん。誠意も欲しいよ〜」
「世の男たちにそれがあれば、あたしたちも、もっと告白されているはず!」
「そうそう!」
「だよね〜」
「……今年もチョコが無駄になっちゃうのかなぁ。ああ、もう、お花作るの飽きたよ〜〜〜」

物陰でこっそり聞いていたアテルーネがため息をついた。
「あの子たち、自分たちがハードル上げすぎてるから告白されないんだって、気付いてるのかしら……」

ひょっとしたら。
奥手のチョコボ以上に恋のお世話が必要なのは彼女たちのほうかもしれなかった。


Story : Miyabi Hasegawa
Illustration : Mitsuhiro Arita

開催期間

2013年2月1日(金)17:00頃から2月15日(金)17:00頃までを予定しています。

チョコボの恋人探しを手伝おう

イベント期間中、以下の場所にいるNPCに話しかけるとミニゲームに挑戦できます。

・Niscoliette:南サンドリア(I-11)
・Prycillia:バストゥーク鉱山区(J-9)
・Chabobo:ウィンダス森の区(K-12)

ミニゲームをクリアすると調度品「テンダーブーケ」をはじめ、さまざまなアイテムが手に入ります。

これまでの報酬アイテムについて

入手方法:モーグリ
・南サンドリア(J-9)
・北サンドリア(D-8)
・バストゥーク鉱山区(I-9)
・バストゥーク商業区(G-8)
・ウィンダス水の区(北側F-5)
・ウィンダス森の区(K-10)

「テンダーブーケ」を手に入れてフォーラムイベントに参加しよう!

公式フォーラムにて「第1回モグハウスデコレーションコンテスト」を開催いたします。

テーマはヴァレンティオン・デーにちなみ「大事な人と過ごす空間」。

今回のイベントで入手できる「テンダーブーケ」を用いてモグハウスをレイアウトし、スクリーンショットを撮って公式フォーラムに投稿してください。

応募期間終了後、開発・運営チームによる選考が行われ入賞作品が決定します。見事入賞された方には、「ベリーリシャス」や「ジュエリーケース」などの調度品が贈呈されます。


応募期間

2013年2月1日(金)17:00〜2月21日(木)17:00

応募方法について

応募方法やコンテストの詳細については『こちら』をご覧ください。